Examination of the urine of bacteria Eye-catching image

 

健康診断などの尿検査で異常が見つかり、再検査になることがあります。

尿検査で尿から細菌が出てしまい、細菌尿と言われることは意外と多くあります。

そこで今回は

  • そもそも細菌尿とは?
  • どんな検査で細菌尿がわかるのか?検査方法
  • 尿に細菌が出た場合の採尿方法
  • 尿に細菌が出て熱がある場合に考えられる病気

これらについてまとめてみました。

これを読めば細菌尿について理解できること間違いなしです!


そもそも細菌尿とは?

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細菌尿の定義は、無菌的に採尿した尿の中に、細菌が1 ml中に10万個以上あるもののことです。

尿検査での基準値は1+以上で異常値となります。

健康な方の尿は無菌ですが、紙コップで採尿する方法の場合は、尿道や外性器の常在菌や雑菌が混入しやすくなっています。

また、室温で長時間放置するとさらに、外部から落下した細菌も加わることで、細菌が増殖することもあります。

そのため、一般的な尿の検査の場合は尿に細菌が混入することが多くなります。

ですので、できる限り菌が入らないように無菌的に採尿し、短時間で検査を行った上で、多量の細菌が見つかった場合に「細菌尿」と呼びます。

また、細菌尿と合併して真菌トリコモナスなどが出現することもあります。

細菌の基準値などについて詳しくはこちら→尿沈渣で細菌が・・・基準値や原因まとめ!考えられる疾患は?

尿に細菌が出た場合の検査方法は?

細菌尿の検査の方法5つあります。

  1. 亜硝酸塩試験(試験紙検査)
  2. 尿沈渣
  3. 塗抹・培養
  4. 定量培養検査
  5. 自動分析法

の5つです。

これら5つの検査は、最初から5つ全部おこなうわけではありません。

一番一般的で簡易な検査は、尿試験紙法とも言われる試験紙検査です。

尿試験紙法は、スクリーニング検査として広く用いられています。

ここで細菌尿の可能性がある場合や、腎臓・泌尿器の病気の可能性がある場合に、尿沈渣が行われます。

試験紙法や尿沈渣で膿尿(尿に白血球が認められる状態)があった場合、塗抹標本で染色したり、定量培養検査などを行うことで細菌尿を確認し、さらに原因になっている菌の特定をしていきます。

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では、それぞれについて詳しく説明していきますね。

亜硝酸塩試験(試験紙検査)

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亜硝酸塩試験などと聞くとなんだか難しそうですが、通常の尿検査と同様に試験紙で短時間に判定できる検査です。

尿に試験紙をつけて、しばらくすると結果が出ます。

尿中には硝酸塩が存在します。

大腸菌や一部のブドウ球菌、腸球菌、緑膿菌などの細菌は、この尿中に存在する硝酸塩を亜硝酸塩に還元する機能があるため、この亜硝酸塩を検出することによって、細菌尿か判定します。

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この検査は特異度が高いため、検査で陽性であれば、ほぼ細菌尿と判定されます。

ただし、細菌が陽性か陰性かのみの検査になりますので、詳しい菌の種類などは特定できません。

ですので、ここで引っかかった場合は、尿沈渣まで調べるのが一般的で、さらに必要に応じて塗抹標本で染色したり、定量培養検査などを菌の同定をおこなっていきます。

尿沈渣鏡検法

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尿沈渣とは尿を遠心分離にかけ、沈殿した固形物を顕微鏡で観察する方法です。

強拡大(400倍)で10〜20個の細菌がすべての視野で見られれば、尿路感染症と判断されます。

塗抹・培養

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スライドガラスに尿を固定した標本を作り、グラム染色によって見極めます。

グラム染色とは細菌を染色することで分類するための方法です。

この染色によって紫に染まった場合は「グラム陽性で、赤く染まった場合は「グラム陰性となります。

さらに培養することで原因の菌を特定していきます。

定量培養検査

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正常な尿の中にも腸内細菌が入ることがありますが、この腸内細菌も尿路感染の原因になります。

そのため、この腸内細菌が尿路感染の原因になっているかどうかを、希釈した尿を培養することで調べます。

尿1μLを培養し、発生したコロニー(菌の集落)の数から菌数を求めて判断します。

コロニーとは、一つだけでは見えにくい小さな細菌を培養することで菌が集まり、見えやすくすることで菌数がわかるようになります。

尿1ml 中の細菌数はCFU(colony-forming units)で表され、105CFU/ml(1μLの培養で100コロニー)以上あると細菌尿と診断されます。

ただし、カテーテル尿の場合は104CFU/mlで細菌尿となります。

1回目の検査で105CFU/ml以上と出た場合は80%、2回目でも105CFU/ml以上と出た場合は95%の確率で細菌尿の可能性があると推定できるとされています。

自動分析法

採尿した尿をそのまま分析装置にかけるだけで自動的に細菌の有無や形態などを短時間で確認できます。

高感度ではありますが、高価なため、大規模な病院の検査室などで使われており、今後普及していくと思われます。

これらの5つの検査方法により、細菌尿を同定・診断していきます。

 

では、次に尿の採尿方法について解説します。

尿に細菌が出た場合の採尿方法は?

特に細菌が出た場合に再検査する場合は、雑菌が混入しないように採尿しなければなりません。

ここでは、採尿方法について説明します。

尿の採取方法は3つあります。

  • 自然採尿
  • カテーテル尿(導尿)
  • 膀胱穿刺尿
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

自然採尿

自然採尿というのは、排尿開始直後の尿で尿道周辺の雑菌や常在菌を洗い流した後の中間尿を採取することです。

女性の場合は特に外陰部を拭き取った上で、尿が周囲に当たらないように採尿することで、雑菌の混入をある程度は防ぐことができます。

しかし、このように採尿しても菌が入る可能性はあります。

無菌状態で採尿できる方法もありますので、以下で紹介しますね。

カテーテル尿(導尿)

尿道からカテーテルという管を入れて、膀胱から直接尿を採取します。

この場合、無菌的に尿を採取できますが、不快感が大きく、カテーテルによって尿道が傷ついたりすることで尿路感染症になる可能性もあります。

そのため、このカテーテルでの採尿は、自然採尿が困難な場合の方法となります。

膀胱穿刺尿

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膀胱穿刺尿というのは、恥骨の上の辺りから膀胱に直接針を刺して採尿した尿のことです。

確実に無菌の尿が採尿できますが、痛みや不快感があるため、自然排尿やカテーテルでの導尿が困難な場合にのみこの方法が取られます。

尿に細菌が出て熱がある場合はどんな疾患が考えられる?

尿に細菌が出ている場合、考えられる主な疾患は膀胱炎腎盂腎炎前立腺炎腎結核などの尿路感染症です。

膀胱炎は熱が出にくいことで知られていますが、他の尿路感染症は一般的に発熱を伴います。

ここでは、

についてみていきましょう。

腎盂腎炎

特に急性腎盂腎炎の場合は高熱が出ます。

他に

  • 悪寒
  • 戦慄(震え)
  • 腰背部痛
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 下腹部の熱感
  • 排尿時の不快感

これらの症状が見られます。

腎盂腎炎について詳しくはこちら→腎盂腎炎の原因は?診断は?抗生剤は何を使う?

腎結核

腎結核の場合は、微熱が出ます。

腎結核は、肺結核から結核菌が血液の流れに乗って腎臓に伝播することで発症します。

腎結核の場合は、尿中に結核菌が見られます。

関連記事

参考書籍

  • 最新 尿検査 その知識と病態の考え方 第2版 p.75-78
  • 尿沈渣ガイドブック 東海大出版会
  • 病気がみえるvol.8 腎・泌尿器

まとめ

今回のお話をまとめます。

  • 細菌尿とは、無菌的に採尿した尿から細菌が105個以上/mlある尿のことである
  • 尿に細菌が出た場合の再検査時の採尿方法
    • 自然採尿で中間尿を採る
    • カテーテル尿(導尿)
    • 膀胱穿刺尿
  • 尿に細菌が出た場合の検査方法は
    • 亜硝酸塩試験(試験紙法)
    • 尿沈渣
    • 塗抹・培養
    • 定量培養検査
    • 自動分析法
  • 尿に細菌が出て熱がある場合に考えられる疾患は腎盂腎炎と腎結核

 

いかがでしたか?

自然に採尿した場合は、細菌が混入しやすく、細菌が陽性と出る方は多いですが、尿道口周辺を清潔にした上で検査することで正しい判断ができます。

また、細菌が検出されても、様々な検査により細菌の種類を特定していくことで、原因菌を特定し、それに合わせた治療をしていきます。

細菌尿が出ても、異常がない場合もありますので、再検査の結果を待ちましょう。




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