腎盂腎炎は、腎臓(腎実質・腎盂・腎杯)に細菌が入り込んで炎症を起こす疾患です。

女性に多く、急性のものと慢性のものに分かれ、それによって治療期間も変化します。

今回のお話しはそんな腎盂腎炎(英語表記で「Pyelonephritis」)になった時の入院について

  • 腎盂腎炎が入院となるのはどんなときか
  • 入院期間と退院後の過ごし方、費用の考え方
  • 腎盂腎炎の治療法

などを解説したいと思います。

病気の原因や診断の進め方は、腎盂腎炎の原因は?診断は?抗生剤は何を使う?にまとめています。

参考になさってください。

先に結論

  • 症状が軽〜中等症なら、飲み薬での通院治療になることもあります。高熱・嘔吐で水分がとれない、ぐったりしている、敗血症が疑われるときは入院して点滴で治療します。
  • 入院期間は、数日〜1週間程度のことが多いとされますが、重症度や基礎疾患で大きく変わります。
  • 熱が下がって退院しても、飲み薬(抗菌薬)が続くことがあります。自己判断でやめないでください。
  • 入院費用は治療内容や病室、期間、施設で異なります。具体的な金額は入院先に確認してください。
  • 病気の原因や診断の詳細はこちらの記事で解説しています。
腎盂腎炎って、入院しないといけないの?
軽ければ飲み薬で通院治療できますが、高い熱で水分がとれない、ぐったりしているときは入院して点滴で治療しますよ。

腎盂腎炎で入院が必要となるのは?

Pyelonephritis Hospitalization

腎盂腎炎は重症になると細菌が全身を回り、敗血症を起こすことがあり、ときに命に関わる病気です。

また長期間気が付かず放っておいた場合には腎不全を起こしてしまうこともあります。

また、その他、腎盂腎炎から重篤かつ難治性となる特殊なものとして

  • 気腫性腎盂腎炎
  • 黄色肉芽腫性腎盂腎炎
  • 腎膿瘍
  • 腎周囲膿瘍
  • 腎乳頭壊死

などがあります。

そのため、このような重篤な状態に陥らないためにも、病院で安静を保ち、点滴などで治療する入院管理が必要となることがあります。

腎盂腎炎で入院になる基準は?

まず、腎盂腎炎の症状として、

  • 発熱
  • 寒気
  • 腰背部痛
  • 頻尿
  • 排尿痛
  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振
  • 悪心
  • 嘔吐

などがあります。

通常、急性期の腎盂腎炎では適切に治療を行えば、数日ほどで解熱し、症状も軽くなっていくことが多いです(個人差があります)。

しかし、これらの臨床症状が強く、菌血症や敗血症が疑われる場合は、入院安静治療の適応となります1)。

Pyelonephritis Hospitalization1

基本的には、医師の診断において、

  • 外来治療可能な場合、軽症〜中等症
  • 入院加療が必要な場合、重症

とされます。

また、慢性複雑性腎盂腎炎の場合、基礎疾患の正確な把握のために、入院管理のもと詳しい検査をすることもあります2)

入院となるかどうかは、早期受診、早期治療開始が重要となります。

ただし、入院ができないクリニックなどの場合は、毎日抗生物質の点滴を受けに来るように言われることもあります。

治療の場所の目安の表

腎盂腎炎で入院した場合の期間は?

  • 目安は、数日〜1週間程度(個人差が大きい)

数日から1週間ぐらい入院して点滴治療を受けることが多いとされています。

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しかし、重症の場合や、腎膿瘍などの合併症がある場合は、入院が長くなることもあります。

さらに、尿路の通過障害など基礎疾患が原因で腎盂腎炎を起こした場合も、入院期間が長くなることがあり、症状や年齢に応じた個人差も大きい特徴です。

退院の目安と、退院後に気をつけること

退院の時期は医師が判断しますが、一般には次のような状態が目安になります。

  • 熱が下がり、全身の状態が安定している
  • 食事や水分がとれる
  • 点滴から飲み薬に切り替えられる

短期で退院となった場合も、退院後に抗生物質の内服は続ける必要がありますので、主治医の指示に従いましょう。合併症のない急性腎盂腎炎の女性を対象にした試験では、シプロフロキサシンを7日間使った場合も14日間使った場合と治療成績が同程度でした(Sandberg 2012)。ただし、薬の種類や状態によって必要な期間は異なるため、飲む期間は医師の指示に従ってください。

退院後は、次のような点に注意しましょう。

  • 症状が軽くなっても、処方された薬は最後まで飲みきる
  • 水分を適度にとり、尿を我慢しすぎない
  • 再び発熱、腰背部痛、排尿時の痛みなどが出たら、早めに受診する
  • 尿検査などの再診が指示されたら受けておく

腎盂腎炎の入院体験談は?

医師

では、実際入院を経験した方はどうだったのでしょうか?

いくつか体験談を紹介します。

  • 「腎盂腎炎で入院し、抗生物質点滴で治療を受けるため、3日間ほど入院した。」
  • 「母が体の震え・高熱・吐き気・腹痛で緊急入院した。」
  • 「CTエコーで腎盂腎炎と診断され、入院期間は1週間ほどと言われた。」
  • 「腎盂腎炎で入院し退院した後、膀胱炎のような症状が出てきてしまい、また受診した。」

腎盂腎炎は、再発することもあるため、しっかり治療をするために、重篤な症状が出ていなくても初めから入院をすすめられることもあります。

点滴を受けながら入院で休む女性

腎盂腎炎の入院費用の考え方

腎盂腎炎で入院といっても、

  • どんな治療をしたか
  • 病室は個室なのか大部屋なのか
  • 入院期間

などで変化します。

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入院費用は、点滴を中心とした治療か、画像検査や基礎疾患の治療が加わるか、また病室の種類(個室・大部屋)や入院日数によって変わります。具体的な金額の目安は施設や制度の改定で異なるため、入院先の窓口で確認してください。

基礎疾患の治療や画像検査などが必要となると、費用もかさみます。

医療費の自己負担が高額になったときは、高額療養費制度の対象になることがあります。

※価格は、個人差(症状や基礎疾患)・病院差(設備・病室・検査等)がありますので、詳しくは入院をする病院にお問い合わせください。

入院費用の内訳と、負担をおさえる制度

入院費用は、健康保険がきく部分と、きかない部分に分けて考えるとわかりやすくなります。点滴や検査、診察などの保険診療の部分は、自己負担割合に応じた額を支払います。一方、入院中の食事代や、希望して利用する個室などの差額ベッド代は、高額療養費の計算には含まれません(協会けんぽ、厚生労働省)。個室を使うかどうかで総額が変わりうるため、差額が生じる部屋かどうかと金額は、入院前に病院の窓口で確かめておくと安心です。

高額療養費制度は、1か月に支払った保険診療の自己負担が上限額を超えたとき、超えた分が支給される制度です。上限額は年齢や所得に応じて決まります(厚生労働省)。入院のときは、限度額適用認定証を医療機関の窓口で出すか、マイナ保険証を使うと、月ごとの上限を超える分を窓口で支払わずにすみます。認定証は、加入している健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の窓口で手続きします。

上限額や自己負担の割合は制度の改定で変わるため、具体的な金額は加入先の保険者と入院先の窓口で確認してください。入院が決まった時点で相談すると、手続きに間に合います。

腎盂腎炎の治療法は?

腎盂腎炎の治療は、基本的には内科的な薬物療法となります。

医師
急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎と分けて、治療法を説明します。

※抗菌薬の選び方など、診断や治療の詳細はこちらの記事も参考にしてください。

急性腎盂腎炎の治療法

  • 抗菌薬(抗生物質)の投与
  • 水分摂取(利尿を促すため)

が必要となります。

抗菌薬は、ニューキノロン系・セフェム系・ペニシリン系・アミノグリコシド系などが選択されます。

ただし、腎臓に膿瘍(のうよう)を形成した場合などは、膿瘍ドレナージ術といった腎臓にドレナージチューブを留置する処置が取られることもあります。

腎臓の膿瘍についてはこちらを参照ください→急性腎盂腎炎・AFBN・腎膿瘍のCT画像所見まとめ!

慢性腎盂腎炎の治療法

尿路に基礎疾患の患者に起こるものなので、基礎疾患の治療が主となります。

しかし、急性経過時や発熱などの炎症反応が見られる時には、抗菌薬が使われます。

関連記事)腎盂腎炎の原因は?診断は?抗生剤は何を使う?

尿から細菌が見つかったときの検査や、熱があるときに考える病気については、尿の細菌の検査方法!採尿方法・鑑別疾患まで!で解説しています。

腎盂腎炎の入院に関するよくある疑問

Q. 入院せずに治療できますか?

症状が軽〜中等症で、水分や薬が口からとれる場合は、外来で飲み薬による治療を行うことがあります。ただし、高熱が続く、嘔吐で薬が飲めない、ぐったりしているときは入院が必要になることがあります。

Q. 退院後も薬を飲むのはなぜですか?

熱が下がっても、腎臓の中の細菌がすべていなくなったとは限らないためです。薬を途中でやめると再発することがあるため、医師の指示した期間を守りましょう。

Q. すぐ受診したほうがよい症状は?

高熱、悪寒、腰や背中の痛み、吐き気や嘔吐、排尿時の痛みなどがあれば、夜間や休日でも早めに医療機関を受診してください。

参考サイト・文献:
1)重篤副作用疾患別対応マニュアル 腎盂腎炎 厚生労働省より
2)JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器P248〜250

Sandberg T, et al. Ciprofloxacin for 7 days versus 14 days in women with acute pyelonephritis. Lancet 2012(PubMed)

最後に

  • 腎盂腎炎とは腎盂に細菌が入り込んで炎症を起こす疾患
  • 症状によっては入院したほうがいい場合もある
  • 腎盂腎炎の治療の基本は抗生剤の点滴治療
  • 入院期間は数日〜1週間ほどが目安(個人差が大きい)
  • 腎盂腎炎は再発が起こりやすい為、退院後の内服と経過観察が欠かせない

 

重症化すると腎不全などの重大な病気に発展する可能性がある怖い疾患です。

早期に受診し、治療を開始することで、入院とならずに済むこともあります。

症状を我慢せず、夜間休日でも受診をオススメします。

参考になれば幸いです。