髄膜炎には色々な種類があり、その中でも小児が発症することが多いのが無菌性髄膜炎です。
実は先日、うちの子もなり入院しました。
今回はそんな無菌性髄膜炎について
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
と我が子の体験談も合わせご説明したいと思います。
無菌性髄膜炎とは?
髄膜炎には、細菌性・結核性・真菌性と種類があり、原因により名前が異なりますが、髄液培養検査をしても原因が検出されないものを無菌性髄膜炎と言います。
無菌性といっても、菌ではないだけであり、通常ウイルス性のことを無菌性と言います。
好発年齢は幼児期後半〜学童期の小児に多いものです。
無菌性髄膜炎の症状とは?
他の髄膜炎同様
- 発熱
- 頭痛
- 嘔吐
症状が見られます。普通は、発熱し、頭痛を伴うようになり、嘔吐したら要注意!と髄膜炎が疑われ、髄膜炎の特徴でもあるケルニッヒ徴候(項部硬直)が見られます。
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無菌性髄膜炎の診断は?
- 髄膜刺激徴候検査
- 脳脊髄液検査
- 髄液染色培養検査
- MRI画像検査
髄液刺激徴候検査
上記でご説明したケルニッヒ徴候(Kernig’s Sign)など、特徴的な症状を誘発し確認します。→髄膜刺激徴候検査
脳脊髄液検査
腰から針を刺し、髄液を抜き検査します、→ 脳脊髄液検査
髄液染色培養検査
菌性でなければこの検査で検出されません。
無菌性だということがこの検査を行うと診断出来ます。
考えられるウイルスは、エンテロウイルス属として
- コクサッキーウイルスA・B群
- エコーウイルス
- エンテロウイルス70.71
があり、無菌性髄膜炎の場合、このエンテロウイスルが原因として80%を占めます。
その他、ムンプスウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)1.2型、Epstein-Barrウイルス(EBV)が原因となります。
MRI画像検査
細菌性髄膜炎同様に、画像には異常があらわれないこともしばしばあります。
異常があらわれる場合は、
- 脳溝の不明瞭化
- 脳回の腫脹
- 造影剤を用いた検査で髄膜の造影効果
を認めることがあります。
無菌性髄膜炎の治療法は?
- 安静
- 薬物療法
安静
この安静が最も大切です。
- 頭を上げない
- 目を使わない
- 起き上がらない
テレビ、読書、目を使うことは禁止で、歩行も禁止され、ベッド上安静が鉄則です。
薬物療法
- ヘルペスウイルスが原因の場合は、抗ウイルス薬のアシクロビル
- サイトメガロウイルスが原因であればガンシクロビル
- 薬剤が原因ならステロイド薬
を使用することになります。
また、頭蓋内圧亢進が認められる場合は、抗脳浮腫薬が投与されます。
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我が子の無菌性髄膜炎体験記
症状
上の子がその前の週に風邪をひいて、内科で「髄膜炎にならないように安静にして」と注意受けてたんですが、下の子は突然発症しました。
顔色が悪くなり、「気分が悪い」と自己申告。
一度の嘔吐後、倒れこむようにぐったりし、ケルニッヒ徴候が見られ「髄膜炎の可能性が高い」とそのまま入院し、熱や更なる嘔吐はその後に現れました。顔色が悪くなってから診断されるまで約2時間程でした。
診断
ケルニッヒ徴候と脳脊髄液検査、髄液染色培養検査で無菌性髄膜炎と診断され、髄膜炎の原因となる流行風邪があったため、(夏期は特にエンテロウイルスが流行)ウイルスの原因究明までは行いませんでした。
結果脳脊髄液を抜く検査をしたことで圧が下がり、嘔吐がおさまりました。
治療
一週間の入院予定で3日間はトイレまでの歩行も禁止。点滴治療でベッドの上で歌を歌ったりお話をするしか過ごす方法がありませんでした。
その後、徐々に絵本→病院内散歩→テレビと解禁になり、その都度頭痛や吐き気が出ないかこまめにチェックされました。
予後
退院予定日前日、元気になっていたものの症状が急変、再び39.5度まで上がりケルニッヒ徴候が見られ、再発と診断されました。
結局、入院は9日間になり退院までテレビ許可はおりませんでしたが、歩き回っても症状が出なくなり、後は退院後1週間は自宅安静で、外出は禁止で様子を見るということになり、その後完全回復しました。
症状が後から出る、短期間内に再発する、というのは稀なことだったようです。
全ての無菌性髄膜炎患者がこのようになるとは限りませんが、こういうケースもあると参考になればと思います。
最後に
- 他の髄膜炎同様、発熱・頭痛・嘔吐症状が現れる
- 原因菌は検出されない=ウイルス性
- エンテロウイルス・ムンプスウイルス・ヘルペスウイルスが原因として多い
- 治療法は、安静と薬物療法
早期発見、早期治療が大切です。特に自分の症状をうまく伝えられない幼児の場合、いつもと異なるぐったりした症状や発熱、嘔吐には注意が必要です。