耳の穴の奥の鼓膜までを外耳道と言います。この外耳道に炎症を起こす疾患としては、
- 悪性外耳道炎
- 閉塞性角化症
- 外耳道真珠腫
の3つが非常に重要です。
今回は外耳道真珠腫についてまとめました。
外耳道真珠腫の症状は?
- 耳痛
- 頭痛
など。
そもそも外耳道真珠腫とは?
外耳道真珠腫は、真珠腫が外耳道の骨のところに形成される病態で、原因は不明と言われていますが、外傷後などに生じることもあります。
重層角化扁平上皮からなる皮膚の上皮組織(表皮)が何らかの原因で中耳またはその周辺の側頭骨の中に入り込み、これが自働的に増殖し、それから産生される角化上皮剥屑物(ケラチン)が蓄積した病態。
類上皮腫(epidermoid)と組織学的に同一と言われる。
外耳道表皮からの剥離した蓄積物が、外耳道で蓄積して外耳道の骨部へ進展して、拡張させます。外耳道の中でも下壁を中心に剥離物は進展していき、拡張させます。
結果、外耳道は風船上に拡張すると言われています。通常中耳は正常と言われます。
通常40歳以上に発症して、多くは片側に生じます。
扁平上皮癌が発生したという報告もあります。
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外耳道真珠腫のCT画像の特徴は?
同じく外耳道に炎症をきたす閉塞性角化症との違いとしては、外耳道真珠腫は骨侵食、破壊を認める点と言われています。特に外耳道の下壁及び後壁に多いと言われています。
症例 20歳代男性 左耳痛
外耳道に充満する軟部陰影を認めます。鼓膜は圧排されており、外耳道は下壁は不整であり、進展が疑われます。
MRIでは、T1強調像で軟部組織と同程度、T2強調像では炎症よりは低信号を示すと言われています。
外耳道真珠腫の治療は?
保存的治療
病変進展範囲が明らかで乳突洞への進展なく、慢性的な痛みがない場合は、定期的なクリーニングと剥離上皮・腐骨の除去により保存的、内科的な治療を行います。
外科的手術
保存的治療が困難な場合は、
- 耳介後部からの適切な除去(デブリドメント)
- 外耳道形成と欠損部に対する被覆
という手術が必要となりますが、乳突洞への進展がある場合は、乳突洞切除が行われることもあります。
真珠腫の分類は?
- 真性真珠腫(先天性真珠腫)
- 仮性真珠腫(後天性真珠腫)
- 弛緩部型真珠腫
- 緊張部型真珠腫
- 外耳道真珠腫
真珠腫の分類は上のようで、真珠腫は真性と仮性に分けられます。仮性真珠腫は、さらに3つに分けられ、外耳道真珠腫はその中でもかなり稀な真珠腫に分類されます。
最後に
真珠腫性中耳炎の中でも稀な外耳道真珠腫についてまとめました。
外耳道表皮の剥脱したケラチン 物質が異常に蓄積し外耳道を閉塞する閉塞性角化症との鑑別が難しいところもありますが、外耳道真珠腫は骨侵食、破壊を認めるという点で鑑別できると言われています。
治療は重症例でなければ、まずは保存的に加療されるのが一般的です。