健康診断でアルブミン・A/G比が低い(高い)と言われたら?基準値・判定区分・原因と受診の目安

健康診断の血液検査で「アルブミンが低い」「A/G比が低い」「総蛋白が高い」などと書かれていると、肝臓や腎臓が悪いのではないか、栄養が足りていないのではないかと心配になる人は多い。
結論からいうと、アルブミンは血液中のたんぱく質の大部分を占め、主に肝臓でつくられる。低いときは、肝臓・腎臓の病気、低栄養、体の炎症などを考える。人間ドック学会の判定区分では、アルブミンが3.9g/dL以上ならA判定、3.7〜3.8がC判定、3.6以下がD判定とされている。ただし、1回の値だけで病気と決めることはできず、総蛋白、肝機能、尿蛋白、炎症の値などとあわせて判断する。
この記事では、アルブミン・総蛋白・A/G比の関係、基準値と判定区分、低い・高いときに考えられる原因、測定方法による差、再検査と受診の目安を整理する。

健診でアルブミンが3.6と言われました。かなり悪いのでしょうか?

3.6以下は、人間ドック学会の判定でD(要精密検査・治療)にあたります。ただ、原因は肝臓や腎臓の病気、栄養、炎症などいろいろです。放置せず、内科で血液や尿の検査を受けて原因を確かめましょう。
この記事のポイント

  • アルブミンは血液中のたんぱく質の大部分で、肝臓でつくられる。残りはグロブリンとよばれる。
  • A/G比は、アルブミンとグロブリンの比率である。人間ドック学会の判定区分に、A/G比の項目はない。
  • アルブミンが低いときは、肝臓・腎臓の病気、低栄養、炎症などを考える。高いときは、脱水のことがある。
  • 測定方法(BCG法・BCP法)で値がずれることがあるため、同じ施設の値で比べる。

アルブミン・総蛋白・A/G比とは

血液中のたんぱく質を合わせたものが総蛋白である。そのうち大部分を占めるのがアルブミンで、残りをグロブリンとよぶ。アルブミンは血管の中に水分をとどめ、ホルモン・薬・ビタミンを運ぶ働きがあり、肝臓でつくられる。グロブリンは感染と戦うことや、栄養素の運搬にかかわり、一部は肝臓で、一部は免疫のしくみでつくられる(MedlinePlus)。
A/G比は、アルブミン(A)とグロブリン(G)の量の比率である。アルブミンが減っても、グロブリンが増えても、A/G比は低くなる。そのため、A/G比が低いと言われたら、どちらが動いているのかを、アルブミンと総蛋白の値から確かめることが大切である(MedlinePlus)。

肝臓と腎臓の位置を示す人体図

基準値と判定の区分

日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)では、総蛋白とアルブミンは次のように分けられている(単位はg/dL)。
総蛋白・アルブミンの判定区分(日本人間ドック・予防医療学会 2026年4月1日改定)
アルブミンには、B判定の区分はなく、3.9以上がA、3.7〜3.8がC、3.6以下がDである。また、アルブミンの上限側の区分は示されていない。総蛋白は、6.5〜7.9がA、8.0〜8.3がB、6.2〜6.4がC、6.1以下または8.4以上がDである(日本人間ドック・予防医療学会 2026)。A/G比は、この判定区分に項目がないため、結果票に載っている場合は、その検査施設の基準範囲と比べて見ることになる。A/G比の基準範囲について、学会などの原本で確認できたものはなかったため、この記事では数値を示さない。
判定区分は初回受診の拠り所とされ、精密検査や治療の結果、原因がはっきりしなかった場合などは、年齢や既往歴などから判定が変更されることもある(同)。

低いときに考えられる原因

アルブミンが低くなる原因には、次のようなものがある。

  • 肝臓の病気:アルブミンは肝臓でつくられるため、肝硬変などで低くなる(MedlinePlus、Intern Emerg Med 2012)
  • 腎臓の病気:腎臓からたんぱく質が尿に漏れ出るネフローゼ症候群などで低くなる(Intern Emerg Med 2012)
  • 低栄養:食事からとるたんぱく質やエネルギーが足りない場合や、吸収の悪い病気でも低くなる(MedlinePlus)
  • 体の炎症・感染:炎症があると血管から漏れ出しやすく、体内でのアルブミンの寿命も短くなる。炎症と低栄養は、ともにアルブミンを下げる(JPEN 2019、Semin Dial 2004)
  • そのほか:甲状腺の病気、重いやけど(MedlinePlus)。なお、妊娠中は低めになるのが正常とされている(MedlinePlus)

アルブミンの低さは、病気そのものというより、背景にある炎症や栄養の状態を映すものと考えられている。アルブミンを点滴で補っても、原因が残っている限り改善しないとされ、大切なのは原因を調べて対応することである(JPEN 2019、Semin Dial 2004)。
高齢の人では、年をとること自体はアルブミン低下の原因ではなく、健康に暮らしている人ではアルブミンは栄養状態のよい目安になる。低いときは、筋肉量の減少とも関連している(Maturitas 2015)。

高いとき・A/G比がずれるときの考え方

アルブミンが高いときは、強い脱水や下痢のことがある(MedlinePlus)。体の水分が減って、血液が濃くなるためで、水分がとれていない状態の目安になる。
総蛋白が高いときは、ウイルス性肝炎などの感染症や、多発性骨髄腫が考えられる。グロブリンが高いときは、多発性骨髄腫などの血液の病気、関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの自己免疫の病気、結核などがある(MedlinePlus)。A/G比が低いときは、自己免疫の病気、肝臓の病気(肝硬変など)、腎臓の病気が考えられ、A/G比が高いときは、まれな遺伝性の病気や白血病が考えられる(同)。
アルブミン・グロブリン・A/G比の動きと考えられること
総蛋白や肝臓の検査値については、総蛋白(TP)の基準値は?高い・低いとどんな病気の可能性がある?、健康診断でAST・ALTが高いと言われたら?肝機能異常の見方と受診目安、肝臓の検査の種類と方法は?血液検査の基準値・画像検査・何科を受診するかに、グロブリンが高くなる病気の一つはベンス・ジョーンズ蛋白とは?検査方法や考えられる疾患を解説にまとめている。

アルブミンが低いのは、栄養が足りないからですか?

栄養不足のこともありますが、それだけではありません。肝臓や腎臓の病気、炎症や感染でも低くなります。そのため、血液検査や尿検査をあわせて、原因を確かめることが大切です。

数値がずれる・一時的に変わる場合

測定方法の違いで、アルブミンの値が変わることがある。アルブミンの測定には、BCG法とBCP法(改良法)があり、人間ドック学会の判定区分でも、両者の差に注意するよう示されている。研究では、BCG法は炎症で増えるたんぱく質の影響で、BCP法より高めに出やすく、とくにアルブミンが低い値ほど差が大きくなることが示されている(Lab Med 2018)。そのため、前の年と値を比べるときは、同じ検査施設・同じ測定方法の結果で比べるとよい。
脱水のときはアルブミンが高めに出る(MedlinePlus)。また、妊娠中は低めになる(同)。検査のときの体の水分の状態や、炎症・感染症の有無(風邪など)でも値は動くため、1回の値だけで判断せず、再検査やほかの項目とあわせて見る。

再検査・受診の目安(何科か)

次のような場合は、再検査や受診を考えてほしい。

  • アルブミンが3.6以下(D判定)、または3.7〜3.8(C判定)
  • 総蛋白が6.1以下、または8.4以上(D判定)
  • アルブミンの低下に加えて、肝機能の値の異常、尿蛋白の陽性、CRP(炎症の値)の上昇がある
  • 体重が減っている、食欲がない、体のむくみがある、尿が泡立つ
  • 前の年より、アルブミンが大きく下がっている

受診する科は、内科(かかりつけ医)でよい。肝臓の病気が疑われるときは消化器内科・肝臓内科、尿蛋白が出ている場合は腎臓内科が目安になる。受診では、血液検査(肝機能・腎機能・炎症の値)、尿検査(尿蛋白)に加えて、必要に応じて、たんぱく質の種類を分けて調べる検査(血清蛋白分画)などが行われることがある(MedlinePlus)。尿蛋白は健康診断で尿蛋白が陽性と言われたら?(±)(+)の意味・原因・再検査と受診の目安、肝硬変は肝硬変の治療法は?腹水や黄疸など合併症によって異なる?も参考になる。

自分でできること

  • 3食を、主食・主菜・副菜をそろえてとる(たんぱく質を含む食品を毎食とる)
  • 体重と食欲の変化に気をつける(食事がとれないときは早めに相談する)
  • 運動を続ける(栄養と運動を組み合わせると、筋肉量の低下を遅らせられる)
  • 健診の結果を、毎年同じ施設で比べる
  • 肝臓・腎臓の病気で食事制限がある人は、主治医の指示に従う(たんぱく質をとりすぎない指示もある)

よくある疑問(Q&A)

Q1. A/G比だけが低いと言われました。
A. A/G比は、アルブミンが減っても、グロブリンが増えても低くなる。総蛋白とアルブミンの値、肝機能、尿蛋白をあわせて、どちらが動いているかを確かめる。
Q2. アルブミンが高いのは、よいことですか?
A. アルブミンが高いのは、強い脱水や下痢のことがある(MedlinePlus)。人間ドック学会の判定区分でも、上限側の区分は示されていない。水分をとって、ほかの項目とあわせて見る。
Q3. 低アルブミンは、食事で上げられますか?
A. 低栄養が原因なら、食事の見直しが大切である。ただし、肝臓・腎臓の病気や炎症が原因のときは、食事だけでは上がらない。まず原因を調べる。
気になる症状や結果があれば、医療機関に相談してください。

参考文献