卵巣嚢胞(らんそうのうほう)とは、女性に左右に1つずつある卵巣にできた嚢胞のことで、人間ドックや婦人科検診などで偶然発見されることがあります。

卵巣嚢胞の多くは良性で、機能性卵巣嚢胞と言われる排卵が原因でできる嚢胞でありますが、サイズが大きかったりするとフォローされたり、婦人科に紹介され受診することもあります。

そんな卵巣嚢胞について

  • どんな種類があるのか?
  • 症状はあるのか?
  • 経過観察の期間はどうするのか?

といったことについてまとめました。

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卵巣嚢胞の種類は?

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多くは月経に基づく機能性の嚢胞でありますが、そうでない場合もあります。それらをまとめると以下のようになります。

  • 機能性卵巣嚢胞(卵胞嚢胞、黄体嚢胞)
  • 内膜症性嚢胞
  • 漿液性嚢胞腺腫
  • 封入嚢胞
  • 上皮性卵巣がん
  • 傍卵巣嚢胞

ここでは、多くを占める機能性卵巣嚢胞について見ていきましょう。

機能性卵巣嚢胞とは?

機能性卵巣嚢胞とは排卵に伴う貯留嚢胞のことであり、閉経後は認めません。

  • 卵胞嚢胞
  • 黄体嚢胞

の2つの種類があります。

これらは排卵に伴う嚢胞であり、通常数週間から数ヶ月で消えたり、小さくなることが一般です。

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卵胞嚢胞

卵胞嚢胞は排卵時に本来破裂するべき卵胞が破裂しないものです。通常壁の薄い1つの嚢胞です。

黄体嚢胞

また黄体嚢胞は排卵後に破裂した卵胞壁が修復したものです。こちらは嚢胞内にしばしば出血を起こします。場合によっては破裂を起こし、腹痛の原因になります。

卵巣嚢胞の症状は?

卵胞嚢胞は通常症状はありませんが、サイズが大きい場合は腹部の膨満感として現れることもあります。

一方黄体嚢胞は内部に出血を起こすことがあり、それが破裂すると下腹部痛として現れます、この場合腹腔内に出血を起こしますので、血圧が下がったりショック状態になり輸血が必要になることもあります。

黄体嚢胞が出血を起こし、それが破裂する原因としては、性行、外傷があります。

また、この黄体嚢胞は12歳以上に多く右卵巣に起こることが多いとされます。

卵巣嚢胞の診断方法は?

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卵巣嚢胞は一般的に

  • 腹部超音波検査(エコー)

で見つかることが多いですが、

  • 腹部CT
  • 骨盤MRI

で見つかることもあります。

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卵巣嚢胞が見つかった場合のフォローは?経過観察の方法は?

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まず覚えておくべきは、卵巣嚢胞の多くを占める機能性卵巣嚢胞はあくまで閉経前にできるものであるということです。

ですので、閉経後に卵巣に嚢胞が見つかった場合とは分けて考える必要があり、閉経後の場合は悪性の可能性も上がります。

また一概に卵巣嚢胞と言っても悪性の可能性が高いものも含まれます。その場合は短い期間でフォローされたり、悪性の可能性が高いものは婦人科で詳しく調べて、場合によっては手術や他の治療が行われます。

ここでは

  • 良性の形態を呈する卵巣嚢胞
  • おそらく良性であろう卵巣嚢胞

の2種類に分けて、フォロー期間についてSRU(American College of Radiology)に基づいて記載します。

良性の形態を呈する卵巣嚢胞の場合

まず、良性の形態を呈する卵巣嚢胞とは

  • 円形あるいは楕円形
  • 内部が均一で1つの嚢胞
  • 辺縁が整である、あるいは認識できないほど薄い壁を持つ
  • 充実部位や壁在結節を持たない
  • 最大10cm未満
  • (閉経前の場合は嚢胞内に液面形成を認めても良い)

これらを満たすものです。これらを満たす場合、閉経前と閉経後に分けてフォロー期間を見てみましょう。

閉経前
  • 5cm以下→経過観察の必要はない。
  • 5cm以上→6-12週後に超音波検査による経過観察を行う。
閉経後5年以下の場合
  • 3cm以下→経過観察の必要はない。
  • 3-5cm→6-12週後に超音波検査による経過観察を行う。
  • 5cm以上→ただちに超音波検査による経過観察を行う。
閉経後5年以上の場合
  • 3cm以下→経過観察の必要はない。
  • 3cm以上→ただちに超音波検査による経過観察を行う。

おそらく良性であろう卵巣嚢胞の場合

おそらく良性であろう卵巣嚢胞とは、良性の形態を持っているものの

  • 輪郭に角張ったところがある。
  • 円形あるいは楕円形とは言えない。
  • 嚢胞の一部がアーチファクトなどで良好に見えない。

場合が該当します。これらを満たす場合、閉経前と閉経後に分けてフォロー期間を見てみましょう。

閉経前
  • 3cm以下→経過観察の必要はない。
  • 3-5cm→6-12週後に超音波検査による経過観察を行う。
  • 5cm以上→ただちに超音波検査による経過観察を行う。
閉経後5年以下の場合
  • 3cm以下→経過観察の必要はない。
  • 3cm以上→ただちに超音波検査による経過観察を行う。
閉経後5年以上の場合
  • 1cm以下→経過観察の必要はない。
  • 1cm以上→ただちに超音波検査による経過観察を行う。

最後に

卵巣嚢胞の多くは良性の機能性卵巣嚢胞ですが、悪性が疑わしい場合は婦人科で詳しく検査をすることになります。

良性の場合は、通常無治療ですが、サイズや閉経の有無によりフォローの有無やフォロー期間が決まります。

参考文献)

  • 画像診断 vol.36 No.9 2016 P896-897
  • J Am Coll Radiol 10:675-681,2013

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