昨今ニュース等でよく耳にし、受けなければと、重要さは感じる乳癌検診ですが、実際・・・
「何歳から受ければいいのか?」
「どれくらいの割合でがんが見つかるのか?」
「どれくらいの期間で受ければいいのか?」
「検査を行なっていたら絶対安心なのか?」
などなど、わからない点も多いですよね。
しかし、乳がん検診を定期的にしていたから助かる命があり、していなかったから発見が遅れて失う命もあります。
その乳癌検診でよく耳にするのが「マンモグラフィ」ですが、痛いという声も多く耳にするため、
「そこまでする必要はあるのか?」
と思う方もいらっしゃいますよね?
そこで今回は、これらの疑問にお答えすべく、乳癌検査の気になるあれこれについて解説したいと思います。
そもそも乳癌検診とは?
乳癌の早期発見を目的とした検査で
- 視触診
- 超音波検査(エコー)
- マンモグラフィ
という方法で、検査を行いますが、その中でも乳癌の発見に最も有用とされているのがマンモグラフィです。
このマンモグラフィは、乳腺のレントゲン検査で、乳がんの死亡者数の減少に有効性が証明されている唯一の検査です。
関連記事)マンモグラフィーとは?痛いの?
乳癌の検診は何歳から?頻度は?
日本では、40歳以上の女性は2年に1度、乳がん検診を受けることが推奨されています。
そのため、自治体の検診でも40歳以上の女性に対し、補助が出ることも多くあり、自己負担で受けるより安く検査をすることが可能です。
実際、乳癌は30代頃から急に増えてきて、60代くらいでピークを迎え、その後少しずつ減ってくるという傾向があります。
(2)を参考に作成。)
40〜50歳代という年齢は、社会においても重要なポストに就いておられる方や家庭を持っておられる方も多く、本人だけではなく、家族や社会に与える影響は大きくなります。
心配な方は、1年に1度や半年に1度受けたいという方もおられます。
しかしX線を使うことから被曝の問題もあり、基本的に医療機関や医師は、とくに乳癌のリスクが高い人でない限り、頻繁に乳癌検診を受けることはすすめていない現状です。
関連記事)乳がん検診とは?何歳から?
乳癌検診で乳癌が見つかる確率は?
1000人あたり2.3人程度です。
つまり、0.27%の確率で乳癌が見つかっているといわれています。1)
これを少ないと感じるか、多いと感じるか・・・しかし、次の2年の間に発症してしまう乳癌があるのも事実です。
それを中間期乳癌(ちゅうかんきにゅうがん)といいます。
中間期乳癌とは?
検診から検診までの間に、発症し自覚症状を伴い、発見される乳癌です。
この乳癌の特徴は、進行が早いということです。
乳癌には幾つかタイプがありますが、
- トリプルネガティブ乳癌
- HER2タイプ乳癌
と呼ばれる乳がんは進行の早いことが知られており、検査をしていないわずかな間に見つかるのは、これらの乳癌の可能性が高いと考えられます。
そこが問題となるのですが、乳癌にはなりやすい人、家族歴がある人なども関係します。
関連記事)乳癌が遺伝する確率は?遺伝子検査とは?
また、これらの中間期乳がんの特徴は、癌が「硬くて、はっきり触れられる」ことが多いということで、定期的なセルフチェックが発見には重要となってきます。
関連記事)乳癌の症状とは?自分でしこりが分かる?
また、中にはこのマンモグラフィを受けられない人もいます。
マンモグラフィ検診を受けられない人は?
以下の方は、受けることが一般的にできないとされています。
- 被ばくするため、妊婦は基本的に受けられない。
- ペースメーカーを留置している人。
- カテーテルを留置している人。
- 豊胸パックをしている人。
これらに該当しない方に撮影を行います。
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マンモグラフィが受けることができない人もいるけど、できる人は定期的に受けるに越したことはありませんね。
では、そのマンモグラフィって、何をどう評価しているのでしょうか?
マンモグラフィで評価する項目
- 腫瘤の有無
- 石灰化
- その他の所見:局所的非対称性陰影、構築の乱れ
をチェックしていきます。
腫瘤
腫瘤があれば、その形状と辺縁の様子をチェックします。
腫瘤の形状
- 円形あるいは楕円形
- 多角形
- 分葉状
- 不整形
腫瘤の辺縁
- 境界明瞭平滑
- 微細分枝状あるいは微細鋸歯状
- スピキュラを伴う
- 境界不明瞭
- 評価困難
石灰化
石灰化は、マンモグラフィの得意とするところです。
丸いのかトゲトゲしているのか、索状なのか分枝状なのかといった形状やどんな風に広がっているのか(全体に広がっているのか線状なのか)という広がりをチェックします。
石灰化の形状
- 微細円形(small round)
- 淡く不明瞭(amorphous or indistinct)
- 多角性、不均一(pleomorphic or heterogeneous)
- 微細線状、微細分枝状(fine,linear,fine linear or branching)
石灰化の分布
- びまん性(diffuse scattered)
- 領域性(regional)
- 集簇性(grouped,clustered)
- 線状(linear)
- 区域性(segmental)
前者2つは良性を考える分布であり、後者3つは悪性を考えさせる分布とされています。
局所的非対称性陰影(FAD)
2方向で同様の形をした非対称性の陰影で、真の腫瘤としての境界や濃度を持たないものです。
構築の乱れ
腫瘤ははっきりしないけども、正常の乳腺構築がゆがんでいるものを構築の乱れと表現します。
具体的には、移転から放射状に広がるspiculations、乳腺実質縁の局所に引き込みを認めるretraction、歪みを認めるdistortionといったものがあります。
これらの点を一人一人の各乳房について評価いくのです。
乳癌検査結果の見方
カテゴリー分類と呼ばれる分類で判定されます。
これはどれくらい悪性を疑うかを示したものであり、乳癌の進行度ではありません。
また、最終的に乳癌であるかどうかは、生検をして病理診断しなければわからないことです。
カテゴリーは5つに分けられます。
- カテゴリー1:異常なし。
- カテゴリー2:良性
- カテゴリー3:良性、しかし悪性を否定できない。
- カテゴリー3:悪性の疑い。
- カテゴリー5:悪性。
マンモグラフィだけで、確実に癌とは余程進行したカテゴリー5のケースでないといえないのです。
参考サイト:
1)国立がん研究センター がん情報サービス
2)がん情報サービス がん登録・統計
参考文献:
よくわかる検査数値の基本としくみP130・131
病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科 第3版P271・276〜280
最後に
今回のポイントをまとめます。
- マンモグラフィは、乳癌の死亡者数の減少に有効性が証明されている唯一の検査
- 40歳以上、2年に1度の検査が推奨される
- 0.3%の確率で、検診で乳癌が見つかっている
- 検査の間に見つかる進行の早い中間期乳がんもある
日頃のセルフチェックも早期発見には重要となります。
まずは自分の体にもっと注目し、「もしも」のことを考え、定期的に乳癌検診を受けることをオススメします。