正面から見ると、胃の裏側あたりにある膵臓(すいぞう)は、
- 「隠れた臓器」
- 「沈黙の臓器」
ともいわれ、病気が見つかりにくく、気付いた時には進行していることの多い場所でもあります。
一つは食べたものの消化・吸収を助ける働き、そしてもう一つは血糖値の調節をする働きです。
今回は、これらの膵臓の働きについて、わかりやすくイラストとともに解説していきたいと思います。
ではいきますよ。
膵臓の働きとは?
膵臓は図のように胃の裏側に存在します。
そんな膵臓の働きは、簡単にいうと、上で述べたように
- 食べたものの消化・吸収を助ける働き
- 血糖値の調節をする働き
があります。
そして、これらをどのようにして膵臓がおこなっているかをもう少し掘り下げてみますと次のようになります。
すなわち、
- 膵臓が消化酵素を分泌する→食べたものの消化・吸収を助ける
- 膵臓がホルモンを分泌する→血糖値の調節をする働き
ということです。
外分泌と内分泌とは?
ここで、消化吸収は消化管内で行われます。
そして、血糖値は血管の中の糖の値です。
ということで、膵臓は、消化酵素を主膵管から十二指腸へ、ホルモンを血管内へそれぞれ分泌します。
前者を外界に分泌するということで外分泌、後者を血中へ分泌するということで内分泌とそれぞれ呼びます。
そしてこの外分泌、内分泌をする組織が、それぞれ外分泌腺(腺房)、内分泌腺(ランゲルハンス島)です。
膵臓の外分泌腺の働きとは?
- 胃から送られてきた酸性の物質を中和
- 炭水化物を分解
- タンパク質を分解
- 脂肪を分解
する働きがあります。
つまり、食べ物を消化吸収を助けるのが、膵臓の外分泌腺の機能です。
外分泌腺は、円形(多角形)の外分泌細胞の集合体で、腺構造を持ち、膵臓の大部分を占めています。
ここでは、電解質や消化酵素を、膵液として分泌しています。
膵液のほとんどは、
- タンパク質を分解する・・・トリプシノゲン・キモトリプシノゲン・エステラーぜ
- 脂肪を分解する・・・リパーゼ・ホスホリパーゼA
- 糖質を分解する・・・アミラーゼ
という消化酵素です。
この膵液は、胆嚢から排泄されるコレシストキニン(CCK)とセクレチンによって促進され、1日に1,000〜1,500mLほど分泌されています。
膵臓の内分泌腺の働きは?
ホルモン分泌をするのが、この内分泌腺の働きです。
ランゲルハンス島という、膵臓組織の1〜2%を占める小型で球形をなす、はっきりとした腺構造を持たない内分泌細胞の集まりです。
この膵臓の内分泌腺で分泌されるホルモンは、
- グルカゴン
- インスリン
- ソマトスタチン
があります。
グルカゴン
低血糖になると、α細胞からグルカゴンが分泌されることにより、肝臓からの糖放出が増加されます。
つまり、血糖値が下がった時に分泌されるホルモンです。
ここでの(膵臓で分泌される)グルカゴンは、グリコーゲンの分解や、新しく生みだされる糖などにより、血糖値をあげる働きをします。
インスリン
高血糖になると、β細胞からインスリンが分泌されることにより、肝臓・筋肉・脂肪組織などへと糖の吸収を促進します。
インスリンというと糖尿病でよく耳にする薬でもありますが、ペプチドホルモンの一種で、細胞内にグルコースを取り込んで、血糖値を下げる働きをします。
ソマトスタチン
δ細胞で、上記で説明しました、グルカゴンやインスリンなどの分泌を抑える働きがあります。
つまり、膵臓は消化を助ける膵液・血糖値を調節するインスリンなどを産生する働きをするというわけです。
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P350〜355
参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P210〜213
最後に
- 膵臓は、消化液分泌・ホルモン分泌に関する重要な働きをしている
- 膵臓には、外分泌腺(腺房)・内分泌腺(ランゲルハンス島)という2種類の分泌腺がある
- 外分泌腺から膵液(電解質・消化酵素)を分泌している
- 内分泌腺からは、グルカゴン・インスリン・ソマトスタチンというホルモンを分泌している
- 膵臓から分泌される膵液は、消化を助ける働きをする
- ホルモン分泌により、血糖値を調整する働きをする
膵液がないと、消化が円滑にいかなくなる、インスリンの分泌に異常が出ると、血糖値(血中のブドウ糖濃度)が高くなるために糖尿病になってしまうのです。
膵臓がいかに人体にとって大事な働きをしているのか、おわかりいただけたかと思います。
参考になれば幸いです( ^ω^ )