健康診断や尿検査の結果で、「尿沈渣で白血球が多い」「尿白血球陽性」「白血球反応あり」と書かれていると、不安になる人は少なくない。

結論からいうと、尿沈渣で白血球が多い場合、膀胱炎などの尿路感染症が代表的な原因である。

ただし、白血球が多いからといって、必ず膀胱炎や腎盂腎炎と決まるわけではない。採尿時の混入、月経、膣分泌物、尿路結石、腎炎、間質性膀胱炎、性感染症、薬剤性の炎症などでも尿中白血球が増えることがある。

また、症状がないのに白血球だけが多い場合もある。尿検査は簡便で有用な検査である一方、1回の結果だけで病名が確定するわけではない。

排尿時痛、頻尿、残尿感、発熱、腰背部痛、血尿がある場合は、尿路感染症や腎盂腎炎などを考えて早めに医療機関へ相談する必要がある。

この記事のポイント

  • 尿沈渣で白血球が多い場合、尿路感染症が代表的な原因である。
  • 膀胱炎では、排尿時痛、頻尿、残尿感、下腹部違和感を伴うことが多い。
  • 発熱や腰背部痛がある場合は、腎盂腎炎の可能性も考える。
  • 月経、膣分泌物、採尿時の混入でも白血球が多く見えることがある。
  • 症状がない場合でも、再検査や尿培養が必要になることがある。

尿沈渣とは何か

尿沈渣とは、尿を遠心分離して沈んだ成分を顕微鏡で観察する検査である。

尿検査には、試験紙で調べる尿定性検査と、顕微鏡で尿中の細胞や結晶などを確認する尿沈渣検査がある。

尿沈渣では、白血球、赤血球、上皮細胞、細菌、円柱、結晶などを確認する。これにより、尿路感染症、血尿、腎疾患、尿路結石などの手がかりが得られる。

尿沈渣で見るもの 主な意味
白血球 尿路の感染や炎症の手がかりになる。
赤血球 血尿、尿路結石、腎疾患、腫瘍などの手がかりになる。
細菌 膀胱炎や腎盂腎炎など尿路感染症を疑う材料になる。
上皮細胞 尿路由来の細胞や採尿時の混入を考える。
円柱 腎臓由来の異常を考える手がかりになる。

尿沈渣は、尿定性検査だけではわからない情報を補う検査である。

尿沈渣の白血球とは何か

尿沈渣の白血球とは、尿の中に混じっている白血球を顕微鏡で確認したものである。

白血球は、体内で感染や炎症に反応する細胞である。尿の中に白血球が多く出ている場合、腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿路のどこかで炎症が起きている可能性がある。

尿中白血球は、尿路感染症でよく見られる所見である。MedlinePlusは、白血球エステラーゼ検査が尿中の白血球や感染のサインを調べる検査であり、陽性の場合は尿路感染症の可能性があると説明している。

ただし、白血球が多いことは「炎症のサイン」であり、それだけで原因を一つに決めることはできない。

尿沈渣の白血球の基準値

尿沈渣の白血球は、一般に少数であれば問題にならないことが多い。

基準値は検査会社や医療機関によって異なるが、顕微鏡の高倍率視野あたり、数個以下を基準範囲とすることが多い。

結果票では、以下のように表記されることがある。

  • 白血球 0〜1/HPF
  • 白血球 1〜4/HPF
  • 白血球 5〜9/HPF
  • 白血球 10〜19/HPF
  • 白血球 多数
  • 白血球 1+、2+、3+

HPFとはHigh Power Fieldの略で、顕微鏡の高倍率視野を意味する。つまり、「1つの視野あたり白血球が何個見えるか」を表している。

結果を見るときの注意点

  • 基準値は施設によって異なる。
  • 白血球の数だけで病名は決まらない。
  • 症状、尿蛋白、尿潜血、細菌、尿培養の結果と合わせて判断する。
  • 採尿方法や月経の影響も考える必要がある。

尿沈渣で白血球が多い場合は、数値だけでなく、症状と他の尿検査項目を合わせて見ることが重要である。

尿沈渣で白血球が多い主な原因

尿沈渣で白血球が多い原因として最も多いのは、膀胱炎などの尿路感染症である。

しかし、白血球が多い原因は感染だけではない。尿路の炎症、結石、腎臓の病気、採尿時の混入などでも白血球が増えることがある。

原因 特徴
膀胱炎 排尿時痛、頻尿、残尿感、下腹部違和感を伴うことが多い。
腎盂腎炎 発熱、寒気、腰背部痛、全身倦怠感を伴うことがある。
尿路結石 血尿や背中・わき腹の痛みを伴うことがある。
採尿時の混入 外陰部や膣分泌物の混入で白血球が多く見えることがある。
月経中の採尿 血液や分泌物が混じり、尿潜血や白血球が陽性になりやすい。
性感染症 尿道炎や膣炎により白血球が増えることがある。
腎炎・間質性腎炎 尿蛋白、血尿、腎機能異常を伴うことがある。

尿沈渣で白血球が多い場合、まずは膀胱炎などの尿路感染症を考えるが、症状が乏しい場合や繰り返す場合は別の原因も考える必要がある。

膀胱炎による白血球増加

尿沈渣で白血球が多い場合、膀胱炎は代表的な原因である。

膀胱炎では、膀胱内で細菌が増え、炎症が起こる。炎症に反応して白血球が尿中に出るため、尿沈渣で白血球が増える。

膀胱炎では、次のような症状が出ることが多い。

膀胱炎でよくある症状

  • 排尿時痛
  • 頻尿
  • 残尿感
  • 下腹部の違和感
  • 尿が濁る
  • 尿のにおいが強い
  • 尿潜血を伴うことがある

排尿時痛や頻尿があり、尿中白血球が多い場合は、膀胱炎を考えて医療機関で相談するのがよい。

腎盂腎炎に注意すべき症状

尿中白血球が多く、発熱や腰背部痛を伴う場合は、腎盂腎炎にも注意が必要である。

腎盂腎炎とは、腎臓に細菌感染が及んだ状態である。膀胱炎よりも重く、抗菌薬治療が必要になる。高熱、寒気、背中やわき腹の痛み、吐き気、全身倦怠感を伴うことがある。

腎盂腎炎を疑う症状

  • 38度以上の発熱
  • 寒気・悪寒
  • 腰背部痛、わき腹の痛み
  • 吐き気、嘔吐
  • 全身のだるさ
  • 排尿時痛や頻尿を伴う

発熱と腰背部痛を伴う場合は、単なる膀胱炎として様子を見ず、早めに受診するべきである。

症状がないのに白血球が多い場合

症状がないのに尿沈渣で白血球が多い場合、採尿時の混入や無症候性細菌尿、慢性的な炎症などを考える。

女性では、外陰部や膣分泌物が尿に混じることで、白血球が多く見えることがある。また、月経中や月経直後の採尿では、尿潜血や白血球が陽性になりやすい。

一方で、症状がなくても尿路に細菌がいることがあり、これを無症候性細菌尿という。妊娠中や泌尿器科処置前などを除き、すべての無症候性細菌尿に治療が必要とは限らない。

症状がない白血球増加では、すぐに抗菌薬を使うのではなく、再検査や尿培養で確認することが重要である。

白血球は多いが細菌がない場合

尿中白血球が多いのに細菌が確認されない場合、無菌性膿尿と呼ばれる状態を考える。

無菌性膿尿とは、尿中に白血球があるのに、通常の尿培養で細菌が検出されない状態である。原因として、抗菌薬内服後、性感染症、尿路結石、間質性膀胱炎、腎結核、薬剤性間質性腎炎、自己免疫疾患などが考えられる。

白血球あり・細菌なしで考えること 説明
抗菌薬内服後 細菌が減っても炎症反応が残ることがある。
性感染症 クラミジアなどでは通常の尿培養で検出されにくいことがある。
尿路結石 結石による炎症で白血球が出ることがある。
間質性膀胱炎 膀胱痛や頻尿を伴うことがある。
薬剤性間質性腎炎 薬剤による腎臓の炎症で白血球が出ることがある。

白血球が多いのに細菌がない場合は、原因を決めつけず、症状や経過に応じて再検査や専門科受診を検討する。

採尿方法による混入に注意

尿沈渣で白血球が多い原因として、採尿時の混入は重要である。

採尿時に、外陰部の分泌物、膣分泌物、皮膚の汚れ、トイレットペーパー、月経血などが混じると、尿中白血球や細菌が多く見えることがある。

MedlinePlusは、尿検査では清潔な中間尿を採ることが望ましく、採尿時の混入を避けるために清潔な採尿方法が重要であると説明している。

中間尿の採り方

  1. 採尿前に手を洗う。
  2. 可能であれば外陰部を清潔にする。
  3. 最初の尿を少し捨てる。
  4. 途中の尿を容器に採る。
  5. 容器の内側に手や皮膚が触れないようにする。
  6. 採尿後は早めに提出する。

白血球が多いと言われたが症状がない場合、まずは正しい方法で再検査することが重要である。

月経中の尿検査と白血球

月経中や月経直後の尿検査では、尿潜血や白血球が陽性になりやすい。

月経血や膣分泌物が尿に混じることで、実際には尿路に異常がなくても、尿沈渣で赤血球や白血球が多く見えることがある。

そのため、月経中に尿検査を受けた場合は、結果を見るときにその情報が重要である。健診機関によっては、月経中の採尿を避け、後日再検査をすすめることがある。

月経中の尿検査で大切なこと

  • 月経中であることを申告する。
  • 尿潜血や白血球が陽性になりやすい。
  • 必要に応じて月経終了後に再検査する。
  • 再検査でも異常が続く場合は精査する。

月経中の異常をすべて月経のせいと決めつけるのではなく、必要に応じて再検査で確認することが大切である。

尿白血球と尿潜血が両方陽性の場合

尿中白血球と尿潜血が両方陽性の場合、膀胱炎、尿路結石、腎疾患などを考える。

膀胱炎では、白血球と細菌に加えて尿潜血が陽性になることがある。尿路結石では、尿潜血が目立ち、炎症により白血球が増えることもある。

一方、腎炎など腎臓の病気では、尿潜血や尿蛋白が持続することがある。特に尿蛋白も陽性の場合は、腎臓内科での評価が必要になることがある。

白血球+潜血で確認したいこと

  • 排尿時痛や頻尿があるか。
  • 発熱や腰背部痛があるか。
  • 肉眼的血尿があるか。
  • 尿蛋白も陽性か。
  • 月経中ではないか。
  • 再検査でも続いているか。

尿潜血と白血球が両方陽性の場合は、症状と尿蛋白の有無を合わせて判断する。

尿白血球と尿蛋白が両方陽性の場合

尿白血球に加えて尿蛋白も陽性の場合、尿路感染症だけでなく腎臓の病気も考える必要がある。

膀胱炎でも軽度の尿蛋白が出ることはあるが、尿蛋白が持続する場合や尿潜血も伴う場合は、腎炎などの可能性も考える。

尿蛋白は腎臓病の重要なサインの一つである。再検査でも尿蛋白が陽性の場合、尿蛋白定量、尿蛋白/クレアチニン比、血液検査、腎機能評価などが行われることがある。

尿白血球だけでなく尿蛋白が続く場合は、放置せず医療機関で相談するべきである。

妊娠中の尿白血球

妊娠中に尿中白血球が多い場合、尿路感染症や無症候性細菌尿に注意が必要である。

妊娠中は尿路感染症が問題になりやすく、症状がなくても尿中に細菌がいる場合がある。妊娠中の尿路感染症は腎盂腎炎などにつながることがあるため、医師の判断で尿培養や治療が検討される。

一方で、採尿時の混入でも白血球が多く見えることがあるため、清潔な中間尿での再検査が重要である。

妊娠中の尿検査異常は自己判断せず、産婦人科で相談する必要がある。

尿沈渣で白血球が多いときの追加検査

尿沈渣で白血球が多い場合、症状や他の検査結果に応じて追加検査が行われる。

膀胱炎が疑われる場合は、尿培養で原因菌を調べることがある。発熱や腰背部痛があれば、血液検査や腎盂腎炎の評価が必要になることがある。

追加検査 目的
尿培養 原因菌と抗菌薬の効きやすさを調べる。
再検尿 一時的な異常や混入を確認する。
血液検査 炎症反応、腎機能、白血球数などを確認する。
腹部エコー 腎盂腎炎、尿路結石、水腎症などを確認する。
CT検査 尿路結石、腎盂腎炎、膿瘍などが疑われる場合に検討される。
性感染症検査 尿道炎や膣炎が疑われる場合に行う。

症状がある場合や異常が繰り返される場合は、尿沈渣だけでなく尿培養や画像検査も含めて判断する。

何科を受診すればよいか

尿沈渣で白血球が多い場合、症状によって受診先が変わる。

排尿時痛、頻尿、残尿感がある場合は、泌尿器科または内科が相談先になる。女性で膣分泌物や外陰部症状を伴う場合は、婦人科も選択肢である。

発熱、腰背部痛、全身倦怠感がある場合は、腎盂腎炎の可能性があるため、早めに内科や泌尿器科を受診する。

受診先の目安

  • 排尿時痛・頻尿・残尿感:泌尿器科または内科
  • 発熱・腰背部痛:内科または泌尿器科を早めに受診
  • 膣分泌物・外陰部症状:婦人科
  • 尿蛋白が続く・腎機能異常:腎臓内科
  • 肉眼的血尿:泌尿器科

症状が強い場合や発熱を伴う場合は、健診結果を待たずに受診することが重要である。

再検査だけでよい場合

症状がなく、白血球が軽度に多いだけの場合は、まず再検査で確認することがある。

採尿時の混入、月経、軽い体調不良、採尿後の時間経過などで一時的に白血球が増えることがあるためである。

再検査では、月経を避け、清潔な中間尿を採ることが重要である。再検査で正常になれば、一時的な異常だった可能性がある。

再検査で確認したい条件

  • 月経中を避ける。
  • 清潔な中間尿を採る。
  • 採尿後は早めに提出する。
  • 排尿症状があるか確認する。
  • 尿蛋白や尿潜血も確認する。

再検査でも白血球が多い場合や、尿潜血・尿蛋白を伴う場合は、医療機関で詳しく相談するべきである。

すぐに受診すべき症状

尿沈渣で白血球が多く、以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診するべきである。

早めに受診すべき症状

  • 排尿時に痛みがある。
  • 頻尿や残尿感がある。
  • 血尿が見える。
  • 38度以上の発熱がある。
  • 寒気がある。
  • 背中やわき腹が痛い。
  • 吐き気や嘔吐がある。
  • 妊娠中である。
  • 糖尿病や免疫低下がある。
  • 高齢で全身状態が悪い。

特に発熱と腰背部痛を伴う場合は、腎盂腎炎の可能性があるため、早めの受診が必要である。

よくある質問

尿沈渣で白血球が多いと膀胱炎ですか?

膀胱炎は代表的な原因である。ただし、白血球が多いだけで膀胱炎と確定するわけではない。排尿時痛、頻尿、残尿感、細菌の有無、尿培養などを合わせて判断する。

白血球が多いのに症状がありません。大丈夫ですか?

症状がない場合、採尿時の混入や一時的な異常のこともある。ただし、再検査でも続く場合や、妊娠中、糖尿病、免疫低下がある場合は医療機関で相談する。

尿白血球が多いと抗菌薬が必要ですか?

必ず必要とは限らない。症状、尿培養、妊娠の有無、基礎疾患などによって判断する。白血球だけで自己判断して抗菌薬を使うべきではない。

月経中だと白血球が増えますか?

月経血や膣分泌物の混入により、尿潜血や白血球が陽性になりやすい。月経中の場合は申告し、必要に応じて月経終了後に再検査する。

白血球が多いのに細菌がないのはなぜですか?

抗菌薬内服後、採尿条件、性感染症、尿路結石、間質性膀胱炎、薬剤性間質性腎炎などが考えられる。症状や経過に応じて再検査や専門科受診が必要になる。

まとめ

尿沈渣で白血球が多い場合、膀胱炎などの尿路感染症が代表的な原因である。

排尿時痛、頻尿、残尿感、尿の濁り、下腹部違和感がある場合は膀胱炎を考える。発熱、寒気、腰背部痛、吐き気がある場合は、腎盂腎炎の可能性があり、早めの受診が必要である。

一方で、白血球が多いからといって必ず感染症とは限らない。月経、膣分泌物、採尿時の混入、尿路結石、腎炎、性感染症、薬剤性の炎症などでも白血球が増えることがある。

症状がない場合は、清潔な中間尿で再検査することが多い。再検査でも白血球が多い、尿潜血や尿蛋白を伴う、症状がある、妊娠中である場合は、医療機関で相談する。

尿沈渣の白血球は、尿路の感染や炎症を示す重要なサインだが、1回の結果だけで判断せず、症状・採尿条件・他の尿検査項目と合わせて評価することが重要である。

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出典

  • MedlinePlus. Urinalysis.
  • MedlinePlus Medical Encyclopedia. Leukocyte esterase urine test.
  • Mayo Clinic. Urinalysis.
  • American Family Physician. Urinalysis: A Comprehensive Review.