耳の穴の奥の鼓膜までを外耳道と言います。この外耳道に炎症を起こす疾患としては、
- 悪性外耳道炎
- 閉塞性角化症
- 外耳道真珠腫
の3つが非常に重要です。
今回は外耳道真珠腫についてまとめました。
先に結論
- 外耳道真珠腫は、耳の穴の骨のところに皮膚のかすがたまり、骨をとかすように広がるまれな病気です。
- 主な症状は耳だれ(耳漏)と、続く鈍い耳の痛みです。初期は症状がなく、気づかれないこともあります(Herranz 2025)。
- 40〜75歳ごろに多く、多くは片側に起こります(Herranz 2025)。
- CTで骨のびらん(侵食)があれば、似た病気の閉塞性角化症と見分けられます(Naiberg 1984)。
- 治療は、定期的な耳の掃除(クリーニング)による保存的治療と、手術のどちらも選ばれます。広がりや症状で決まります。
外耳道真珠腫の症状は?

- 耳だれ(耳漏)
- 耳の痛み(慢性の鈍い痛み)
- 聞こえにくさ(難聴)
などがみられます(Herranz 2025)。初期は症状が乏しく、気づかれないままのこともあります。

そもそも外耳道真珠腫とは?
外耳道真珠腫は、真珠腫が外耳道の骨のところに形成される病態で、原因は不明と言われていますが、外傷後などに生じることもあります。
重層角化扁平上皮からなる皮膚の上皮組織(表皮)が何らかの原因で中耳またはその周辺の側頭骨の中に入り込み、これが自働的に増殖し、それから産生される角化上皮剥屑物(ケラチン)が蓄積した病態。
類上皮腫(epidermoid)と組織学的に同一と言われる。
外耳道表皮からの剥離した蓄積物が、外耳道で蓄積して外耳道の骨部へ進展して、拡張させます。外耳道の中でも下壁を中心に剥離物は進展していき、拡張させます。
結果、外耳道は風船状に拡張すると言われています。通常中耳は正常と言われます。
40〜75歳ごろに多く、若い方にはまれですが、みられることもあります。多くは片側に生じます(Herranz 2025)。
扁平上皮癌が発生したという報告もあります。
外耳道真珠腫のCT画像の特徴は?
同じく外耳道に炎症をきたす閉塞性角化症との違いとしては、外耳道真珠腫は骨侵食、破壊を認める点と言われています。特に外耳道の下壁に多いと言われています(Naiberg 1984)。一方、閉塞性角化症は角質のかたまりがたまるものの、下の骨の侵食を伴わないとされます。
症例 20歳代男性 左耳痛
外耳道に充満する軟部陰影を認めます。鼓膜は圧排されており、外耳道は下壁は不整であり、進展が疑われます。

MRIでは、T1強調像で軟部組織と同程度、T2強調像では炎症よりは低信号を示すと言われています。
外耳道真珠腫の治療は?
保存的治療
病変進展範囲が明らかで乳突洞への進展なく、慢性的な痛みがない場合は、定期的なクリーニングと剥離上皮・腐骨の除去により保存的、内科的な治療を行います。
手術を考える目安
海外の報告では、次のような場合に手術が考えられます(Herranz 2025)。
- 病変が広がっていく、または骨の侵食が広い(とくに中耳に及ぶとき)
- 保存的治療を続けても、耳だれ・痛み・難聴が繰り返す
- 顔面神経や周囲の骨に影響が及ぶおそれがあるとき
この報告(52人)では、約54%が保存的治療、約46%が手術でした。どちらの方法でも良好な経過が得られており、病期や患者さんの状態に合わせて選ぶことが大切とされています。
外科的手術
保存的治療が困難な場合は、
- 耳介後部からの適切な除去(デブリドメント)
- 外耳道形成と欠損部に対する被覆
という手術が必要となりますが、乳突洞への進展がある場合は、乳突洞切除が行われることもあります。


顔面神経に影響が及んだときの症状については、顔面神経麻痺の原因と治療は?ストレスとの関係・何科を受診するかも解説で解説しています。
真珠腫の分類は?
- 真性真珠腫(先天性真珠腫)
- 仮性真珠腫(後天性真珠腫)
- 弛緩部型真珠腫
- 緊張部型真珠腫
- 外耳道真珠腫
上は従来よく用いられてきた分け方の一例で、真珠腫は真性と仮性に分けられます。仮性真珠腫は、さらに3つに分けられ、外耳道真珠腫はその中でもかなり稀な真珠腫に分類されます。外耳道真珠腫は、中耳ではなく外耳道にできる点が特徴です。
最後に
真珠腫の中でも稀な外耳道真珠腫についてまとめました。
外耳道表皮の剥脱したケラチン 物質が異常に蓄積し外耳道を閉塞する閉塞性角化症との鑑別が難しいところもありますが、外耳道真珠腫は骨侵食、破壊を認めるという点で鑑別できると言われています。
治療は、広がりや症状に応じて、保存的治療か手術かが選ばれます。早く見つけて適切に対応することが、合併症を防ぐうえで大切とされています(Herranz 2025)。
よくある質問
Q. 耳掃除のしすぎが原因ですか?
原因ははっきりしていません。綿棒を長く使い続けることが危険因子と考えられていますが、耳だれがあるために綿棒を使うのか、綿棒が原因なのかは分かっていません(Herranz 2025)。耳の穴を傷つけないよう、頻繁な耳掃除は避けましょう。
Q. 何科を受診すればよいですか?
耳だれや痛みが続くときは、耳鼻咽喉科を受診してください。
Q. 放っておくとどうなりますか?
病変が広がると、周りの骨が侵食され、顔面神経などに影響が及ぶことがあります。手術が必要になる場合もあるため、耳だれや痛みが続くときは早めに医療機関で相談しましょう。
参考文献:
Herranz F, et al. External auditory canal cholesteatoma: 20 years of experience. Braz J Otorhinolaryngol 2025 PubMed
Naiberg J, et al. The pathologic features of keratosis obturans and cholesteatoma of the external auditory canal. Arch Otolaryngol 1984 PubMed





