脳動脈瘤の手術をした場合、どれくらいの入院期間が必要なのか気になりますよね。
実は、動脈瘤の状態により異なります。
通常は、動脈瘤があることが分かっていて、まだ破裂していない状態で破裂を防ぐ目的で待機的に手術をします。
破裂をするとクモ膜下出血となりますので、即、命に関わります。
緊急手術が必要となるのが通常ですが、破裂してからある程度時間が経っている場合は待機的に手術が行われることもあります。
その両者を含めて、今回は脳動脈瘤の手術をしたら
- 手術方法
- 手術費用
- 入院期間
という気になる3つの情報についてお話しします。
脳動脈瘤の手術方法は?
脳動脈瘤の場合、未破裂の段階で、破裂を防ぐ目的で手術をおこないます。
未破裂なのに手術はなぜ必要なのかというと、一般に年間で未破裂脳動脈瘤の全症例の0.5〜2%が破裂に至っていると言われています。
最初に述べましたように、破裂すると、即、命に関わるため、破裂を予防する手術が必要となるのです。
手術法は大きく分けてこの2種類です。
- 開頭手術(クリッピング法):手術室での手術
- 血管内治療(コイル塞栓術):透視室での手術
開頭手術(クリッピング法)
全身麻酔をかけ、頭部を開いて手術を行います。
血管の外側から動脈瘤となってる部分の付け根の部分をクリップで挟みます。
破裂の危険性がある部位を縛って破裂を防止させるためです。
後遺症や再発の危険性の少ない治療法と言われていて、3mm以下の脳動脈瘤に適しています。
血管内治療(コイル塞栓術)
足の付け根の血管(大腿動脈)からカテーテルを入れ、脳動脈瘤がある位置にコイルを詰め栓をして破裂を防止する方法です。
開頭手術とは異なり切開しないため、体への負担は少ないものですが、脳動脈瘤の形状によっては手術ができない場合もあります。
短時間で済むため高齢者や体力のない患者向きで、開頭では困難な場所にある脳動脈瘤に適しています。
ただし、コイルが縮むことで再発をきたす場合もあり、定期的な検査が必要な上、手技は難しいものであり、通常限られた施設でしかできません。
破裂した脳動脈瘤の治療は?
破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血の場合、時間との勝負です。
すぐに破裂部位を塞ぐ治療をしなければなりません。
そうしなければ、死に至るケースが多いのです。
手術は基本的に、未破裂脳動脈瘤の破裂予防のための手術と同様に、クリッピング術とコイル塞栓術があります。
それに加え、開頭手術はクリッピング術の他に、動脈瘤トラッピング術・動脈瘤被包術があります。
しかし、コイル塞栓術は血管内手術となるため、脳動脈瘤の形状や性質によって行えない場合もありますし、難しい手枝なため限られた施設でしか行えないため、通常多く行われるのはクリッピング術です。
コイル塞栓術が行えない場合
- 脳動脈瘤の頸部が広い場合
- 脳動脈瘤が大型(巨大)な場合
- 血栓化動脈瘤の場合
などがあります。
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未破裂脳動脈瘤の手術費用の目安は?
今回は未破裂の場合に予防的に行う手術として考え・・・医療機関・入院日数・手術方法・入院する病室によっても費用は差が出ますが、
- 手術代2百万〜3百万円(3割負担で60万〜90万円)+入院費
どちらの手術も、手術だけで2百万円〜3百万円かかることがほとんどですが、実際に支払いをするのはその3割で、60万円〜90万円というわけです。
これに、入院日数分の食費やベッド代、点滴費用等の処置費用が追加されます。
しかし、限度額申請をしていたら、退院時の窓口支払い金額は一定額以内におさえることができ、高額医療費控除の対象ともなります。
また、保険内容によっては返って来る金額もありますので、全部が全部支払わなければいけない金額というわけではありません。
予め、入院前に限度額適用認定証交付申請をして、手術に臨むことをオススメします。
そうすることで病院にその届け出を提出し、窓口の支払いが自己負担限度額までとなり、手術が1回で済むとは限らなかったり、入院期間が長くかかる場合等にも助かります。
更に、術後の合併症が出れると、そちらの治療も必要になり入院期間ものびるため、また金額も異なってくることを頭に入れておいた方が良いでしょう。
脳動脈瘤の手術をしたら入院期間はどれくらい?
この場合、
- 動脈瘤の大きさ
- 合併症の有無、回復具合
- 患者の年齢
によっても入院期間は異なります。
もちろん、未破裂脳動脈瘤なのか、破裂動脈瘤なのか、ここが大きく関係します。
破裂動脈瘤の場合は要するにクモ膜下出血の状態であり、命にかかわる状態ですので、入院期間は長くなりますし、合併症が起こる可能性も未破裂に比べると高くなります。
未破裂脳動脈瘤の場合
手術当日からや手術前日から入院する場合と、手術前に3日程入院して手術に挑む場合などがあります。
- 基本的には、術前3日、術後1〜2週間の入院
となることが多いようです。
ですが簡単な手術の場合は、日帰りや1泊で済むということも多いようですが、合併症などにより中には入院が長引くこともありますので、一概には言えないところです。
破裂脳動脈瘤の場合
この場合は、破裂による症状や合併症の有無が大きく関係します。もちろん、未破裂の場合とは訳が違います。
- 基本、1ヶ月〜3ヶ月と開きはありますが、月単位の入院期間が必要
になってきます。
集中治療室に入り、絶対安静期間を経て、回復を待って一般病棟に移った後、徐々に体を動かし始め様子を見ての退院許可となります。
ですが、中には破裂部位が小さく出血も少量だともっと短くなることもありますが、再出血の恐れもあるため、慎重になりますし、その後リハビリ入院に入ることもあり、入院期間が更に長期化する場合もあります。
参考文献:新・病態生理できった内科学 7 神経疾患 P191・192
参考文献:病気がみえる vol.7:脳・神経 P106〜109
参考文献:全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P146〜151
参考文献:医学のあゆみ 脳動脈瘤-予防と治療の最前線
参考文献:脳卒中データバンク2015P168・169
最後に
- 未破裂脳動脈瘤の場合、日帰り~1週間くらいの入院期間が多いが、中には長引くこともある
- 破裂脳動脈瘤の場合、数ヶ月の入院期間が必要
- 開頭手術(クリッピング法)と血管内治療(コイル塞栓術)という手術法がある
- 費用は手術だけで2,500,000円~3,000,000円はかかる(支払うのは3割)
- 手術等の治療費+{(ベッド代+食事代)×入院日数}→3割
- 入院前に限度額適用認定証交付申請をしておくことをおすすめ
ですがこれはあくまでも目安であり、全ての人に当てはまるものではありません。
入院手術というのは何があるか分からないものですが、入院前に一度おおよその必要入院日数や金額を聞いておくと安心ですね。