50歳以上の日本人の約80%は感染していると言われているピロリ菌。
感染経路はまだはっきりと解明されたわけではありませんが、親から子供への経口感染も主な経路と考えられています。
胃の粘膜にすみつくピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの疾患を引き起こす要因の1つとなっています。
気になる症状があらわれて検査する方も多くいらっしゃいますが、1度は調べておきたい検査でもあります。
そこで今回は、そんなピロリ菌の検査について
- 費用
- 方法
- キット
- 精度
などについてまとめましたので、参考にされてください。
ピロリ菌の検査の費用は?保険適用ある?
ピロリ菌感染への不安があり、自分が感染しているか知りたいと病院を訪れ、ピロリ菌の検査だけをおこなった場合、実は健康保険が適用されません。
全額自己負担になりますので、注意したいところです。
気になる費用は、
程かかります。
また内視鏡の検査と一緒におこなうと、数万円かかる場合もあります。
保険適用になる場合
ピロリ菌検査で保険適用となるには条件があります。
現在ピロリ菌が原因で起こる疾患を患っている方の場合、保険適用となります。
- 慢性胃炎
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃ポリープ
- 胃がん
などが、ピロリ菌が原因で起こることがあり、これらの患者に関しては保険適用となります。
自宅でできる検査キットの場合
自宅でできる検査キットを使用すれば、安いもので2,700円~、高いものでも6,400円くらいです。
初診料や診察料がかからない分だけ、費用も抑えられます。
ちなみに私は胃カメラのついでにおそらく迅速ウレアーゼ試験でピロリ菌の有無を調べてもらいましたが、かかった費用は15,000円でした。
[adsense]
ピロリ菌の検査の方法は何がある?
内視鏡(胃カメラ)を使わない検査と、内視鏡を使う検査です。
内視鏡を使わない検査(非侵襲的検査)
尿素呼気試験法
診断のため、尿素を含んだ薬を服用し、服用前後の呼気を集め比較して診断をします。
20分くらいで終了しますので、息を吹きかければいいので、比較的簡単におこなえる検査だと言えます。
長所は、簡単・精度が良好・安全である点です。
短所としては、値段が高いことです。
抗体測定
ピロリ菌に感染するとつくられる抗体の有無を調べる検査方法です。
血液や尿を採取して、検査することができます。
長所としては、大量の検体処理が可能で、スクリーニングに有用であることです。
短所としては、昔の感染を認識してしまうことがある点です。
便中抗体測定
上と同じく抗体の有無を調べる検査ですが、便を用いるという点が異なります。
長所としては、精度が良好であり、安全であるということ、病院に行かなくても検査ができるということです。
短所としては、検体採取がやや難しいことが挙げられます。
内視鏡を使う検査
内視鏡を使う検査では、いずれも胃粘膜を採取します。
迅速ウレアーゼ試験
胃粘膜を採取して、ピロリ菌が持っているウレアーゼという酵素を調べる検査です。
長所としては、迅速・簡単・安価であることです。
短所としては、除菌した後の人の場合、精度が下がることです。
培養法
胃粘膜の組織から菌を分離させ、5~7日かけて培養して判定する方法です。
培養させる分、判定までに少し時間がかかります。
長所としては特異度が良好(つまり陽性ならピロリ菌がいることが多い)、薬が効いているかをチェックする薬剤感受性試験が可能であることです。
また菌のタイピングが可能です。
短所としては、やはり判定結果が出るまでに時間がかかってしまうことです。
組織鏡検法
胃の内壁の組織に特殊な染色をして、顕微鏡で様子を観察してピロリ菌を探す方法です。
ピロリ菌以外の菌の発見にもつながることがありますが、死菌か生菌かの判断がつかないことがあります。
長所としては、同時に組織評価が可能であることです。また再評価も可能です。
短所としては、それを判定する病理医により精度が異なるということです。
内視鏡検査を受けることが決まっているなら、ついでに調べてもらうことも可能です。
ちなみに私の場合、ピロリ菌の検査をする予定はなかったのですが、健康診断で引っかかり・・・
再検査で胃内視鏡検査の最中「ついでにピロリ菌も調べておきましょう」という医師の言葉から検査をし、感染がわかりました。
関連記事)ピロリ菌の除菌方法は?費用は?
自宅でできるピロリ菌検査キットとは?
病院での検査のほかに、自宅でピロリ菌検査キットを使用して調べるという方法もあります。
②尿を採取→専門判定機関に郵送して結果を待つ
③便を採取→自宅で即日判定できる
など、検査キットには主に3つの種類があります。
[adsense]
ピロリ菌の検査の精度は?
ピロリ菌検査の中で最も精度が高いと言われているのが、尿素呼気試験法です。
内視鏡で胃粘膜の組織を採取して判定する方法では、胃の一部の粘膜を採取するという部分で、本当は感染しているかもしれないけれど陰性と判断されてしまう誤判定が生じる可能性があります。
自宅で手軽に調べることができるキットも、郵送して判定を診断してもらう点では、医療機関も利用している専門機関もあるので精度については期待ができるでしょう。
(参考書籍:これでわかるピロリ除菌療法と保険適用)
まとめ
- ピロリ菌に感染しているかどうかだけを調べる場合には、全額自己負担になる
- 9,000〜10,000円程かかる
- ピロリ菌が原因となるような疾患がある場合におこなう検査では、保険適用となる
- 内視鏡を使う検査と使わない検査がある
- 尿素呼気試験法が最も精度が高い
内視鏡検査を受ける際に、検査項目に加えてもらうなどすることもできます。
また、手軽に検査キットを利用して自宅で調べることも可能ですので、ピロリ菌感染の心配がある方は、検査を検討してみてくださね。