レビー小体型認知症とは?幻視・パーキンソン症状・診断(MIBG)・治療を解説

認知症にも色々種類があるということ、ご存知ですか?

もっとも有名で患者数が多いのは、アルツハイマー型ですが、それ以外にも有名なところでいうと・・・若年性認知症。

また、脳血管障害が原因で起こる脳血管性認知症などもあり、その認知症の種類は70種類ほどあると言われています。

今回はその認知症の中でも、レビー小体型認知症(英語表記で「Lewy body dementia」「dementia with Lewy bodies」)について

  • 症状
  • 原因
  • 診断
  • 治療法

をまとめました。

レビー小体型認知症って、どんな特徴があるの?

実際にはいない人や動物が見える「幻視」や、手のふるえ・動きのにぶさ(パーキンソン症状)が出やすいのが特徴ですよ。

先に結論

  • レビー小体型認知症は、レビー小体という異常な蛋白が脳にたまる神経変性疾患で、認知症の代表的な原因のひとつです。
  • 特徴は、認知機能の変動(日によって、1日のうちでも調子が変わる)、実際にはいない人や動物が見える幻視、レム睡眠行動異常、パーキンソン症状(動きのにぶさ・筋肉のこわばり)です。
  • アルツハイマー型と違い、海馬の萎縮は軽く、後頭葉の血流低下やMIBG心筋シンチの集積低下が手がかりになります。
  • 根治は難しく、薬・環境調整・リハビリで症状を和らげます。物忘れ、幻視、寝言や体の動き、転倒などが気になる場合は、脳神経内科・精神科・もの忘れ外来に相談してください。

レビー小体型認知症とは?

  • 進行性の認知機能障害
  • 幻視などの特有の症状
  • パーキンソニズム

などが見られる、老年期に多く発症する神経変性疾患です。

アルツハイマー型認知症などと並ぶ主要な認知症のひとつで、男性に多い傾向があるとされています1)。報告により割合は異なります。

 

レビー小体型認知症の症状とは?

医師
以下のような症状が現れます。
  • 注意障害
  • 失認
  • 構成失行
  • 遂行機能障害
  • 問題解決能力障害
  • 幻視
  • 仮面様顔貌
  • 寡動
  • 筋強剛
  • 歩行障害
  • 繰り返す転倒
  • めまい
  • 失神
  • 記憶消失発作(一過性)
  • 起立性低血圧
  • 体温調節障害
  • 抑うつ
  • 不安
  • 妄想
  • 幻聴
  • 不眠
  • レム睡眠行動異常

このような様々な症状が出るものなのですが、特徴的なものでいうと、理解や把握に波がある認知機能の変動・実際にはいない人や動物が具体的に見える幻視・静止時の震えは目立たないことも多いパーキンソン様症状などが挙げられます。

また、これらはの症状は、1日のうちでも波のあることがLewy小体型認知症の特徴のひとつです。

レビー小体型認知症の特徴と検査の手がかりの表

レビー小体型認知症の原因は?

多くは遺伝とは関係なく起こり、レビー小体という異常な蛋白が脳内に蓄積し、脳神経細胞が次第に減少していくことが原因で起こります。

このレビー小体とは、脳神経細胞内にたまった異常な蛋白で円形状の封入体ですが、どうしてこのように蓄積するのか・・・詳しい原因は解明されていません。

そもそも認知症とは何なのかについて、こちらで解説。→認知症とは?症状は?検査は?

レビー小体型認知症の診断は?

  • 中心的特徴
  • 中核的特徴
  • 示唆的特徴
  • 支持的特徴
  • レビー小体型認知症の診断を支持しない特徴
  • 症状の時間的経過2)

(レビー小体型認知症の臨床診断基準改訂版2005 国際ワークショップより)

この基準は2017年に改訂されています。現在の基準では、認知機能の変動・繰り返す具体的な幻視・レム睡眠行動異常・パーキンソニズムが中核的特徴とされ、認知症があって中核的特徴が2つ以上、または中核的特徴1つと指標的バイオマーカー(DAT-SPECTでの集積低下、MIBG心筋シンチでの集積低下、睡眠ポリグラフでレム睡眠中に筋肉の脱力が起こらない所見)が1つ以上あれば「ほぼ確実」とされます(McKeith 2017)。
診断基準として、以上のような項目がありますが、なかなかピンとくるものではありませんよね?

そこで、実際に診断のために行う検査、CT・MRIやSPECT・PET、心筋シンチグラフィーについて解説します。

CT・MRI

アルツハイマー型認知症同様、脳の全体的な萎縮が見られます。

海馬の萎縮は軽度です。

SPECT・PET

後頭葉の血流低下が特徴的で、それがアルツハイマー型との大きな違いでもあります。また、ドパミントランスポーターSPECT(DAT-SPECT)で脳の線条体への集積低下が見られることも、診断の手がかり(指標的バイオマーカー)とされています(McKeith 2017)。

心筋シンチグラフィー

心臓交感神経の分布や機能を可視化する検査で、心臓交感神経におけるMIBGの集積低下が確認できます。

この検査を行うことで、アルツハイマー型認知症や他のパーキンソン症候群との鑑別にもなります。

MRIやSPECTでわかることは、認知症の画像診断は?MRIと脳血流SPECTでわかることは?で紹介しています。

幻視や後頭葉の働きについては、後頭葉の働きは?障害されると起こる症状(視野欠損・視覚失認・Anton症候群)でくわしく解説しています。

レビー小体型認知症の治療法は?

症状に合わせた対症療法が基本となります。

ですが、それも進行を防ぐものではなく、根治とはなりません。

医師
少しでも症状を軽くすることを目的とした治療法、ということをご理解ください。

認知機能障害に対して

コリンエステラーゼ阻害薬として塩酸ドネペジルが用いられます。日本で行われた臨床試験でも、レビー小体型認知症の認知機能に対する効果が示されています(Mori 2012)。

認知機能低下や幻覚、妄想、意欲低下などの症状に対して有効です。

精神症状に対して

幻視や妄想にも効果的な、塩酸ドネペジルの他、漢方薬の抑肝散や非定型抗精神病薬が用いられることがあります。ただしレビー小体型認知症では抗精神病薬に過敏に反応して症状が悪化することがあるため、使用はとくに慎重に行います(McKeith 2017)。

パーキンソニズムに対して

レボドパやドパミン作動薬が運動症状に対して用いられますが、副作用として精神症状を悪化させることもあるため、使用には慎重です。

対症療法も簡単に出来るものではなく、症状を見ながら調整し、慎重に行うことがが大切です。

その他、環境調整やリハビリテーションなどを行うことも治療には重要です。

参考文献:
病気がみえる vol.7:脳・神経 P336・337・350 1)337
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル P180・181
2)Lewy小体型認知症P296

よくある疑問

Q. アルツハイマー型認知症との違いは何ですか?
A. アルツハイマー型は記憶障害と海馬の萎縮が目立つのに対し、レビー小体型は注意・遂行機能・視空間認知の障害、幻視、症状の変動、パーキンソン症状が目立ち、海馬の萎縮は軽めです。SPECT・PETでは後頭葉の血流低下、心筋シンチでは集積低下が見られます。

Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 脳神経内科、精神科、もの忘れ外来が目安です。幻視や寝ているときの異常な動き、ふらつきや転倒も医師に伝えましょう。

Q. 幻視が見えるときはどう対応すればよいですか?
A. 本人には実際に見えているため、頭ごなしに否定せず、不安を和らげるよう声をかけるのが基本です。幻視で困る場合は、薬の調整が必要なことがあるため主治医に相談してください。

最後に

レビー小体型認知症について、ポイントをまとめます。

  • Lewy小体型認知症は老年期に多く、男性に多い傾向がある神経変性疾患
  • 認知機能の低下・幻視や幻覚・パーキンソン様症状が特徴
  • Lewy小体が蓄積し、脳神経細胞が減少していくことが原因
  • 臨床症状・CT・MRI・SPECT・PET・心筋シンチグラフィーから診断する
  • 症状に合わせた対症療法が一般的

 

認知症は介護する家族の負担も大きく、時に幻視や幻覚が現れるLewy小体型認知症の場合、介護者の精神的負担も大きくなります。

介護者がひとりで抱え込まず、地域の病院や介護支援等をうまく活用しながら患者を支えていくのがよいでしょう。

高齢の男性に寄り添う妻のイラスト

参考文献(追記):
1)McKeith IG 他. Diagnosis and management of dementia with Lewy bodies: Fourth consensus report of the DLB Consortium. Neurology 2017. PubMed
2)Mori E 他. Donepezil for dementia with Lewy bodies: a randomized, placebo-controlled trial. Ann Neurol 2012. PubMed