黄色ブドウ球菌には、

  • MRSA
  • MSSA

の2種類があります。

MRSAとは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)の略であり、抗生物質であるメチシリンが効かない(メチシリンに耐性がある)黄色ブドウ球菌であるということです。

一方で、MSSAとは、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Methicillin-sensitive Staphylococcus aureus)の略であり、抗生物質メチシリンが効く(メチシリンに対し感受性を示している)黄色ブドウ球菌であるということです。

日本における黄色ブドウ球菌のうちの実に50%以上がMRSAであると言われています。

このMRSAは常在菌なのですが、

  • 免疫機能が低下している人に感染すると重症化するリスク
  • 医療従事者の手指を介して感染するリスク

があります。

そこで今回はMRSAとは何なのか、またどこに感染してどのような問題を起こすのか、その対策にはどのようなことができるのかについてまとめました。


MRSAとは?何が問題になる?

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MRSAとはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌であり、多くのペニシリン系やセフェム系抗生物質に耐性を示します。つまり、それらの抗生物質が効かないということです。

ただし、MRSAは特殊な環境下にいる菌では決してなく常在菌であり、医療従事者の3-20%は保菌者であるとも言われています。

つまり、病院で入院中の免疫機能が低下した患者さんに、医療従事者経由で感染し、重症化するリスクがある菌でもあります。

ですので、大事なのは、感染した場合、速やかに感染源を同定して、適切な治療を行うと同時に、他の患者さんにMRSAを広げないことです。

MRSAの感染経路は?感染部位は?

MRSAは体のどこに感染するのですか?
医師
以下の部分が代表です。
  • 血液感染(敗血症)
  • 呼吸器感染
  • 中枢神経感染
  • 尿路感染
  • 皮膚・軟部組織感染
  • 骨・関節感染
  • 心臓・血管感染 など

0-40どこの部位に感染しているかで対処方法が異なります。ですので、感染源の特定は非常に重要です。MRSAの感染源の同定には、症状や、各種培養(血液、喀痰、尿、髄液、創部)、画像検査、人工異物(挿管チューブ、カテーテルなど)から推定をして同定します。

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医療機関でのMRSAの感染対策で重要なことは?

 

0-50例えば、喀痰からMRSAが出ている患者さんの場合、喀痰だけではなく、手や皮膚、さらにはベッド周囲にもMRSAは存在します。

ですので、MRSAが検出されたらその患者さんは個室に入れて隔離して管理します。そして入室者はエプロン・手袋・マスクを着用することが必要になります。さらには、エプロン・ガウンは手首までカバーするものが良いです。

そして、入室者の手指衛生を徹底します。

手指衛生の方法は?

手指衛生はどのようにすればいいですか?
医師
アルコール消毒でほぼ問題ありません。

アルコール消毒のポイントは500円玉大に手に取り、手の全面に塗り込むことです。乾くまでには約15秒かかります。

アルコール消毒が無効なことはありますか?
医師
例外は以下の2つです。
  • ノロウイルス
  • CD(クロストリジウム・ディフィシル)

つまりは、下痢をしている患者さんに接した場合は、要注意ということです。

手指衛生のタイミングは?

手指衛生にアルコールでの消毒が有効であることはわかりました。ではその手指衛生はいつ行えばいいのでしょうか?

 

医師
WHOが推奨している手指衛生の5つのタイミングには以下のものがあります。
WHOが推奨している手指衛生の5つのタイミング
  • 患者に触れる前
  • 清潔・無菌操作の前
  • 体液に曝露された可能性のある場合
  • 患者に触れた後
  • 患者周辺の物品に触れた後

 

大事なのはこれらの行動を取った場合はその都度、手洗いや手指衛生を行うことです。

MRSA感染による隔離が解除される条件は?

MRSAによる隔離から解放されるのはどういったことが必要ですか?
医師
以下の2点です。
  • MRSAに効果のある薬剤を使用終了して、48時間以上経過していること
  • MRSAが出ていた部位(喀痰など)に加えて鼻腔で3回連続でMRSAが検出されないこと(培養陰性)

最後に

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MRSAの対策をきちんと行っている医療機関は、黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合が低いと言われています。そのためには感染対策をきちんと行うと同時に耐性菌であるMRSAを生まない努力、つまり抗生物質の適正使用が重要です。

なんでも広くカバーするカルバペネムを使わないことが重要です。




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