小児に起こるてんかんの1つにレノックスガストー症候群(Lennox-Gastaut症候群)という病気があります。難治てんかんで、予後不良で知的障害を伴うこともあります。
今回は、このLennox-Gastaut症候群について
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
についてご説明したいと思います。
レノックスガストー症候群とは?
Lennox-Gastaut症候群とは、強直発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作など、多彩な発作型を示す難治性てんかんです。
てんかん発作の間欠期に、脳波検査において1~2.5Hzの全般性遅棘徐波複合(slow spike & wave complex)を呈するものを一括した疾患名です。
基礎疾患に器質性脳障害を持つことが多く、1歳~8歳の小児に起こるもので、特にその中でも3歳~5歳に好発します。
レノックスガストー症候群の症状は?
様々なてんかん発作が混在します。
- 強直発作
- 非定型欠神発作
- ミオクロニー発作
- 脱力発作
- 強直間代発作
強直発作
突然意識を失います。意識を失う時間は数秒~数十秒で、歯を食いしばり、直立で手足を伸ばした状態で呼吸が止まり、全身を硬くします。更に顔面蒼白、唇も青くなるといった症状も見られます。
非定型欠神発作
目が虚ろで呼んでも返事をしない、力が抜けた状態の発作で、意識消失した状態が数十秒ほど続き、ハッと気づくと自分が何をしていたのか、一瞬見失ったような感覚になります。
ミオクロニー発作
筋肉の一部がビクッと収縮する発作で、連続して起こることもあります。手や足、瞼など、体の一部がビクつく症状です。
脱力発作
全身の筋肉に力が入らなくなり、脱力するように倒れてしまう発作です。数秒以内と短い継続時間ですが、ハッと気づくと倒れていることもあります。
強直間代発作
強直発作と間代発作が突然起こります。発作が起きてすぐ、意識が朦朧とした状態となり、30分~1時間の自然睡眠に移ることもあります。
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レノックスガストー症候群の原因は?
- 子宮内感染
- 先天性代謝異常
- 神経皮膚症候群
- 結節性硬化症
- 新生児低酸素性虚血性脳症
- 脳炎
- 脳症の後遺症
など。
約25%はWest症候群からの移行とも言われています。しかし、原因不明なこともあります。
レノックスガストー症候群の診断は?
脳波検査を行い、診断します。
Lennox-Gastaut症候群では、発作間欠期に1~2.5Hzの全般性遅棘徐波複合(slow spike&wave complex)が特徴的に見られます。
レノックスガストー症候群の治療法は?
発作の種類に合わせて薬を検討します。また、脳腫瘍や脳の異常が原因の場合、外科的治療を行うこともあります。
- バルプロ酸
- クロナゼパム
- ベンゾジアゼピン系のてんかん薬
複数のてんかん発作が起こるので、1つの薬を使うのではなく、様々な薬を併用して治療を行います。しかし、治療を行っても完治は難しく、ケトン食療法や転倒発作抑制のため、脳梁離断術を行うこともあります。
最後に
- 多彩な発作型を呈する、小児に起こる難治てんかん
- 様々な先天性代謝異常が原因となるが、不明なこともある
- 脳波検査を行い、特徴的な全般性遅棘徐波複合(slow spike&wave complex)を確認する
- 様々な薬を併用して治療する
- 完治は難しく、ケトン食療法や脳梁離断術を行うこともある
しかし、治療を行っても発作の抑制が困難で、てんかん重積状態になりやすくなります。また、中にはレノックスガストー症候群の症状はなくなっても、他のてんかんに移行することもあります。
しかし、根気強く治療を続けることで改善する例も中にはあるため、治療を続けることに意味があります。