腹痛や腰痛はさまざまな臓器の病気が原因となります。

その中には、膵臓(すいぞう)と言う臓器が原因で痛みを起こす場合があります。

「膵臓(すいぞう)はどの場所にあるのか?」

「膵臓の病気になれば、どこが痛くなるのか?」

「自分のこの痛みは、もしかしたら膵臓が原因ではないのか?」

そのような疑問をお持ちの方のために、今回は

  • 膵臓の場所
  • 膵臓の病気があると、どの場所が痛むことがあるのか

について図やイラスト、さらには実際のCT画像を用いて解説しました。


膵臓の場所はココ!図で解説

膵臓は通常、胃の裏側(背側)に位置する場所にあり、一部は十二指腸と以下のように接しています。

第1または第2腰椎レベルで前面に横たわった状態で存在します。

anatomy of pancreas

また膵臓は後腹膜臓器(こうふくまくぞうき)に含まれ、後腹膜に固定されてます。

後腹膜(こうふくまく)とは?

小腸や大腸の一部などは、お腹の中で常に動き、場所を変えています。

お腹の中とは下の図で言う腹膜腔(ふくまくくう(腹腔(ふっくう、ふくくう)とも呼ばれる))です。

一方で後腹膜臓器と呼ばれる後腹膜に固定されている臓器は、場所を変えずに同じところに存在しています。

Retroperitoneal organ

図のように、緑の線で囲まれた部位が後腹膜です。

膵臓のほか、腎臓や、十二指腸、上行結腸、下行結腸、腹部大動脈、下大静脈、副腎なども後腹膜臓器であることがわかります。

膵臓の解剖は?

また、この膵臓は、膵頭部・膵体部・膵尾部という3つの部位に分けられています。

anatomy of pancreas2

膵頭部(すいとうぶ)は図のように上腸間膜静脈(SMV)の左端までを指し、それより左側の膵臓を二等分して膵体部(すいたいぶ)、膵尾部(すいびぶ)となります。

膵頭部には、下部の内側に突出した部分があり、これを膵鉤部(すいこうぶ)と言います。

そして、膵臓には、「膵管」と呼ばれる膵液を十二指腸に流出する経路があります。

anatomy of pancreas3

この膵管は、主膵管と副膵管に膵頭部で分岐され、総胆管と合流して主乳頭(Vater乳頭(ファーターにゅうとう)、大十二指腸乳頭)へと繋がっています。

膵臓の場所をCTで確認!

実際のCT画像で、膵臓の場所を確認してみましょう。

ct findings of pancreas

腹部造影CTの横断像です。

右側の画像には色をつけてみました。

胃の背部に存在する様子がわかります。

CTでは、腹膜腔と後腹膜の境目などはわからないのが通常です。

ただし、炎症が起こると明瞭化することがあります。

では、膵臓に炎症や病変があった場合に痛みが出る場所について次に見ていきましょう。

膵臓に異常がある場合に痛む場所は?

膵臓の病気というと、

などがありますが、上腹部・背部が痛むのが特徴です。

pancreas 3

その中でも、腹部以上に背中の痛みを訴える方が多くいらっしゃいます。

Retroperitoneal organ1

なぜ背中の痛みが起こるのかと言うと、膵臓が後腹膜臓器であり、そこでの炎症や病変は、後腹膜に沿って進展するのが一般的であるからです。

急性膵炎が背部痛で発症することがあるのは有名な話です。

急性膵炎についてはこちらに詳しくまとめました。→急性膵炎はなぜ怖い?重症度分類とは?わかりやすく徹底解説!

しかし、この上腹部・背部が痛む疾患は、膵臓の問題の他に、肝臓・胆嚢・心臓・十二指腸・胃なども原因として考えられます。

また、とくに膵癌の場合、生じた部位にもよりますが初期には無症状で、症状が出始めた頃にはすでに進行しているという問題もあり、進行して症状が現れた際には

  • 腹痛
  • 黄疸
  • 腰背部痛
  • 体重減少
  • 下痢・白色便

といった痛み以外の症状が現れることも多くあります。

そのため、ここが痛むから膵臓が悪いと判断するのは非常に難しく、痛み以外の症状を含め気になる痛みがある場合、やはり詳しい検査をしてみないとわからないといった問題があります。

膵臓の場所がわかったところで働きもチェックしましょう。→膵臓の働きをイラストとともにわかりやすく解説!

参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P351・402〜432
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P212

最後に

膵臓の場所、痛みが起こる部位、及びその理由についてまとめました。

膵臓は肝臓のように大きな部位ではなく、60〜80グラムほどの小さな部位であるため、他の疾患の症状とも間違われやすく、軽度な症状ならば見逃されてしまうこともあります。

そのため、膵臓の異常を発見するには、

  • 血液検査
  • 尿検査

に加えて

  • 超音波検査
  • CT検査
  • MRI検査

といった画像検査を組み合わせて複合的な検査が必要となります。




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