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片頭痛はごく一般的に見られる持病であり、何十年も悩まされ続けている方も多くいらっしゃいます。

その症状に個人差がありますが、とにかく一刻も早くその状態から逃れたい!・・・と思うのは誰でも同じだと思います。

そんな辛い片頭痛を早く治す方法として薬を用いる事がほとんどだと思いますが、どのような薬が片頭痛には有効なのでしょうか?

そこで今回は、

  • 片頭痛の薬の種類
  • 片頭痛の薬での副作用
  • 片頭痛の薬が効かない場合に考えられる事
  • そもそも片頭痛とは

以上について解説していきます。

医師
これを読めば、片頭痛の薬の事がよく分かります!

片頭痛の薬の種類は?

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医師
片頭痛の治療薬として有効とされる主な薬を以下にご紹介していきます。

トリプタン系薬剤

急性期治療(頓挫療法)には市販薬も含め鎮痛薬が広く使用されており、その中でも片頭痛に有効とされるのが、トリプタン系薬剤です。

この薬剤は、片頭痛治療の第一選択薬とされ、現在以下の5種類の薬が販売されています。

  • イミグラン(スマトリプタン)
  • ゾーミッグ(ゾルミトリプタン)
  • マクサルト(リザトリプタン)
  • アマージ(ナラトリプタン)
  • レルパックス(エレトリプタン)

これらのトリプタン系薬剤には、主に以下の3つの働きがあり、痛みを引き起こす源である血管と三叉神経の両方に作用します。

  1. 脳の血管に作用して、拡張した脳の血管を収縮させることにより偏頭痛ををやわらげる働き。
  2. 三叉神経に作用し、炎症を引き起こす神経ペプチド(CGRP)の放出を抑制する働き。
  3. 三叉神経が受けた刺激の情報が大脳に伝達されるのを制止することで、片頭痛のみでなく、吐き気や嘔吐、光・音過敏などの症状も抑える働き。

本剤はすでに拡張した血管にも効果があり、頭痛が生じてある程度経過してから飲んでも効きますが、それでも痛みがひどくなってしまうと効き目が極端に薄れますので、やはり痛み始めに飲んだほうがより良い効果を得られます。

注意したいのは、この薬の特徴=片頭痛の発作が起きた時に飲む薬(急性期治療薬)なので、片頭痛が起きる前に予防薬として飲まないようにして下さい。

また、血管を収縮させる作用があるので、狭心症や心筋梗塞を悪化させるおそれがあります。循環器系に病気のある人は注意が必要です。

医師
  それでは、5種類の薬についてそれぞれ詳しく説明して行きます。
イミグラン

この薬は、国内初のトリプタン系片頭痛治療薬です。

同系としては作用が強く速効性があり、服用後約30分ほどで効果がでてきますが、体の痛みや胸の圧迫感など副作用が出やすいとされます。

錠剤の他にも、効き目が早い点鼻薬、速効性で効果が確実な注射薬などがあり、症状により使い分けたり、場合によっては併用することも可能です。

参照:お薬110番

マクサルト

この薬は、国内4番目のトリプタン系片頭痛治療薬です。

他のトリプタン系薬剤と比べると、即効性は中程度ですが、副作用も中程度となり比較的、弱点のない薬剤といわれています。

普通錠のほか、水なしで飲める口腔内崩壊錠(RPD錠)もあり、服用する必要がある場合、どこでもすぐ飲めるという長所があります。

参照:お薬110番

アマージ

この薬は、国内5番目のトリプタン系片頭痛治療薬です。

同系のなかでは、半減期(体内での薬物濃度が半分になる時間)が約5時間と最も持続性があり、24時間にわたって頭痛をやわらげ、再発率も低くなっています。

また、少量で効率的に作用し、副作用も少なく、同系薬のなかでも飲みやすいとされています。

参照:お薬110番

ゾーミック

この薬は、国内2番目のトリプタン系片頭痛治療薬です。

生物学的利用率がよく、高い効果が望めますが、副作用がややでやすい短所があります。

普通錠のほか、水なしで飲める口腔内崩壊錠(RPD錠)もあり、服用する必要がある場合、どこでもすぐ飲めるという長所があります。

参照:お薬110番

レルパックス

この薬は、国内3番目のトリプタン系片頭痛治療薬です。

比較的早く頭痛を抑えることができ、持続時間も長く頭痛再発率が他のトリプタン系薬に比べて低いとされます。

また、片頭痛による悪心や嘔吐、光・音過敏などの症状まで緩和し、日常生活への影響も軽くします。

参照:お薬110番

エルゴタミン製剤

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エルゴタミン製剤は、長く片頭痛の治療薬として使用されてきた薬です。

現在は、トリプタン系薬剤を服用できない方や、トリプタン系薬剤の使用で頻繁に頭痛の再発がある方に限定的されて使用されます。

この薬剤は、血管を収縮させる作用があり、脳の血管の拡張を防ぐことによって痛みを抑えますので、発作のごく初期や前兆のある片頭痛の場合は、前兆期に服用しなければ効果が発揮されないことが多いです。

注意したいのは、もし効果がなかった場合に、エルゴタミン製剤を服用してから24時間以内にトリプタン系薬剤を使用することができないことです。

また、血管収縮作用、子宮収縮作用があるため妊娠中・授乳中の女性は服用できません。

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市販薬

トリプタン系薬剤が痛みの原因を抑えるのに対して、市販薬はすでに起きてしまった炎症を抑える鎮痛が主な作用になります。

そのため市販薬は片頭痛の薬ではないため、片頭痛の原因である脳内の血管を収縮する効果が得られない場合もありますので、どの市販薬を試しても効果がない人は、一度病院で診てもらうことをおすすめします。

頭痛発作のごく早期に服用すると効果が得られ、予兆期や前兆期の使用でも効果がありますが、予防的な服用を習慣にしてしまうと、頭痛薬の飲み過ぎが逆に頭痛を引き起こす「薬剤の使用過多による頭痛」に陥ってしまうケースもありますので注意が必要です。

医師
代表的な市販薬を以下にいくつかご紹介します。
イブ(イブプロフェン)

「イブA錠」「イブクイック頭痛薬」など。

この薬の特徴は、鎮痛や解熱作用、それに加え、腫れや痛みなどの原因となる炎症症状を抑える効果があることです。

イブA錠は鎮痛剤の中でも痛みに対する効能は比較的弱いものですから、急激に血管が拡張することで、強い痛みがある片頭痛が起こってから服用しても、効果が得られないこともあります。

イブクイック頭痛薬は、アリルイソプロピルアセチル尿素や無水カフェインが鎮痛効果を高めています。

アスピリンより強いですが、胃への負担が少ない特徴があります。しかし、喘息持ちの方は副作用が出やすいので注意が必要です。

セデス

セデスにはイソプロピルアンチピリンが主成分のピリン系の製品、ACE処方の製品、イブプロフェンが主成分の製品の3種類があります。

セデス・ハイは,鎮痛作用の強いイソプロピルアンチピリンをはじめ4種類の成分が配合され,強い痛みにもすぐれた鎮痛効果を現します。

しかし、イソプロピルアンチピリンにより副作用として発疹ができることがありますので、特にアレルギー体質の方や服薬によってアレルギーを起 こしたことのある方は注意が必要です。

妊娠や授乳中に片頭痛発作が起きた場合の薬の服用については、必ず医師に相談してください。また、授乳期間中にトリプタン系薬剤を服用した場合は、いったん搾乳し、24時間経過してから授乳するようにして下さい。

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片頭痛の薬での副作用は?

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医師
上記で取り上げた薬の中から副作用についてご説明します。

トリプタン系薬剤の副作用

主な副作用として、身体各部の痛みや悪心・嘔吐、動悸、めまい、眠気、倦怠感、体の痛みなどが挙がります。

また、飲み始めに、胸やノドのつかえや圧迫感を生じることがよくあります。

重い副作用
  • 狭心症や心筋梗塞など、胸の痛みや違和感・圧迫感、動悸、脈の乱れ、冷汗など。
  • アナフィラキシーショックやじんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、冷汗、顔が白くなる、手足のしびれ、血圧低下など。
  • てんかん様発作や痙攣
その他の副作用
  • 眠気や倦怠感、めまいなど。
  • 胸や喉のつかえ、圧迫感、肩こり、体の痛み
  • 吐き気
  • 口内乾燥
  • ほてり感

それに加えて、過敏症や呼吸器、循環器、消化器、眼、精神神経系、肝臓での副作用が現れる可能性があります。

医師
それでは、種類別にもう少し詳しく説明していきます。
イミグラン

主に、悪心や嘔吐、身体各部の痛みがあります。

イミグランでの重大な副作用には、アナフィラキシーショック、不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状、てんかん様発作があります。

トリプタン系薬剤の薬では、副作用は多めです。

ゾーミック

主に、悪心や知覚減退、眠気などがあります。

ゾーミックでの重大な副作用には、アナフィラキシーショック、不整脈・狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状、頻脈、てんかん様発作があります。

その他、過敏症や循環器、消化器、精神神経系、泌尿器、筋・骨格系などで副作用が現れる可能性があります。

トリプタン系薬剤の薬では、副作用は多めです。

アマージ

主に、悪心や嘔吐などがあります。

アマージの重大な副作用には、アナフィラキシーショック、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状があります。

その他、過敏症、循環器、消化器、精神神経系などで副作用が現れる可能性があります。

トリプタン系薬で副作用のは少なめです。

マクサルト

主に、眠気や動悸、めまい、吐き気、口渇、倦怠感、体の痛みなどがあります。

その他、胸や喉のつかえや圧迫感、肩こり、動悸などがあげられます。

マクサルトの重大な副作用には、アナフィラキシーショック、不整脈・狭心症あるいは心筋梗塞を含む 虚血性心疾患様症状、頻脈、てんかん様発作、血管浮腫、中毒性表皮壊死症、呼吸困難、失神があります。

その他、全身症状、循環器、消化器、精神神経系、呼吸器、筋・骨格系、皮膚、肝臓などで副作用が現れる可能性があります。

トリプタン系薬剤の薬では、副作用は多めです。

レルパックス

主に、嘔吐や眠気があります。

重大な副作用には、アナフィラキシーショック、不整脈・狭心症あるいは心筋梗塞を含む 虚血性心疾患様症状、頻脈、てんかん様発作、血管浮腫、中毒性表皮壊死症、呼吸困難、失神があります。

その他、過敏症、循環器、消化器、精神神経系、泌尿器、筋・骨格系、その他などで副作用が現れる可能性があります。

トリプタン系薬剤の薬では、副作用は中程度です。

エルゴタミン製剤の副作用

吐き気がみられたり、稀ですが、めまいや手足のしびれ、結合組織が蓄積することで、胸や背中の痛み、息苦しいなどの症状があらわれる場合があります。

 

医師
どの薬の場合でも症状があらわれた場合は、すぐ医師に相談するようにして下さい。

関連記事)片頭痛に漢方は効くの?副作用や注意点は?

片頭痛の薬が効かないのはどうして?

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片頭痛の薬が効かないのはどうしてでしょうか?
医師
薬を飲むタイミングを間違えているなど、いくつか考えられる事がありますので以下にご紹介します。

 痛みが始まる前に薬を服用している!

鎮痛薬などは痛みを引かせるもので、痛みそのものを予防するものではありません。

頭痛が起こる前から、痛みもないのに予防的に薬を服用される方がいますが、そうすると頭痛が実際に現れた時点で効き目が薄くなってしまいます。

痛みがひどくなってから薬を服用している!

市販の薬、病院で処方される薬、共に飲むタイミングが大切であり、タイミングを間違えると効果が十分発揮されなくなります。

トリプタン系薬剤は、痛みが出始めてまだそれほどひどくない時に飲む必要があります。

一度痛みがひどくなってしまうと、こうした薬を服用してもほとんど効果が得られません。

薬が合っていない可能性も!

偏頭痛の薬は多くありますが、自分に合った薬を飲まないと効果が現れなかったり、効き目が弱くなります。

偏頭痛は個人差が大きい病気ですので、効果のある薬にも個人により差があります。

同じ市販薬の薬でも、他の人に効いている薬が、自分には効かないということが良くあるのです。

特に市販の鎮痛剤は、軽い痛みであれば緩和させることもできますが、片頭痛を治療する作用はなく、拡張した血管を収縮することはできないため、根本的な治療にはなりません。

繰り返しますが、自分に合った薬を服用することが大切ですので、もし現在飲んでいる薬が効かない場合は、他の種類の薬を試してみてください。

また、どの市販薬を飲んでみても効果が現れない方、今まで飲んでいた市販薬が効かなくなってきたと感じる方、鎮痛剤を月に10回以上服用している方は、早めに受診することをおすすめします。

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そもそも片頭痛とは?

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片頭痛とは、発作性に片側性、拍動性の中等度以上の頭痛を反復するものです。

頭の血管が拡張し、ズキンズキンと脈打つような頭痛が起こり、吐き気や嘔吐を伴うことも多いです。

発作の前に目がチカチカするなど特異な前兆が現れる方もいます。

しばしば家族性に発症しますが、遺伝形式はよくわかっていません。

思春期に発症することが多く、年齢と共に症状は経快していきます。

また、男女での割合は、女性が高くなります。

片頭痛の原因は不明であり、血管説や三叉神経血管説などのいくつかの見解が唱えられています。

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まとめ

医師
今回のポイントのまとめ!
  • 急性期治療には市販薬も含め鎮痛薬が広く使用されており、その中でも片頭痛に有効とされるのが、トリプタン系薬剤である。
  • トリプタン系薬剤には、イミグラン・ゾーミッグ・マクサルト・アマージ・レルパックスの5種類がある。
  • トリプタン系薬剤は、痛みを引き起こす源である血管と三叉神経の両方に作用し、痛み始めに飲んだほうがより良い効果を得られる。
  • エルゴタミン製剤は、発作のごく初期や前兆のある片頭痛の場合は、前兆期に服用しなければ効果が発揮されないことが多い。
  • 市販薬はすでに起きてしまった炎症を抑える鎮痛が主な作用になる。
  • トリプタン系薬剤の主な副作用として、身体各部の痛みや悪心・嘔吐、動悸、めまい、眠気、倦怠感、体の痛みなどがある。
  • 片頭痛の薬は、服用するタイミングも大切である。

 

片頭痛の薬の種類と服用するタイミングを理解しておく事が大切だとお分かりいただけたかと思います。

また、頻繁に薬を服用していると、痛みに敏感になり、少しの頭痛にも耐えられない状態に陥ってしまいます。

この状態を「薬物乱用頭痛」と呼び、以前より頭痛がひどくなったと感じるのは、薬物の乱用による頭痛に陥っている可能性があると考えられます。

痛みがあるからといって薬を乱用するのは危険ですので、服用前にしっかりと説明書を読み、正しく薬を服用をする事が大切です。

 




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