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先天性の脳動静脈の異常である脳動脈奇形は、破裂すれば脳出血やくも膜下出血となり、命の危険をともなうため手術が重要となります。

しかし脳の手術となると、

「副作用はないのか?」

「後遺症はないのか?」

など、心配も尽きません。

今回は脳動静脈奇形の手術について

  • 方法
  • 費用
  • 時間
  • 後遺症
  • 再発

など、気になるあれこれを徹底的にまとめましたので、参考にしてください。


脳動静脈奇形の手術とは?方法は?

手術は頭を切って開く、開頭手術が最も一般的です。

開頭手術

  1. 脳血管造影で繊細な検査を行う。
  2. 頭蓋骨の一部を開く。
  3. 手術顕微鏡下で、問題の部位を取り除く。

取り除く部位は、脳動脈奇形の入り口から出口で、そこを遮断し切断します。

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脳動静脈奇形の本体は、脳細胞の栄養に関係がありません。

入り口は周囲の正常な脳細胞の栄養に関係している動脈と、病気への動脈の分かれ道であり、出口は病気の血液のみが流れている静脈と、周囲の正常な脳細胞からの血液も流れている静脈の合流点です。

放射線手術(ガンマナイフ)

開頭手術が困難な場合には、ガンマナイフが適用となります。

放射線を使用し、奇形部分を焼き切る手術療法です。

小さな病変に対し、集中的に放射線を照射することで、閉塞させます。

カテーテル手術

足(股の付け根)からカテーテル(細い管)を血管に挿入し、脳動静脈奇形部分まで誘導し、問題の部分を閉塞します。

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開頭手術やガンマナイフと組み合わせて行うこともあります。

脳動静脈奇形の手術費用は?

手術費用は、医療機関や手術の困難度(グレード)、方法によっても異なりますが、実際に脳動静脈奇形で手術をされた方の例を出しますと3割負担で以下の通りです。

  • 開頭手術38万円
  • 血管造影検査費用 10万円
  • 入院費1日約10,000~15,000円前後×入院日数
  • 全身麻酔 10万円

 

入院期間は開頭手術の場合、術後の回復具合や手術をしてみないと分からない(2度に分けて手術を行うこともある)ので、約10日前後から1ヶ月やそれ以上と個人差があります。

この価格は医療機関によっても大きく異なりますので、詳しくは手術予定の病院に予め問い合わせておくのが良いでしょう。

ガンマナイフやカテーテル手術の場合でしたらまた異なり、金額開頭手術よりは安く済み、入院期間も短く済みます

  • ガンマナイフの場合・・・入院期間2泊3日程度
  • カテーテル手術の場合・・・入院期間1週間弱程度

ですが高額医療費制度を使いあらかじめ申請していると、病院窓口での負担額を一定額以内でおさめることが出来ます。

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高額医療費制度とは?

病院などの医療機関窓口で支払う医療費を一定額以下におさめる目的で支給される制度で、1ヶ月に1つの医療機関でかかった費用を世帯単位で合算し、自己負担限度額を超えた分が戻ってくる制度です。

入院前にあらかじめ申請していると、窓口での負担額が一定額以内になりますし、後日申請し返金してもらうことも可能です。

 

1ヶ月入院、2回手術を行い、事前に高額医療の申請をしていたら30万いかなかったぐらいという実際の体験談もありました。

(医療機関や保険内容によっても異なる)

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脳動静脈奇形の手術はどれくらい時間がかかる?

開頭手術は、大変時間のかかる手術の1つでもあります。

かかる時間は、グレードや手術方法によっても手術の困難度が異なり、数時間〜数十時間と様々です。

手術中に問題(合併症)が起これば、それだけ時間がかかることにもなります。

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術後2日間は絶対安静で、血圧コントロールやステロイド投与が行われ、状態が安定(意識レベルやバイタルサイン)するのを待ちます。

脳動静脈奇形の手術後の合併症は?

手術中や手術後にこのような合併症を起こす可能性もあります。

  • 頭蓋内出血
  • 急性脳腫脹
  • アレルギー
  • 脳梗塞
  • 脳損傷
  • 感染症
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 肺気腫
  • 胃潰瘍
  • パーキンソン病
  • 内分泌疾患
  • 精神疾患

 

脳の手術は様々な神経が密集する部位でもあり、それが手術によって神経に損傷を受けると、このような合併症があらわれます。

医師
その合併症によって以下のような症状が現れることもあります。
  • 運動麻痺
  • 片麻痺
  • 両麻痺
  • 運動失調
  • 顔面麻痺
  • 発語障害
  • 嚥下障害
  • 呼吸障害
  • 失行
  • 複視
  • 眼球運動障害
  • 眼瞼下垂
  • 視力・視野障害
  • 聴覚障害
  • 嗅覚障害
  • 感覚脱失
  • 異常感覚
  • 頭痛
  • 精神障害
  • 言語障害
  • 記憶障害
  • 知能障害
  • けいれん
  • てんかん
  • 見当識障害
  • 意識障害
  • 内分泌障害
  • 尿崩症・・・など

ここまで多様な症状があらわれることもあり、最悪の場合、昏睡状態となり死にいたることもあるということも忘れてはいけません。

怖いですが、それだけ脳の手術にはリスクもつきまとうため、信頼できる医師・病院にお願いしたいですよね。

また合併症はなくても、脳の手術後には頭痛やめまい、吐き気や倦怠感といった症状をともなうこともありますが、これらは術後の回復と共に落ち着いてきます。

それだけ脳の手術にはリスクをともなうことも知り、術前検査には時間をかけ、信頼できる病院・医師のもと、手術を行うことが重要です。

脳動静脈奇形の手術後の再発は?

手術により奇形部分を全て取り除くことができれば再発はありません

ただし、一時的な塞栓術やガンマナイフでは、奇形自体を取り除くわけではないので、再発の可能性はあります。

再発の可能性は年齢により増加するともいわれています。

破裂を防ぐことが重要なので、定期的な検診や食事や生活習慣に注意して過ごすようにしましょう。

最後に

  • 開頭手術が一般的だが、それが行えない場合、ガンマナイフやカテーテル手術が行われる
  • 手術は方法によっても異なるが、高額医療費制度を高額医療費制度を使い、月の支払額を一定額内におさえられる
  • 手術時間は数時間〜数十時間(長くかかる)
  • 手術中や術後に様々な合併症が起こる可能性がある
  • 奇形部分全てを取り除くことができれば再発はない

 

破裂してからの手術と未破裂段階での予防的手術とでは命の危険度が違います。

手術にはリスクはともないますが、逆にいうと、リスクの全くない手術もありません。

破裂するとそれだけ命の危険も高くなるため、手術の内容や方法等をよく理解した上で信頼できる医師のもと、手術を行うのが良いでしょう。




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