人間ドックなどでも検査されることが多い、非常にメジャーな腫瘍マーカーの一つであるのが、このCEA(読み方はそのままシーイーエー)です。

「CEAの数値が高値を示した場合、どのような可能性がある?」

結論から申し上げると、CEA高値=がん、ではありません。

CEAが高値と言われて、いろいろ調べたけども結局何も悪いものは見つからなかったということも多々あります。

ただし基準値よりも大幅に高値の場合は、がんの可能性がより高くなります。

また、前回と比べてCEAの数値が上昇傾向の場合も注意が必要です。

今回は、

  • CEAの基準値(正常値)
  • CEAが高値を示す病気・原因
  • そもそもCEAとは?

と言ったことを中心に、CEAについてまとめました。


CEAの基準値(正常値)は?

CEAの基準値(正常値)は5.0 ng/ml以下です。

単位は、ng/ml (ナノグラムパーミリリットル)です。

ただし、注意点として、検査キットによって値が異なることがあるので、異なった施設間で単純に数値を比較するのには注意が必要であるということです。

つまり、ある施設Aで測定したら、3ng/mlだった。

次にある施設Bで測定したら、4ng/mlだった。

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腫瘍マーカーであるCEAが上昇している、どこかに癌があるかもしれない!と安易に考えてはいけないということですね。

CEAが高値となる病気・原因は?

どんな病気・原因でこのCEAが上がるのですか?
以下の病気や原因が挙げられます。
  • 消化器癌:大腸がん、胃がん、胆道がん、膵がんなど
  • 他の腫瘍:肺がん、甲状腺髄様がん、乳がん、子宮がん、尿路系のがんなど
  • 良性疾患:肺炎、気管支炎、結核、潰瘍性大腸炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、糖尿病、腎不全、甲状腺機能低下症など
  • その他:ヘビースモーカー(高度喫煙者)、妊婦、新生児、加齢

 

といった病気や原因であがることがあります。

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がんでは、主に腺がんでこのCEAは産生されて、大腸がんが特に有名です。

ただし、大腸がんの早期では、ほぼ基準値以内であり、残念ながらCEAで早期の大腸がんを見つけるのは厳しいのです。

ということは、大腸がん検診の補助診断にはなりますが、CEAだけで大腸がんがないとはとても言えないということです

これは胃がんや他のがんでも同様です。

また、CEAが高めだからといって、すぐにがんかというとそうでもありません。

上にあるように、良性疾患や、喫煙といったことでもこのCEAは上昇してしまうことがあるのです。

このように良性疾患や喫煙などにより、上昇してしまい陽性となることを偽陽性といいます。

特に、喫煙者のCEAが上昇するというのは有名な話です。
喫煙者とがんは見分けがつかないということですか?
どの数値より高い場合は特にがんを疑うのかというと、一般的に10ng/ml以上のときは、がんの可能性がより高くなります。
  • 良性疾患でCEAが上昇することがあるが、軽度高値のことが多い。多くは20 ng/ml以下。
  • 一方で、10~20 ng/ml の中等度陽性では、およそ70-80%を癌(がん)が占めると報告されています。

 

そもそもCEAとは?

CEAについて教えてください。

まず読み方はそのまま、シーイーエーです。

癌胎児性抗原という意味で、英語では、carcinoembryonic antigenの頭文字をとって、CEAとなります。

このCEAは最初発見されたときは、大腸がんに特異的な腫瘍マーカーとして注目されましたが、大腸がん以外にも様々ながんや正常組織にも含まれていることがわかりました。

機能的には、胎生期における腸管の器官形成に関与すると考えられています。

CEAの評価の注意点

CEAが上がった時の評価の注意点ってありますか?
上に述べたように、あくまで補助診断として、大腸がんや胃がん、肺がんなどの検索に用いられます。

特に大腸がんや胃がんでは、CEAが上昇してくるときは、進行していること多く、またこのCEAの値が高い場合は、手術をしても再発の可能性が高いと言われており、手術で取りきれたとしても定期的なフォローが特に必要となります。

逆にこのCEAはがんがあり、手術をしたあとに、再発の有無を判断する、つまり術後のモニタリングには有用性が高いと言われています。

手術をしたあとに、徐々にCEAが上昇してくるようだと、再発はしていないか画像検索などを積極的にする必要があるということです。

また、転移などない場合、手術をしてがんを取り切れば、約2週間でCEAの値は正常化すると言われています。

CEAの陽性率とがんの進行度の関係は?

がんの進行度とこのCEAの値に相関ってあるんですか?
CEAはがんの進行が進むにつれて陽性率が高くなっていきます。
大腸がんのDukes D、胃がんのstageⅣでの陽性率はそれぞれ63-88%、19-69%と高値です。

一方で、Dukes A、stageⅠでは、それぞれ5-27%、0-17%と非常に低いことがわかります。

がんの有無をチェックするためのスクリーニング検査としてはあまり使えないことがわかりますね。

最後に

人間ドックなどで、単発でこのCEAの少し値が高い場合、がんの検索をされることもありますが、良性病変や喫煙などでも上がることがあるということは覚えておきましょう。
また、このCEAが基準値内だから大腸がんや胃がんなどがないとは言えないので解釈には注意が必要です。



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