食事制限といえば、みなさんはどんなものを想像されるでしょうか?
普通は油を制限すること、つまりカロリーを制限することだと思っていると思います。糖尿病の場合は、カロリーが高い脂質はもちろん、血糖値が上がらないように、糖質も制限します。
しかし、脂質(油)は制限しないで、糖質のみを制限した方が、糖尿病にはよいということがわかってきました。
糖質のみを制限した方が健康になる!
驚きの臨床試験①ATOZ試験
ATOZ試験(JAMA 2007;297:969-977)というBMIが27を超える肥満者に対して、
- 炭水化物を極端に制限(20g/日以下)
- カロリーを制限
- 魚や肉を制限
する群に分けて、調査をしたところ、
- 体重が最も減ったのは、炭水化物を制限した群
- 中性脂肪が最も減ったのも、炭水化物を制限した群
- 善玉コレステロール(HLD-C)が最も増えたのも、炭水化物を制限した群
- 血圧が最も下がったのも炭水化物を制限した群
という驚きの結果が出たのです。
驚きの臨床試験②DIRECT試験
またDIRECT試験(N Engl J Med 2008,359,229-241)では、BMIが27を超える肥満者に対して、
- 糖質制限するが、カロリーは制限しない。
- 低脂質でカロリー制限する。
- 高脂質でカロリー制限する。
という群に分けて、2年間調査したところ、
- 体重が最も減ったのは、炭水化物を制限した群
- 中性脂肪が最も減ったのも、炭水化物を制限した群
- 善玉コレステロール(HLD-C)が最も増えたのも、炭水化物を制限した群
- HbA1cを最も改善させたのも、炭水化物を制限した群
- 空腹時血糖の変化が最も少なかったのも、炭水化物を制限した群
というこれまた驚きの同じような結果が出たのです。
さらに、このDIRECT試験では、空腹時の血糖の変化が少なかったのに、HbA1cが改善したということは、食後血糖を改善したということを意味します。糖尿病では、HbA1cだけでなく、血糖が変動することがよくないので、この両者を糖質制限が改善したということを示唆しているのです。
つまり、油を制限するよりも糖質制限をした群が最も健常人に近づいたということです。
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糖質制限に問題点はないの?
糖質制限に対する懸念はしばしば以下の2点が挙げられます。
「一時的に、改善するだけじゃないの?長続きしないよ。」
「高タンパクは腎臓によくないでしょ?そこはどうなの?」
糖質制限は長続きしない?
しかし、これら懸念はその後の4年間の追跡調査(Obes Rev 2012,13,1048-1066)により、消されることになります。糖質制限食は4年後も変わらず、
- 体重
- BMI
- 腹囲
- 収縮期血圧
- 拡張期血圧
- 中性脂肪
- HDL-C(善玉コレステロール)
- 空腹時血糖
- HbA1c
- 血中インスリン値
- 高感度CRP
いずれも改善を認めたままだったのです。
糖質制限は腎機能を悪化させる?
また、気になる腎臓の機能についても、
- 糖質制限食は、腎機能は悪くならずに、むしろ腎機能の指標であるeGFRは上昇した。
のです。糖質制限は腎臓に対しても安全であるということが確認されました。
※もちろん糖尿病腎症が進行した状態(3期以降)では、慎重に行う必要がありますし、糖尿病腎症の4期以降では、タンパク制限を優先すべきであり、糖質制限食は行うべきではありません。
まとめ
食事制限で、健康になりたければ、カロリーを制限するのではなく、糖質を制限すればよいということがわかりました。
糖質制限は最強だということがわかったんですね。ほんとびっくりですね^^;;。