肝不全とは?原因や症状、診断や治療について

 

肝不全というと、様々な肝臓疾患をきたした状態をいいますが、どうしてこの肝不全になってしまうのでしょう?

また、肝不全になったらどのような症状が出るのでしょう?

今回は、肝不全(英語表記で「Liver failure」)についての疑問を探るべく

  • 原因
  • 症状
  • 診断
  • 治療

など、肝不全の疑問について色々とまとめました。

肝臓って、おなかのどのあたりにあるんですか?

右の肋骨の内側にある、体の中でいちばん大きな臓器です。正常なCTでは、このように右側の大きな部分を占めています。肝不全は、この肝臓の働きが大きく落ちた状態ですよ。

腹部CT(画像診断cafe正常例):肝臓・胆のう・門脈・胃・脾臓

肝不全とは?

肝不全とは、何らかの原因により肝細胞の機能が低下してしまい、肝臓としての機能が上手く維持出来なくなった状態です。

Liver failure

つまり、肝細胞の代償が効かなくなった肝機能低下の状態で、黄疸・腹水・消化管出血・腎不全・肝性脳症などの様々な症状を起こします。

特に、意識障害としての肝性脳症は肝不全の中核をなす症状であり、生命に関わる重篤な状態になります。この肝不全は、

  • 急性型の急性肝不全
  • 慢性型の慢性肝不全

に大別されます。

肝臓の働きについては、肝臓の働きとは?代謝・解毒・胆汁生成をイラストで分かりやすく説明で解説しています。

肝不全の原因は?

肝不全の原因としては、

  • 急性型である劇症肝炎
  • 慢性型である肝硬変

が多いとされます。

医師
その劇症肝炎や肝硬変の原因についてもご説明します。

劇症肝炎の原因は?

なお、劇症肝炎は、現在の診断基準では急性肝不全(昏睡型)の一部として扱われます(厚生労働省研究班 2011)。急性肝不全をきたす劇症肝炎の原因としては、

  • B型肝炎
  • A型肝炎
  • 自己免疫性肝炎
  • 薬剤性肝炎

が挙げられます。慢性肝障害をきたすC型肝炎からの劇症肝炎は稀とされます。

このほか、原因がはっきりしないものもあります。

肝硬変の原因は?

一方で慢性肝不全をきたす肝硬変の原因としては、

  • C型肝炎
  • B型肝炎
  • アルコール性肝障害
  • その他(PBC、自己免疫性肝炎、NASH、ヘモクロマトーシス、Wilson病、糖原病、右心不全、Budd-Chiari症候群など)

が挙げられます。日本ではC型肝炎が最も多い成因ですが、近年は減少傾向にあり、NASHなど非B非Cの割合が増えているとされます(日本肝臓学会 2020追補)。アルコール性肝障害も原因となります。

肝不全にはどの様な症状があるの?

多くの症状が出る肝不全ですが、以下にその主な症状をまとめました。

黄疸

ビリルビンを上手く排泄出来なくなり、体の中の濃度が上がることにより、皮膚や眼球が黄色くなります。

腹水

血液中の色々な物質を運んだり、体液の濃度を調整するアルブミンというタンパク質がほとんど作れなくなるために、水が血管の外に漏れ出やすくなってしまい、腹部にたまってしまう状態です。

肝性脳症

腸の中で発生するアンモニアが肝臓から排泄されなくなったり、アミノ酸のバランスが悪くなってしまう事で脳に影響が及び、おかしな行動を起こすもの。

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食道胃静脈瘤破裂

腸管から肝臓に流れ込む「門脈」という血管の圧力が高くなることで、本来の血管以外の側副血行路ができます。

さらにその血管の圧が上がることで、血管が破裂して突然出血してしまうのが、食道静脈瘤破裂であったり胃静脈瘤破裂です。

吐血や出血性ショックの原因となります。

詳しくはこちら)

その他

この他にも、

  • 疲労感
  • 脱力感
  • 吐き気
  • 食欲不振

など、全身の健康状態が悪化して来ます。

肝不全の主な症状としくみの表

肝不全の検査は?

問診・血液検査・画像検査をおこないます。

医師
検査の流れの一例は以下の通りです。
  1.  問診:肝疾患の有無・薬剤使用の有無・輸血などでのウイルス感染の機会がなかったかの有無などが医師により質問されます。
  2. 身体所見:精神症状・神経症状・肝性口臭・黄疸・腹水・昏睡度分類などが調べられます。
  3. 肝機能の評価に必要な血液検査
  4. 画像診断:腹部CT・腹部US・頭部CT/MRI
  5. 鑑別診断:肝疾患の患者に併発し易い他の昏睡との鑑別

肝臓の検査の種類や基準値は、肝臓の検査の種類と方法は?血液検査の基準値・画像検査・何科を受診するかで紹介しています。

肝不全の治療は?

肝不全は致命的となることも多いため、以下のような治療が中心となります。

  • 肝性脳症の治療
  • 肝不全の治療
  • 全身の管理
  • 合併症への対策と治療
  • 肝移植
  • 食事療法

肝不全の治療は、肝性脳症や肝不全の治療と共に、全身管理と合併症への対策を含めた治療が早期の段階から必要です。

人工補助療法はその一つで、これは、肝不全における有害物質の除去と有用物質を補う目的でおこなわれます。

治療を進めても回復が認められない末期肝不全の患者は、肝移植の適応となります。

食事療法は重要です。

たんぱく質は、多すぎても少なすぎても問題になるため、肝性脳症の有無や栄養状態に合わせて、医師や管理栄養士の指導のもとで調整することが大切です。

又、塩分摂取を低く保つ事で、腹水がたまらないようにコントロールされます。

アルコールは肝臓の障害を悪化させますので厳禁となります。

管理栄養士から食事の指導を受ける男性

肝硬変での食事療法の目安は、肝硬変の食事療法は?エネルギー・たんぱく質・塩分の目安とレシピ・看護で解説しています。

参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P288〜301
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P204
参考文献:新 病態生理できった内科学 8 消化器疾患 P194〜201
参考文献:内科診断学 第2版 P875〜886
参考文献:日本肝臓学会 肝硬変診療ガイドライン2020 追補 https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/kankouhen2020_AR.pdf

最後に

  • 肝細胞の代償が効かなくなった肝機能低下の状態が肝不全
  • 劇症肝炎や肝硬変が原因となることが多い
  • 様々な肝臓疾患症状が出る
  • 問診・血液検査・画像検査など、鑑別診断をおこなう
  • 肝性脳症・肝不全の治療・全身の管理・合併症への対策と治療・肝移植・予後の食事療法をおこなう

 

肝不全は、主に急性型である劇症肝炎や慢性型である肝硬変が基礎となり起こる重篤な肝機能障害の状態であり、様々な症状を引き起こします。

つまり肝臓疾患を甘く見ず、きちんと治療して肝不全にまでならないように注意することが重要です。