The location of the gall bladder Eye-catching image

 

胆嚢(たんのう)は、肝臓で産生された黄褐色の胆汁を貯留する場所であり、その胆汁を濃縮したり、食事を摂取しときに放出する器官です。

胆嚢の病気といえば、胆のうポリープ胆石症が有名ですね。

とくに、多くの人が激しい痛みに苦しむのが胆石発作です。

Biliary colic figure

「胆のう(たんのう)はどの場所にあるのか?」
「胆石発作など胆のうの病気になれば、どこが痛くなるのか?」
「自分のこの痛みは、もしかしたら胆のうが原因ではないのか?」

そのような疑問をお持ちの方のために、今回は

  • 胆のうの場所
  • 胆のうの病気があると、どの場所が痛むことがあるのか

について図やイラスト、さらには実際のCT画像を用いて解説しました。


胆嚢の場所はココ!

胆嚢は、正面から見ると、肝臓にほとんど隠れているような状態です。
(肝右葉下面の胆嚢床と呼ばれる部位に付着するように存在します。)

位置としては、右側の上腹部にあります。

location of gallbladder1

そして、胆道(肝臓内の毛細胆管〜十二指腸乳頭までの胆汁排出経路)を介して肝臓や十二指腸とつながっています。

では、次に実際のCT画像で胆のうの場所を確認してみましょう。

胆のうの場所をCTで確認!

画像は、50歳代健康な男性の方のものです。

造影剤を用いていない単純CT撮影されたものの横断像(輪切り)をまず見てみましょう。

location of gallbladder CT findings1

正面から見ると、胆のうが肝臓に隠れているという様子がよくわかりますね。

近くには膵臓もあります。

次に、正面から見た冠状断像と呼ばれる画像の1枚を見てみましょう。

location of gallbladder CT findings2

胆のうが肝臓の下に存在している様子がわかります。

場所としては、右側の上腹部であるのもよくわかりますね。

 

そんな胆のうの場所がわかったところで、次に胆のうに炎症や胆石などがあった場合に痛む場所について見て行きましょう。

胆嚢の病気で痛みが出る場所はココ!

まず、胆嚢の病気で頻度が高く、また痛みを生じる病気といえば

が挙げられます。

これらの胆嚢の病気で痛みが出るのは、右上腹部である、右季助部(右側のみぞおち)・心窩部(みぞおち)などです。

pain location of gallbladder disease

胆石症

とくに、胆石症では、食事の後や夜間に突然、右季助部(みぎきろくぶ)や心窩部に痛みが出現し、悪心や嘔吐などもみられるのが典型的です。

ただし、結石を持っているだけでは、多くの場合無症状です。

そのため、このような症状が急に出ることを「胆石発作」ともいいます。

胆のう炎

胆のう炎の場合も同様に右の上腹部を中心に痛みを伴うのが典型的です。

ただし、胆のう炎の9割は胆石を伴っており、胆石による痛みを伴うこともあります。

胆のう炎の炎症が腹膜に到達した場合は、局所的な腹膜炎となり、痛みが増強することがあります。

症例 50歳代男性 右上腹部痛 造影CT

胆嚢は大きく腫大して、周囲に炎症所見を認めています。
胆嚢頸部には結石を認めています。

急性胆嚢炎を疑う所見です。

その他

その他、胆嚢がんの場合、早期には無症状なことが多くありますが、進行すると右上腹部痛や倦怠感・黄疸・発熱・体重減少などもみられます。

最後に胆のうの形や部位、名前など、胆のうの解剖について見て行きましょう。

胆嚢の解剖は?

胆嚢は、洋梨のような形をした臓器(長径7cm・短径3cm・容量30〜45mLほど)です。

上から頸部・体部・底部とに区分され、頸部の上には胆嚢管があり、総胆管・総肝管と合流しています。

gall bladder 1

また、胆嚢壁は、粘膜や筋層、漿膜で構成されています。

そして、この漿膜は、肝臓と付着している胆嚢床には存在しません。

胆嚢を見るには、腹部超音波・MRCP・腹部CT・DIC-CTなどが用いられます。

  • 超音波では、胆嚢の内腔は無エコーに
  • MRCPでは、水分を強調して捉えることが可能
  • 腹部CTでは、横断的に見ることができ、周囲臓器との関連も確認できる

参考文献:
病気がみえる vol.1:消化器 P350・354・356・357

消化器疾患ビジュアルブック P210・211

最後に

今回は胆のうの場所についてまとめました。

  • 胆嚢は、肝臓にほとんどが隠れるように存在する
  • 胆嚢は、右側上腹部にある
  • 胆嚢の病気では、右上腹部・右季助部・心窩部などが痛む
  • 胆嚢壁は、粘膜や筋層、漿膜で構成されている

 

いかがでしたでしょうか?

胆嚢は病気により摘出可能な部位でもあり、それにより生命予後にも問題はありませんが、多くの機能を担っているため、様々な支障は伴います。

食生活や生活習慣が関わってくる部位でもあるため、まずは胆嚢の病気の予防として、見直しをして見ることをオススメします。




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