どんなものなのかご存知ですか?
そこで今回は、網状赤血球(読み方は「もうじょうせっけっきゅう」英語表記で「Reticulocyte count」)について
- どんな検査
- 正常値
- 異常値
- わかる病気
- 注意点
などをまとめました。
網状赤血球とは?
赤血球(血液細胞の一種)は骨髄で作られ、血液中に入る前にいくつかの段階を経ることになります。
上の図のように、網状赤血球とは、成熟した赤血球のひとつ前となる未熟な段階もの(赤血球より幼若な血球のこと)で、まだRNAなどの物質が残っている状態であり、超生体染色で網状に染まることからこのように呼ばれています。
赤血球の寿命は約120日とされますが、網状赤血球は約2日で網状が消え成熟した赤血球になります1)。
赤血球の数である赤血球数についてはこちらにまとめました→赤血球数(RBC)の基準値は?異常ならどんな病気?
網状赤血球数を検査するのはなぜ?
網状赤血球数を測定することによって、赤血球の生成能力を知ることができ、貧血状態をチェックできるためです。
また、抗がん剤や放射線療法の副作用で造血機能の低下が生じることもあるので、それらを調べる上でも有用とされます。
しかし、単独で網赤血球だけを調べることはまずなく、赤血球関連の検査で貧血と診断された際に、その原因を探るために行われるものです。
網状赤血球数の正常値と異常値は?
正常値
網状赤血球数の測定値は、赤血球数に対する比率(%)で表し、
- 男女とも0.5〜2.0%
であれば正常値と判断されます2)。
異常値
正常値より、高くても低くても問題です。
測定値が高い場合・・・たとえば溶血性貧血では、赤血球が破壊(溶血)されて貧血が起こっている状態で、それを回復させようと、骨髄で赤血球数が増すとともに網赤血球も増加し、
網状赤血球数が6~7%
と出る場合がありますが、これは明らかに異常値と判断されます。
一方、網赤血球数が減少している場合は、骨髄での造血機能が低下していることを示しており、これも異常とみなれます。
異常のときに考えらえる病気は?
高値の場合、低値の場合と分けてご説明します。
高値の場合
- 溶血性貧血
- 鉄欠乏性貧血
- 巨赤芽球性貧血
など。
低値の場合
- 再生不良性貧血
- 骨髄線維症
- 急性白血病
- 甲状腺機能低下症
などの疾患が考えられます。
網状赤血球の検査で注意すべき点は?
貧血治療中で測定値が高い場合、貧血の予後はおおむね良好となり、低い時は不良となるのが一般的です。
なお、赤ちゃんなど幼児では測定値が高く出ます。
また、以前は千分率という単位が一般的でしたが、最近では百分率表記に変更されていますので、この単位の見間違いにも注意しましょう。
参考文献:
1)検査結果なんでも早わかり事典 P189
2)今日の臨床結果2011 2012 P50・51
最新 病気の検査がよくわかる医学百科 P191
改訂新版 検査と数値を知る事典 P178
最後に
網状赤血球について、ポイントをまとめます。
- 網状赤血球は、赤血球より幼若な血球のこと
- 赤血球関連の検査で貧血と診断された際に、その原因を探るために行われるもの
- 正常値は0.5〜2.0%
- 低くても高くても問題
- 貧血治療中で測定値が高い場合、貧血の予後はおおむね良好
網状赤血球は、赤血球産生能を評するマーカーですので、貧血では必ず測定する必要があります。
上記でもお伝えしましたように、一般に貧血があってもその測定値が高いほうが治癒しやすいとされていますので、数値が低値の場合は注意が必要となります。
白血球数や血小板数、骨髄穿刺などの検査を詳しくし、病気をきちんと診断し、治療に専念されるのが大切です。
また、溶血性貧血や出血では、骨髄の造血能力が抹消血の網状赤血球数に反映するまでに約1週間を要しますので、この期間に再度検査をする必要があります。