「最近飲みすぎで、お腹が痛いんだけど、もしかしたらこれって肝臓の痛み?」
「肝臓の場所ってどこなんだろう?」
そんな疑問をお持ちの方のために、肝臓の場所を図を用いて解説しました。
肝臓は人体最大の臓器で、重量は成人で1000〜1500g、体重の約2%にあたります。
そんな重要な肝臓の場所を知っておいて損はありません!
肝臓の場所は?図で解説!
肝臓は下の図のように、右上腹部にあります。
肺の下にある横隔膜の直下に存在します。
肝臓は、助骨弓(ろっこつきゅう)に隠れるように存在します。
左右12本、合わせて24本ある肋骨によって、肝臓は外部の衝撃から守られている様子がわかりますね。
肝臓の上には横隔膜・下には胆嚢・左隣には胃が存在し、靭帯によって横隔膜に固定されています。
肝臓には門脈や肝動脈という血管が流入しています。
そして、肝臓の後面の一部(無漿膜野)を除いた大部分が、臓側腹膜に覆われています。
肝臓の場所は?CT画像で解説!
実際のCT画像を見てみましょう。
わかりやすくするために、前から見た冠状断像(かんじょうだんぞう)と呼ばれる方向で再構成されたものを提示します。
(通常のCT画像は輪切り(横断像)です。)
このように肝臓は右上腹部に位置しており、肺や心臓の下にあります。
肝臓の病気がある場合に痛みが出る場所は?
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることでも有名です。
その理由は、進行しないと症状として現れにくいためです。
肝臓に病変があり、症状が起こる場合は、肝臓が痛むというよりも、
- 胃のあたりが痛い
- 胸が痛い
- 腹部が痛い
- 背中が痛い
などと感じ、体の右上腹部が痛むことがあります。
特に腹膜に炎症が及ぶと痛みとして、症状が出ることがあります。
肝臓に痛みが出る病気は?
このような痛みが出る肝臓の病気として・・・
- 肝周囲炎
- 肝炎
- 肝硬変
- 肝臓癌やその破裂
- 肝膿瘍
などがあります。
肝臓の区域とは?
肝臓は右葉と左葉に分けられ、その境目に肝鎌状間膜(かんかまじょうかんまく)があります。
機能的には、下大動脈と胆嚢窩を結ぶカントリー線で分けられています。
また肝臓は、門脈(グリソン系脈管)と肝静脈、胆管とがからみ合うため、その支配によって区域も異なります。
上記はCouinaud(クイーノ)分類によるもので・・・
- 左葉→外側区域と内側区域(S4)
- 左葉外側区域→外側上区(S2)と外側下域(S3)
- 右葉→前区域と後区域
- 右葉前区域→前上区(S8)と前下区(S5)
- 右葉後区域→後上区(S7)と後下区(S6)
に分けられます。
S1は臓側面から見た、尾状葉(読み方は「びじょうよう」肝臓中央付近)にあります。
CTで見る肝臓の区域
CTやMRIといった画像で肝臓を見る際には、下大静脈と右肝静脈・中肝静脈・左肝静脈にも注目する必要があります。
それは、これらの血管が区域間を走るためであり、その位置を確認しながら、区域を見ることが可能です。
肝臓の区域についてはこちらで詳しく解説しました。→肝臓の解剖まとめ!CT画像での区域の覚え方!
参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P234〜347
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P162〜209
最後に
また、肝臓に病気がある場合、どこが痛むのか、どんな病気で痛みが生じるのかについてもまとめました。
ただし、肝臓は沈黙の臓器ともいわれます。
これは症状が出た時には病気が進行していることが多いという意味です。
ですので、定期的な人間ドック・健康診断を受け、日頃から自分の体に注意を向けるよう心がけましょう。