急性膵炎とは、膵液に含まれる消化酵素により自らの膵臓が消化されてしまった状態を言います。
残念な事に、日本での発症率は年々増加しているようです。
膵炎になる人は、男性は50歳代、女性では70歳代の方が多く、発生率は、男性が女性の2倍とされています。
今回は、この急性膵炎の症状や原因などについてまとめました。
急性膵炎の症状は?
急性膵炎で最も多くに見られる症状は、上腹部の痛みです。
痛みには個人差があり、軽い人から激痛を訴える人まで様々です。この痛みは持続的で、痛みのある範囲もみぞおちの辺りから、おへその辺りと広範囲で、また、膵臓は後腹膜に存在するため、背中に痛みを感じる事もある様です。
- 吐き気や嘔吐
- 発熱
- 食欲不振
- 膨満感など
症状は徐々に出て来る場合と、脂分の多い食事の後、飲酒後に突然現れる事もある様です。激痛がある場合は、早めに内科、又は消化器科を受診しましょう。
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急性膵炎の原因は?
- アルコール=37%
- 胆石=24%
アルコールによる原因
膵管と胆管が合流し、十二指腸に開口している箇所に、アルコールの取りすぎの為に浮腫が発生し、膵管が狭くなってしまい、膵液の流れが悪くなってしまいます。
そうなると、膵液が膵臓内に溜まり、胆汁と混ざり、自己消化を発症して急性膵炎になります。
胆石による原因
胆嚢から流れた胆石が、胆管の十二指腸の開口部分に詰まってしまい、胆汁や膵液の流れが止まってしまうと膵液が膵臓内に溜まった状態になります。
そこに、胆汁が流れ込むと、膵液が活性化し、膵臓の組織を自己消化してしまい急性膵炎となります。
どんな検査をするの?
身体所見は?
- 圧痛や筋性防御が見られることがある。
- 膵臓の周りに液体が溜まる為に軽度の低血圧と頻脈が認められる。
- 感染は見られなくとも炎症がある事で発熱が認められる。
- 横隔膜まで炎症が広がると、呼吸が浅くなり、場合により呼吸困難になる。
- 黄疸が見られる場合には、胆石性膵炎が疑われる。
このように様々な所見があるのが特徴であり、なかなか身体所見だけで、膵炎と診断するのは難しいのです。ですので、身体所見で膵炎を鑑別に入れて、血液検査や画像検査などと合わせて総合的に診断していく必要があります。
血液検査は?
- 膵臓の消化酵素であるアミラーゼやリパーゼなどが上昇する。
- 白血球の数やCRPなど、体内の炎症の強度を示す値が高くなる。
- 胆石による膵炎の時は、肝胆道系酵素(AST、ALT、γ-GTP、ALP、T.Bil)の数値が高くなる。
illustration by フリーメディカルイラスト図鑑
画像検査は?
- 腹部単純X線:急性膵炎患者の予後の評価や、他の疾患との鑑別診断の為には必須の検査です。
- 超音波検査:膵臓の腫れや膵周囲の炎症を確認する事が可能であり、急性膵炎の診断に有用とされている検査です。
- 腹部造影CT:現在では確定診断に非常に有用な検査と言われています。膵周囲の脂肪織濃度上昇や、膵の腫大などをヒントに急性膵炎を診断していきます。
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最後に
急性膵炎は、男性に多い病気ですが、その中でも特に中高年の方に多いとされています。
近年の医療の進歩により、死亡率は減って来ていますが、重症になると怖い病気ですから、早期発見が重要視されています。
アルコールのイメージが強い病気ですが、アルコール以外の胆石によるものもかなりあります。自分は飲酒しないから、膵炎ではない!ということは決してありません。背部痛が最も多い症状です。何らかの疑わしい症状がある様でしたら、早急に医療機関を受診しましょう。
ありがとうございました。
少しスッキリしました。