太っている人を見て「メタボ体型だ」などという言葉をよく耳にしますが、メタボって何なのかご存知ですか?
メタボは通称で、正式名称は「メタボリックシンドローム(英語表記でmetabolic syndrome)」といい、放置したままでいると危ないといわれています。
そんな気になるメタボ(メタボリックシンドローム)について、
- 何なのか?
- 危険な理由
- 肥満の違い
- 子供の場合
など、気になるあれこれについて、わかりやすく解説したいと思います。
メタボリックシンドロームとは何?
肥満には内臓脂肪型肥満(ないぞうしぼうがたひまん)と、皮下脂肪型肥満(ひかしぼうがたひまん)があり、どちらも脂肪が体に蓄積している状態をいいます。
メタボリックシンドロームは、その中でも内臓脂肪型肥満が関与します。
そういうわけではなく、この内臓脂肪型肥満に加え
- 高血糖
- 高血圧
- 脂質異常
の3つのうち2つ以上が該当すると、メタボリックシンドロームにあてはまります1)。
次に、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満について、どのように違うのか説明しますね。
皮下脂肪型肥満とは?
比較的女性に多いとされる肥満タイプで、洋なしのような体型に見えることから、洋なし型肥満ともいわれます。
その名のとおり、皮下に余分な脂肪がついてしまい、大腿部やお尻が太ってきます。
わかりやすくいうと、指でつまんで触れる脂肪が、この皮下脂肪です。
内臓脂肪型肥満とは?
内臓に余分な脂肪がついてしまう肥満タイプで、皮下脂肪とは異なり、実際で手で触って確認することはできません。
形状からリンゴ型肥満とも呼ばれていますね。
しかし、内臓脂肪は外部から見てもわからない脂肪なため、痩せていても(皮下脂肪がなくても)内臓脂肪が隠れていることがあり、見た目に太っているから・痩せているからというの一概にはいえません。
そしてこのタイプの内臓脂肪型肥満こそがメタボリックシンドロームと関連しているのです。
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メタボリックシンドロームはなぜ危険なの?
メタボリックシンドロームが危険な理由として、ズバリ!
動脈硬化疾患につながる可能性があるからです。
なぜなら、高血糖や高血圧、脂質異常の状態が続くということは、
- 高血糖によって、血糖値が高い数値を示す
- 高血圧によって、血管内の負担が高まり、血管の内壁が傷ついたり弾力性が失われる
- 脂質異常によって、中性脂肪や悪玉コレステロールの数値が高まる
などというような状態を生み出します。
このような状態を、生活習慣病といい(高血糖=糖尿病・高血圧・脂質異常=高脂血症)、これらが動脈硬化を促進させる原因となるのです。
また、動脈硬化の状態が進むと何が怖いのかというと・・・
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- くも膜下出血
など、命に関わる重大な病の発症を引き起こす恐れが増してしまうのです。
メタボリックシンドロームって子供にもあるの?
メタボリックシンドロームの危険性を考えると、生活習慣病との関係があるので、大人だけの問題に思われそうですね。
しかし、実は子供にも、メタボリックシンドロームの危険性が生じています。
これは、食生活をはじめとする子供達の生活サイクルが欧米化してきているのも原因と考えられているのです。
- 朝食を食べない子供が増加
- 間食のおやつとして、塩分や油脂が多く含まれるスナック菓子を食べる機会が増加
- 塾などで忙しい子供が増え、食事の時間をゆっくり取れず早食いとなる機会が増加
- 公園等の子供達が安全に遊べる場が少なくなり、家の中でゲーム等に興じる時間が増加(運動不足)
- 塾通いにより、食事の時間が遅くなったり、コンビニ弁当で済ませる子供が増加(食事時間)
- ファーストフード人気により、栄養の偏りが生じる子供が増加(栄養不足)・・・など2)
実際、子供の糖尿病は先進国で増加している現状です3)。
これだけが子供の糖尿病の原因ではありませんが、子供だけでなく、大人・家族の食生活や生活習慣も関係しています。
つまり、大人だけでなく、子供にまで危険を及ぼしているメタボリックシンドローム、今一度一人一人の食生活・生活習慣を見直したいものですね。
1)e-ヘルスネット 厚生労働省
2)Q&Aでわかる 食事・運動指導のエビデンズ50 P008〜027
3)糖尿病ネットワーク
最後に
メタボリックシンドロームについて、ポイントをまとめます。
- 肥満は皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満がある
- メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満が関与する
- 高血糖・高血圧・脂質異常のいずれか2つが当てはまる場合、メタボリックシンドローム
- メタボリックシンドロームは、動脈硬化疾患につながる可能性がある
- 子供でも、メタボリックシンドロームになる
「メタボだから」と笑って済ませられない現状があるのを、おわかり頂けましたでしょうか?
命の危険を伴う前に、今一度食事や生活習慣を見直し、少しでも内臓脂肪を減らすよう努力をすることが、改善につながるでしょう。