MRI検査を受けることになったとき、「費用はいくらかかるのか」「保険は使えるのか」「造影MRIだと高くなるのか」「頭部MRIと腰椎MRIで料金は違うのか」と気になる人は少なくない。
結論からいうと、MRI検査の費用は、保険診療か自費検査か、単純MRIか造影MRIか、撮影部位、医療機関の種類、診察料や画像診断料の有無によって変わる。
医師が病気の診断や治療方針の判断のために必要と判断して行うMRI検査では、通常は健康保険が使える。一方、人間ドック、脳ドック、本人希望によるMRI検査では、自費になることが多い。
おおまかな目安として、保険診療3割負担の単純MRIでは数千円〜1万円前後、造影MRIでは1万円を超えることがある。ただし、実際の支払い額は、撮影部位、造影剤、採血、画像診断料、初診料・再診料などによって変わる。
この記事では、MRI検査の費用の目安、保険適用になる場合・自費になる場合、造影MRIで高くなる理由、部位別の考え方、医療費控除の注意点について整理する。
- MRI検査の費用は、保険診療か自費検査かで大きく変わる。
- 医師が診断・治療目的で必要と判断したMRIは、通常は保険適用となる。
- 脳ドックや人間ドックのMRIは、自費になることが多い。
- 造影MRIは、造影剤・点滴・副作用確認などが加わるため単純MRIより高くなりやすい。
- 医療費控除は、治療目的のMRIは対象になり得るが、健康診断目的では原則対象外である。
MRI検査とは何か
MRI検査とは、強い磁場と電波を使って体の断面画像を撮影する検査である。
MRIはMagnetic Resonance Imagingの略で、日本語では磁気共鳴画像と呼ばれる。CTのようにX線を使う検査ではなく、磁場と電波を利用して、脳、脊髄、関節、骨盤内臓器、乳腺、血管などを詳しく評価できる。
MRIは、脳梗塞、脳腫瘍、椎間板ヘルニア、靭帯損傷、子宮筋腫、卵巣腫瘍、前立腺疾患、乳腺病変など、さまざまな病気の診断に使われる。
MRIは電離放射線を使わない検査である一方、検査時間が長く、金属やペースメーカーなどに注意が必要な検査である。
MRI検査の費用は何で決まるか
MRI検査の費用は、「MRIを撮るだけ」の料金ではなく、複数の要素で決まる。
同じMRI検査でも、医療機関や検査内容によって支払い額が異なることがある。撮影部位、造影剤の有無、診察料、画像診断料、採血、薬剤費、施設基準などが関係するためである。
| 費用に影響する要素 | 内容 |
|---|---|
| 保険診療か自費か | 保険適用なら1〜3割負担、自費なら全額自己負担である。 |
| 単純MRIか造影MRIか | 造影剤を使うと、薬剤費や点滴管理などが加わる。 |
| 撮影部位 | 頭部、腰椎、頸椎、膝、骨盤、乳腺、前立腺などで検査内容が変わる。 |
| 診察料 | 初診料・再診料が加わる。 |
| 画像診断料 | 放射線科医や担当医による画像診断の費用が含まれることがある。 |
| 採血・点滴 | 造影MRI前に腎機能確認の採血を行うことがある。 |
したがって、MRI検査の費用は「撮影料」だけでなく、診察から画像診断まで含めた総額で考える必要がある。
保険診療でMRI検査を受ける場合の費用目安
保険診療でMRI検査を受ける場合、自己負担額は年齢や保険の負担割合によって異なる。
多くの現役世代では3割負担である。高齢者では1割または2割負担になることがある。医師が診断や治療のためにMRIが必要と判断した場合、通常は保険診療として行われる。
目安としては、3割負担の場合、単純MRIで数千円〜1万円前後、造影MRIでは1万円を超えることがある。ただし、これはあくまで目安であり、実際には診察料、撮影部位、造影剤、採血、画像診断料などで変わる。
| 検査内容 | 3割負担の費用目安 |
|---|---|
| 単純MRI | 数千円〜1万円前後 |
| 造影MRI | 1万円台になることがある |
| MRI+採血+診察 | 検査だけより高くなる |
| 救急外来・時間外のMRI | 時間外加算などで高くなることがある |
正確な金額は、検査を受ける医療機関に確認するのが最も確実である。
単純MRIと造影MRIの費用の違い
造影MRIは、単純MRIより費用が高くなりやすい。
単純MRIとは、造影剤を使わずに撮影するMRIである。頭部MRI、腰椎MRI、膝MRI、頸椎MRIなどで広く行われる。
造影MRIとは、静脈からガドリニウム系造影剤などを注射して撮影するMRIである。腫瘍、炎症、血管病変、術後変化、感染症などをより詳しく評価するために使われる。
造影MRIでは、造影剤の薬剤費に加え、点滴、注射、腎機能確認の採血、造影剤副作用への確認などが必要になることがある。
- 造影剤の薬剤費が加わる。
- 点滴や注射の処置が加わる。
- 腎機能確認の採血が必要になることがある。
- 造影剤アレルギーや副作用確認が必要である。
- 撮影や画像診断が複雑になることがある。
造影MRIは費用が高くなる一方、単純MRIでは判断しにくい病変を評価できる重要な検査である。
部位別のMRI費用の考え方
MRI検査の費用は、頭部、腰椎、膝、骨盤などの部位だけで単純に決まるわけではない。
実際には、単純MRIか造影MRIか、撮影範囲、撮影シーケンス、診断目的、画像診断料の有無などによって変わる。
| 部位 | よくある目的 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 頭部MRI | 脳梗塞、脳腫瘍、頭痛、めまい、しびれなど | 単純MRIで行われることが多い。必要に応じて造影MRIを行う。 |
| 脳MRA | 脳動脈瘤、脳血管狭窄、血管奇形など | MRIと同時に血管評価を行うことがある。 |
| 腰椎MRI | 腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛など | 単純MRIで行われることが多い。 |
| 膝MRI | 半月板損傷、靭帯損傷、軟骨損傷など | 関節内の軟部組織評価に有用である。 |
| 骨盤MRI | 子宮、卵巣、前立腺、直腸などの評価 | 病気によって造影MRIが必要になることがある。 |
| 乳腺MRI | 乳がんの広がり、高リスク乳がん検診、術前評価など | 造影MRIで行われることが多く、費用が高くなりやすい。 |
「頭部MRIはいくら」「腰椎MRIはいくら」と一律に考えるより、単純MRIか造影MRIか、保険か自費かを確認する方が実際の費用を把握しやすい。
頭部MRI・脳ドックの費用
頭部MRIは、症状があり医師が必要と判断した場合は保険診療になるが、脳ドックでは自費になることが多い。
頭痛、しびれ、麻痺、めまい、脳梗塞疑い、脳腫瘍疑いなどで医師が必要と判断した頭部MRIは、通常は保険適用となる。
一方で、症状がなく、「脳動脈瘤が心配」「脳ドックとして調べたい」という場合は、自費検査になることが多い。脳ドックでは、頭部MRIに加えて脳MRA、頸動脈エコー、血液検査などがセットになることもある。
- 脳梗塞や脳出血が疑われる症状がある。
- 片側の手足のしびれや麻痺がある。
- 脳腫瘍やてんかんの評価が必要である。
- 医師が診療上必要と判断している。
脳ドックは有用なこともあるが、費用は施設ごとに異なり、異常が見つかった場合のフォロー体制も確認すべきである。
腰椎MRI・頸椎MRIの費用
腰椎MRIや頸椎MRIは、腰痛、坐骨神経痛、しびれ、麻痺などの評価に使われる。
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、神経根圧迫、脊髄疾患、腫瘍、感染などを評価するためにMRIが必要と判断されれば、保険診療で行われる。
一方で、症状が軽く、本人希望だけで撮影する場合は、保険適用にならないことがある。
腰痛や首の痛みがあるから必ずMRIが必要というわけではない。神経症状、経過、診察所見、治療方針によって必要性が判断される。
乳腺MRI・前立腺MRIの費用
乳腺MRIや前立腺MRIは、専門的な目的で行われることが多く、造影剤を使うことも多い検査である。
乳腺MRIは、乳がんの広がり、術前評価、乳がんハイリスクのスクリーニングなどで行われることがある。前立腺MRIは、前立腺がん疑い、PSA高値、針生検前の評価などで使われることがある。
これらは単純な「体のMRI」ではなく、専門性の高い撮影方法や画像診断が必要になることが多い。そのため、自費検査か保険診療か、造影剤を使うかで費用が大きく変わる。
乳腺MRIや前立腺MRIを受ける場合は、検査目的、造影剤の有無、結果説明の方法を事前に確認するべきである。
自費でMRI検査を受ける場合の費用
人間ドック、脳ドック、本人希望によるMRI検査は、自費になることが多い。
自費検査では健康保険が使えないため、医療機関や健診施設が設定した料金を全額支払う。頭部MRI、脳MRA、腰椎MRI、乳腺MRI、全身MRI、がん検診目的のMRIなどが自費で行われることがある。
自費のMRI検査は、施設ごとに料金差が大きい。検査だけの料金に見えても、結果説明、画像診断、CD-ROM代、紹介状作成料などが別料金になる場合もある。
- 料金に画像診断料が含まれているか。
- 放射線科医の読影があるか。
- 医師の結果説明があるか。
- 異常が見つかった場合の紹介体制があるか。
- CD-ROMや画像データの費用が別か。
- 造影剤を使うかどうか。
自費MRIは料金だけで選ばず、読影体制と異常時のフォロー体制を確認することが重要である。
MRI検査は保険適用になるか
MRI検査は、医師が病気の診断や治療上必要と判断した場合、通常は保険適用となる。
たとえば、脳梗塞疑い、脳腫瘍疑い、椎間板ヘルニア疑い、脊柱管狭窄症、関節靭帯損傷、子宮・卵巣疾患、前立腺がん疑いなどでMRIが必要と判断される場合である。
一方で、症状がなく、本人の希望で「念のためMRIを撮りたい」「脳ドックを受けたい」という場合は、保険適用にならず自費になることがある。
| 状況 | 保険適用の考え方 |
|---|---|
| 症状があり、医師が必要と判断 | 保険適用になりやすい。 |
| 健診で異常を指摘され精密検査 | 保険診療になることが多い。 |
| 脳ドック・人間ドック | 自費になることが多い。 |
| 本人希望の全身MRI | 自費になることが多い。 |
保険適用になるかどうかは、「不安だから」ではなく、医学的に検査が必要かどうかで判断される。
造影MRIで追加費用以外に注意すること
造影MRIでは、費用だけでなく、腎機能、アレルギー、妊娠、授乳、過去の造影剤副作用を確認する必要がある。
造影MRIでは、ガドリニウム系造影剤が使われることが多い。造影剤は病変を見つけやすくするために有用だが、まれにアレルギー様反応や腎機能に関係する問題が起こることがある。
- 過去に造影剤で発疹、吐き気、息苦しさが出た。
- 腎臓病がある。
- 透析を受けている。
- 妊娠中または妊娠の可能性がある。
- 授乳中である。
- 気管支喘息や重いアレルギー歴がある。
造影MRIでは、料金だけでなく、安全に検査できるかどうかの確認が重要である。
MRI検査を受けられないことはあるか
MRIは強い磁場を使うため、体内金属や医療機器によっては検査できないことがある。
ペースメーカー、人工内耳、脳動脈瘤クリップ、金属片、古いタイプの人工弁、神経刺激装置などは注意が必要である。近年はMRI対応機器も増えているが、自己判断は危険である。
- ペースメーカー・植込み型除細動器
- 人工内耳
- 脳動脈瘤クリップ
- 金属片が体内にある可能性
- ステント、人工弁、人工関節
- 妊娠中または妊娠の可能性
- 閉所恐怖症
MRI検査では、費用より先に「安全に検査を受けられるか」を確認することが重要である。
MRI検査の医療費控除
MRI検査の費用は、治療や診断のために医師の判断で行われた場合、医療費控除の対象になり得る。
国税庁は、医療費控除の対象となる医療費として、医師または歯科医師による診療または治療の対価を挙げている。一方で、健康診断の費用は原則として含まれないと説明している。
つまり、頭痛やしびれ、腰痛、腫瘍疑い、健診異常後の精密検査など、診療の一環として行ったMRI検査は医療費控除の対象になり得る。一方、人間ドックや脳ドックとして受けたMRIは、原則として対象外となる。
- 診断・治療目的のMRI:対象になり得る。
- 症状があり医師が必要と判断したMRI:対象になり得る。
- 健診異常後の精密検査としてのMRI:対象になり得る。
- 脳ドック・人間ドックとしてのMRI:原則対象外である。
- 健康診断で重大な疾病が見つかり治療につながった場合:対象になることがある。
判断に迷う場合は、領収書と診療明細書を保管し、税務署や税理士に確認するのが安全である。
人間ドック・脳ドックのMRIは医療費控除になるか
人間ドックや脳ドックとして受けたMRI検査は、原則として医療費控除の対象外である。
国税庁は、人間ドックや健康診断の費用は、疾病の治療を行うものではないため、原則として医療費控除の対象にならないと説明している。
ただし、健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、かつ、その診断に引き続いて治療を行った場合には、治療に先立つ診察と同様に考えられ、医療費控除の対象になる場合がある。
つまり、「予防目的のMRI」は原則対象外だが、「病気が見つかり治療につながったMRI」は対象になる可能性がある。
MRI検査の費用が高いと感じたときの確認ポイント
MRI検査後の会計が思ったより高い場合、診療明細書を確認すると理由がわかることがある。
特に造影MRIでは、造影剤、注射、採血、画像診断料、初診料などが加わるため、単純MRIより高くなりやすい。
- 初診料または再診料
- MRI撮影料
- 画像診断料
- 造影剤の薬剤料
- 注射・点滴の費用
- 採血などの費用
- 時間外・休日加算
不明な点がある場合は、会計窓口で診療明細書を確認し、どの項目で費用がかかっているか聞くとよい。
CT検査とMRI検査の費用の違い
CT検査とMRI検査では、検査の仕組みも費用の考え方も異なる。
CTはX線を使って短時間で撮影できる検査である。肺、骨、出血、腹部救急などに強い。MRIは磁場と電波を使い、脳、脊髄、関節、骨盤内臓器などの軟部組織の評価に強い。
費用は検査内容によって異なるが、一般にMRIはCTより検査時間が長く、予約制で行われることが多い。どちらが高いかは、造影剤の有無、撮影部位、保険か自費かで変わる。
| 検査 | 特徴 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| CT | X線を使う。短時間で撮影できる。 | 単純CTか造影CTかで変わる。 |
| MRI | 磁場と電波を使う。軟部組織評価に強い。 | 単純MRIか造影MRIか、部位で変わる。 |
CTとMRIはどちらが優れているというより、調べたい病気や部位によって使い分ける検査である。
MRI検査を安く受ける方法はあるか
病気の診断や治療のために必要なMRI検査では、安さだけを優先すべきではない。
保険診療で必要と判断されるMRIであれば、保険が使えるため自己負担は一定程度抑えられる。一方で、自費のMRI検診では、施設ごとに料金が異なる。
自費で受ける場合は、料金だけでなく、画像診断を誰が行うのか、結果説明があるのか、異常時に紹介してもらえるのかを確認する必要がある。
- 料金に画像診断が含まれるか。
- 放射線科医の読影があるか。
- 結果説明があるか。
- 異常時の紹介体制があるか。
- 追加料金がないか。
安いMRI検査でも、結果の説明やフォローが不十分であれば、結局別の医療機関を受診する必要が出ることがある。
よくある質問
MRI検査はいくらかかるか?
保険診療3割負担の場合、単純MRIでは数千円〜1万円前後、造影MRIでは1万円を超えることがある。ただし、診察料、撮影部位、造影剤、採血、画像診断料などで変わる。
MRI検査は保険適用になるか?
医師が診断や治療のために必要と判断した場合、通常は保険適用となる。一方、脳ドックや本人希望の検査は自費になることが多い。
造影MRIはなぜ高いのか?
造影剤の薬剤費、点滴・注射、腎機能確認の採血、造影剤副作用への確認などが加わるためである。
MRI検査は医療費控除の対象になるか?
診断・治療目的で医師の判断により行われたMRIは、医療費控除の対象になり得る。一方、人間ドックや脳ドック目的のMRIは原則対象外である。
CTとMRIはどちらが高いか?
検査内容によって異なる。単純か造影か、撮影部位、保険か自費かで変わるため、一律には言えない。
MRIは被ばくするか?
MRIはX線を使わないため、CTのような電離放射線による被ばくはない。ただし、強い磁場を使うため、金属や医療機器には注意が必要である。
まとめ
MRI検査の費用は、保険診療か自費検査か、単純MRIか造影MRIか、撮影部位、診察料、画像診断料、採血の有無によって変わる。
医師が病気の診断や治療のために必要と判断したMRI検査では、通常は保険適用となる。3割負担の場合、単純MRIで数千円〜1万円前後、造影MRIでは1万円を超えることがある。
脳ドック、人間ドック、本人希望によるMRIは、自費になることが多い。自費MRIでは料金だけでなく、放射線科医の読影、結果説明、異常時の紹介体制を確認することが重要である。
造影MRIは、造影剤を使うことで病変をより詳しく評価できる一方、費用が高くなり、腎機能やアレルギーの確認が必要になる。
MRI検査の費用が気になる場合は、検査前に「保険適用か自費か」「単純MRIか造影MRIか」「総額の目安」「追加費用の有無」を確認するとよい。
関連記事
出典
- RadiologyInfo.org. MRI Safety.
- RadiologyInfo.org. Contrast Materials.
- 国税庁. No.1122 医療費控除の対象となる医療費.
- 国税庁. No.1122 医療費控除の対象となる医療費:人間ドック・健康診断等の費用.
- 日本医学放射線学会. 画像診断・放射線診療に関する情報.





