女優の川島なお美さんや、任天堂の岩田聡前社長を死に追いやった胆管癌。
胆管にできる癌ということは文字を見ても分かりますが、見つかりにくいガンを言われています。
胆管癌とはどんなもの?
アルコールでリスクが高くなるって本当?
と疑問を持ってらっしゃる方に向け、今回は胆管癌(英語表記で「Cholangiocarcinoma」)について
- 原因
- 症状
- 診断
- 治療法
などについてご説明したいと思います。
胆管癌とは?
胆管の粘膜から発生する癌で、胆管癌は 膵臓癌と並び、見つかりにくいガンといわれています。
- 胆管に出来るガンを胆管ガン(肝外胆管癌)
- 肝臓内部の胆管で出来たガンを肝内胆管癌
といいます。
さらに以下のイラストのように、肝外胆管癌は
- 上部胆管
- 中部胆管
- 下部胆管
に分けられます。
肝臓で作られた胆汁を流す管を胆管といい、そこに出来た癌を胆管癌(肝外胆管癌)といいます。
また胆管は、肝臓内部にもつながっており、肝臓内部の胆管に出来た癌を肝内胆管癌といいます。
胆管は細いところでも直径7mmほどしかないため、小さなガンでも出来た場合は胆汁の流れをせき止めてしまい、胆汁が十二指腸に流れなくなり黄疸となって現れます。
しかし、肝臓内にできる肝内胆管ガンの場合は黄疸が出にくく、気付いた時には進行癌となって症状が進んでしまっていることがあります。
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胆管がんの原因は?お酒でリスクが高くなるって本当?
お酒も1つの原因として考えられますが、生まれつき持った先天的胆管異常だったり、原因はいくつか考えられています。
また、胆石・年齢・食生活が関連するといわれています。
胆石との関係
- 胆嚢に胆石がある場合、約5~7%の確率で胆管癌になる
- 肝臓内や胆管に胆石がある場合、約10%の確率で胆管癌になる
何故胆石があると胆管ガンになるかは証明されていませんが、このような数値が出ています。
年齢との関係
胆管癌の多くは50歳以上で発症する人が多いといわれ、高齢になるほど胆管癌患者も多くなっているため、年齢も関係すると言われています。
しかし、川島なお美さんのように若くしてなる場合も珍しくはありません。
偏った食生活との関係
胆石症と胆管の先天的異常が深く関係していると言われていますが、胆石の中で最も多い原因として考えられるのがコレステロール系胆石です。
脂肪分を多くふくむ食事や、青魚や果物、野菜の摂取不足が原因となり、胆汁内のコレステロールが結晶化し核となり、徐々に大きくなって胆石になると言われています。
また、過度の飲酒も肝臓に悪いことは間違いありませんが、中には飲酒をしないのに発症する人もいます。
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胆管癌の症状は?
特異的な症状はなく、進行してはじめて
- 黄疸
- 痛み(上腹部痛)
- 皮膚の痒み
- 褐色便
- 白灰色便
が出現します。
またこれ以外にも、進行期になると
- 発熱
- 体重減少
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 無痛性に腫大した胆嚢を触れる
などの症状があらわれることもあります。
胆管癌の診断は?
触診・血液検査・腹部超音波検査・CT像・ERCP像・MRCP像などで検査をおこない診断します。
触診
体の表面から触診で胆嚢の腫大を認めることもあり、これをCourvoisier(グールボアジェ)徴候といいます。
しかし、これだけでは診断には至らず、画像診断やそのほかの検査も必須となります。
血液検査
血液検査では胆道系酵素の上昇が確認できます。
(ALP上昇・γ-GT上昇)
腹部超音波検査
胆管内の腫瘤像や胆管の拡張を確認します。
閉塞部位の推測にも役立ちますが、超音波内視鏡(EUS)も有用です。
CT像
- 病変の局在診断
- 局所進展度
- 血管浸潤
- 肝浸潤
などを見るのに有用です。
拡張胆管から下流の狭窄部・胆管壁の肥厚・腫瘤の造影効果によりガンの局在診断をおこなうことができます。
症例 50歳代女性
肝内胆管の拡張あり。
肝門部に造影される腫瘤を認めています。
肝門部胆管癌を疑う所見です。
ERCP像
胆管の陰影欠損や不整像などを診断するのに有用です。
MRCP像
ERCPと同様、胆管の欠損像の描出に有用です。
症例 50歳代女性 上のCTと同じ症例
CTで認めた腫瘤の部分にT2WIで低信号を認めています。
肝内胆管の著明な拡張あり。
MIP像では、肝門部に肝内胆管〜総胆管のdefectを認めています。
肝内胆管〜総胆管癌を疑う所見です。
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胆管癌の治療法とは?
根治のためには、手術が必須となります。
癌ができた場所によっては、肝臓や膵臓の一部、更に胃や十二指腸まで切除しなくてはいけない場合もあり、体が手術に耐えられない場合には他の治療法をすることもあります。
また、症状が出にくく、見つかりにくい胆管癌は、見つかった場合には進行していて、転移などで手術ができない場合もあります。
手術ができない場合は、抗がん剤や放射線治療を行います。
しかし黄疸が出ている間は手術や抗がん剤治療さえも行えないため、その黄疸を解除するためドレナージにより、減黄・減圧を行う必要があります。
参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P384〜392
参考文献:内科診断学 第2版 P897・898
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P226〜232
参考文献:新 病態生理できった内科学 8 消化器疾患 P265〜267
参考文献:パッと引けてしっかり使える 消化器看護ポケット事典[第2版] P152・153
最後に
- 胆管にできるガンを胆管癌(肝外胆管癌)
- 肝臓内の胆管にできるガンを肝内胆管癌
- 症状が出にくく発見された時には進行してる場合が多い
- 胆石ができやすい人がなる確率が比較的高い
- 高齢になるほど患者が増加
- 偏った食生活や過度な飲酒、先天的胆管異常も関係する
- 基本的な治療方法は手術
欧米ではガンの定期的な検診率は70%以上といわれ、年々ガン患者も減少傾向にあるものの、日本は先進国の中では低く、定期的検診率が30%以下といわれ、ガン患者も増え続けている現状です。
まずは定期的な検診を欠かさず受けましょう。