
子供の病気と思われがちな水疱瘡ですが、大人にとっても油断の出来ない病気です。
大人が水疱瘡に感染した場合、子供よりも症状が重くなりがちであり、場合によっては命に関わることもあります。
しかし、子供の頃にかかったら二度とかからないという認識があり、比較的重要視されていないのではないでしょうか。
では、大人が水疱瘡に感染したらどうなるのでしょうか?その症状は?
そこで今回は、
- 水疱瘡に大人が感染した場合、症状・潜伏期間
- 水疱瘡に2回目の感染はあるのか
- 水疱瘡の感染力・仕事への復帰はいつから
以上についてまとめました。
先に結論
- 大人の水疱瘡は多くはありませんが、かかると子どもより重くなりやすいとされ、肺炎などの合併症に注意が必要です。
- 潜伏期間は約2週間です。感染力は発疹が出る1〜2日前から、すべてかさぶたになるまで残ります。
- 2回目の感染は、高齢の方や免疫が弱っている方で起こりうるとされています。
- 治療には抗ウイルス薬が使われます。発疹が出てから24時間以内に始めると効果が高いと報告されています(Wallace 1992)。
- 発疹や発熱が出たら、周りにうつさないよう、受診前に医療機関へ電話で相談しましょう。
水疱瘡に大人が感染したら?
大人の水疱瘡は多くありませんが、かかると重くなりやすいとされています(大阪府)。
大人が水疱瘡に感染すると、
- 発疹が子供に比べて重症化することがある。
- 水痘肺炎を合併することがあり、ときに命に関わる。
という特徴があります。
免疫が弱っている方(悪性腫瘍、自己免疫性疾患、糖尿病などの基礎疾患がある方)や高齢の方では、特に注意が必要です。
症状
水疱瘡の初期症状として、倦怠感や38度前後の発熱、食欲の低下、頭痛などが一般的です。
大人の場合、初期症状が重くなる傾向にあり、高熱が長期間続くこともありますので、脱水症状などに注意して下さい。
また、下で述べる水痘肺炎には注意が必要です。
初期症状の後、小さな発疹がお腹や背中を中心に出はじめ、3~5日間ほどかけて体中に広がっていきます。
発疹ははじめ1つ2つ出る程度ですが、非常に痒く、半日ほどで全身に広がるため、水疱瘡ということが特定されやすくなります。
この発疹は出来てから24時間以内に水ぶくれとなり、乾いてかさぶたへと変わっていきますが、このかさぶたが自然に綺麗に治るまでには数週間かかることがあります。
水ぶくれを壊したり、かさぶたをムリに剥がしたりすると、皮膚がうまく再生されずに跡が残ってしまうこともありますので注意して下さい。
潜伏期間
水疱瘡の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスは、体内に侵入してから増殖が始まるため、皮膚表面に症状が現れるまでに約2週間程を要します。
このため、 感染から発症までの潜伏期間は約2週間とされています(大阪府)。個人差があり、数日の幅があります。
命に関わる水痘肺炎とは?
水痘肺炎はまれな合併症ですが、成人でとくに問題になる最も重い合併症とされています(Mohsen 2003)。健康な成人を調べた試験でも、水痘で入院した148人のうち肺炎は4人でした(Wallace 1992)。
また、成人の水痘肺炎の経過は重症であり、時に命に関わります。
発疹の1週間以内に肺炎は発症し、発熱、咳、多呼吸、低酸素状態や呼吸不全が急速に進行すると報告されています6)。
水痘肺炎の原因は、水痘・帯状ヘルペスウイルス(VZV(varicella zoster virus))です。
水痘肺炎の胸部レントゲンやCT上の特徴として、両側に広範に粒状影、結節影を認めることです。
大人が水痘にかかった場合は、常にこの肺炎を念頭に置く必要があります。
水痘肺炎でみられる低酸素状態の指標SpO2については、酸素化とは?SpO2とPaO2の関係(換算表)とSpO2 100%でも安心できない理由で解説しています。
水疱瘡は2回目の感染もあるの?
抗体価の低下や細胞性免疫の低下した高齢者などでは、2回目に感染する可能性があります。
通常、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体を得た方ですと、再感染しても一般的に全身症状、皮疹共に軽症であり診断が困難な場合もあります。
しかし、高齢者になると、水痘・帯状疱疹ウイルスを抑える抗体価や細胞性免疫力が低下することで、初めて感染した時と同じくらいの重さの症状が出ることもあります。
水疱瘡の予防接種に関してはこちらにまとめました。→水疱瘡の予防には予防接種が有効?大人も受けられる?費用は?
水疱瘡の感染力は?
水疱瘡は空気感染するため、非常に強い感染力を持ち、二次感染の恐れもあります。
家族が水疱瘡にかかった時点で、すでに一緒に住んでいる家族に感染している場合があります。免疫のない家族には、特にうつりやすいとされます。
しかし、患者の身体からウイルスが放出され始めるのは、水疱瘡の発疹が出る1~2日前で、それまでの潜伏期間は感染力がありません。
ウイルスは、発疹が出る1〜2日前から、発疹が出たあと4〜5日ごろまで出続けます。かさぶた(痂皮)になるまでは感染力が残るとされます(大阪府)。
また、患者の水疱が全てかさぶたになれば感染力はなくなっています。
仕事復帰はいつから?
水疱が全てかさぶたになるまで外出などは避けるべきですので、この期間の職場復帰はムリと考えて下さい。
学校では、学校保健安全法により、すべての発しんがかさぶたになるまで出席停止とされています(大阪府)。職場でも、これを目安にするとよいでしょう。個人差があり、かさぶたになるまでの期間は人によって異なります。
水ぶくれが全てかさぶたに変わるまでは感染の危険がある事を心得、何日休むかは担当の医師と相談するようにして下さい。

水疱瘡の治療と受診の目安
治療には、抗ウイルス薬が用いられます(大阪府)。成人の水痘を調べたランダム化試験では、発疹が出てから24時間以内に内服を始めると、すべての発疹がかさぶたになるまでの日数が7.4日から5.6日に短くなり、発疹の最大数も46%減りました。一方、25〜72時間後の開始では経過は変わりませんでした(Wallace 1992)。
大人の水疱瘡が疑われるときは、発疹が出たらできるだけ早く受診しましょう。ほかの患者さんにうつさないために、受診前に医療機関へ電話で連絡してください。息苦しさや咳が出るときは、肺炎の可能性があるため、すぐに受診が必要です。

よくある質問
Q. ワクチンは大人も受けられますか?
水痘ワクチンは1回の接種で重症の水痘をほぼ100%予防でき、2回接種すると軽症の水痘も含めて発症を予防できると考えられています(大阪府)。大人の接種の可否や費用は、医療機関で確認してください。費用は施設で異なります。
Q. 子どもの頃にかかったのに、また水疱瘡になりますか?
可能性はあります。多くは軽く済みますが、高齢や免疫が弱っているときは、初めてかかったときと同じくらい重くなることもあります。
Q. 潜伏期間のあいだにもうつしますか?
潜伏期間中は感染力がなく、発疹が出る1〜2日前から感染力があります。
気になる症状があれば、医療機関に相談してください。
参考文献:
6)水痘・帯状疱疹の全て(MEDICAL VIEW)P105
大阪府「水痘(みずぼうそう)」
Mohsen AH, McKendrick M. Varicella pneumonia in adults. Eur Respir J 2003 PubMed
Wallace MR, et al. Treatment of adult varicella with oral acyclovir. Ann Intern Med 1992 PubMed
まとめ
- 大人が水疱瘡に感染すると重症化し、治癒するまでに時間が掛かる場合もあるので早めに病院へ行く事が大切である。
- 初期症状が重くなる傾向にあり、特に水痘肺炎は命に関わることがある。
- 感染から発症までの潜伏期間は約2週間である。
- 水疱瘡は2回目の感染の可能性もある。
- 水疱瘡は空気感染するため、非常に強い感染力を持ち、二次感染の恐れもある。
- 水疱が全てかさぶたになるまでは感染の可能性があるため、この期間の職場復帰はムリと考える。
- 抗ウイルス薬は発疹が出てから24時間以内に始めると効果が高い。
大人が水疱瘡に感染すると場合によっては、重症化し治癒までに時間を要することがおわかりいただけたと思います。
水疱瘡にかかった場合は、初期の対応が早いほど重症になる可能性も低く、他の人への感染も防ぐことが出来ます。
ですから、軽視することなく速やかに病院で治療を受けるようにして下さい。





