
健康診断の尿検査で「白血球(+)」と書かれていると、膀胱炎や腎臓の感染症ではないかと心配になる人は多い。
結論からいうと、尿の白血球反応は「尿の通り道に炎症があるかもしれない」という目安で、これだけで尿路感染症と決まるわけではない。尿の採り方によって陽性に出ることもあり、排尿のときの痛み、頻尿、発熱、腰や背中の痛みなどの症状があるかどうかが、受診を考えるうえで大きな手がかりになる。
この記事では、試験紙の白血球反応と亜硝酸塩の意味、尿沈渣の判定区分、尿路感染症との関係、採尿の影響、再検査と受診の目安を整理する。
- 尿の白血球反応(+)は、尿の通り道に炎症があるかもしれないという目安である。
- 亜硝酸塩は細菌がふえているときに陽性になることがあり、白血球反応とあわせて見る。
- 症状がなく、検査値だけが陽性の場合は、感染症と決めずに再検査で確かめる。
- 排尿時の痛み・頻尿・発熱・腰背部痛があるときは、早めに受診する。
尿の白血球反応とは
尿の試験紙検査は、尿を浸した紙の色の変化から、尿にとけている物質を調べる検査である。白血球反応は、尿の中の白血球に含まれる酵素に反応して色が変わる項目で、基準は(−)である。尿の通り道(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に炎症があると、陽性(+)になる(日本赤十字社和歌山医療センター 検査部 2025)。
亜硝酸塩は、尿の中で細菌がふえていると陽性になることがある項目で、こちらも基準は(−)である(同)。細菌がふえていても、亜硝酸塩が陰性のままのこともあるため、片方だけで判断せず、白血球反応と組み合わせて見る。
尿路感染症が疑われる症状がある人では、亜硝酸塩が陽性なら細菌感染である可能性が高い。いっぽう白血球反応は、感染のほかに炎症でも陽性になりうる(Am Fam Physician 2022)。つまり、亜硝酸塩は「細菌」を、白血球反応は「炎症」を示す手がかりと考えるとよい。

基準値と判定の区分
日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)には、試験紙の白血球反応・亜硝酸塩の項目はない。そのかわり、尿を顕微鏡や機械で調べる尿沈渣の項目として、白血球と細菌の区分が示されている。尿沈渣の白血球は、1視野(HPF)あたりの数で次のように分けられる。

白血球が10個以上/HPFの場合は、尿路系の臨床症状があるとD判定とされている。また、細菌については「細菌がみられ、尿路感染症が疑われる。同時に白血球がなければ問題はない」と説明されている(日本人間ドック・予防医療学会 2026)。細菌が見つかっても、白血球が増えていなければ、すぐに問題とはされない点が大切である。
白血球(+)で考えられる原因
尿路感染症が代表的な原因である。膀胱炎では、頻尿、血尿、排尿のときの痛みが特徴的な症状とされる(日本泌尿器科学会)。発熱、だるさ、背中や腰の痛みを伴うときは、腎盂腎炎を併発している可能性があり、重症化するおそれもあるため、すみやかな受診が必要とされている(同)。男性で排尿の症状とともに発熱があるときは、前立腺の炎症が疑われる(同)。
いっぽう、症状がまったくないのに、検査で細菌や白血球だけがみられる場合がある。これは「無症候性細菌尿」とよばれる状態で、症状がなければ尿の培養検査が役に立つのは妊娠中や泌尿器科の処置の前などに限られる、と報告されている(Am Fam Physician 2022)。研究では、症状がないのに、膿尿(尿に白血球が多いこと)や亜硝酸塩の陽性などが理由で治療を受けてしまう例が多いことも指摘されている(Flokas 2017)。検査値だけで決めつけず、症状とあわせて医師が判断することが大切である。
採尿の影響で陽性になることもある
尿検査は、採り方の影響を受けやすい。尿の細胞や細菌は、外尿道口や膣のあたりから混ざることがあり、健康な人でもまれにみられる(日本赤十字社和歌山医療センター 検査部 2025)。尿路感染症を調べるときは、排尿のはじめの尿は捨てて途中の尿を採る中間尿(クリーンキャッチ)が勧められている(Am Fam Physician 2022)。
なお、症状のある女性で、洗浄してから採った中間尿と、洗浄しない場合などを比べた研究では、汚染の割合に差は見られなかったが、質の高い研究はなく、結論は確定していない(Fam Pract 2023)。そのため、健診機関の案内どおりに、途中の尿をていねいに採ることを心がけるのがよい。
再検査・受診の目安(何科か)
次のような場合は、再検査や受診を考えてほしい。
- 排尿のときの痛み、頻尿、残尿感、血尿などの症状がある
- 発熱、強いだるさ、背中や腰の痛みがある(腎盂腎炎の可能性があり、早めの受診が必要)
- 白血球反応や亜硝酸塩が陽性で、尿蛋白・尿潜血も陽性である
- 症状がなくても、再検査で陽性が続く
- 糖尿病や尿路結石がある(重症化しやすいため早めの受診が重要とされる)
受診する科は、泌尿器科がよい。内科やかかりつけ医でもよい。排尿の出はじめに痛むときは、性感染症による尿道炎のこともあるため、そのことも医師に伝えるとよい(日本泌尿器科学会)。症状がなく、白血球反応だけ(+)の場合は、検査前の水分や採尿のしかたを整えたうえで、測り直して確かめる方法がある(進め方は受診した医療機関の指示に従う)。妊娠中の人は、症状がなくても尿の検査の扱いが変わることがあるため、医師に伝えてほしい。
尿潜血や尿蛋白も出ている場合は、【図解】尿潜血の原因は?陽性ならどんな病気の可能性がある?や、健康診断で尿蛋白が陽性と言われたら?(±)(+)の意味・原因・再検査と受診の目安もあわせて読んでほしい。尿蛋白が陽性になる割合は、尿検査で蛋白が陽性になる割合はどれくらい?にまとめている。
自分でできること
- 検査の日は、水分をふだんどおりにとる(極端にふやしたり減らしたりしない)
- 採尿は、はじめの尿を捨てて、途中の尿を採る
- 生理中・おりものが多いときは、受付に伝える
- 排尿の痛みや頻尿が出たら、がまんせずに受診する
- 心臓や腎臓の病気で水分を制限されている人は、主治医の指示に従う
よくある疑問(Q&A)
Q1. 白血球(+)で、すぐに抗菌薬が必要ですか?
A. 症状がなければ、検査値だけで決まるわけではない。症状と、再検査の結果をあわせて、医師が判断する。
Q2. 亜硝酸塩が陰性なら、細菌はいませんか?
A. そうとは限らない。亜硝酸塩が陰性でも、細菌がふえていることはある。白血球反応や症状とあわせて見る。
Q3. 男性でも尿路感染症になりますか?
A. なる。男性で排尿の症状とともに発熱があるときは、前立腺の炎症が疑われるため、できるだけ早く泌尿器科を受診する(日本泌尿器科学会)。
気になる症状や結果があれば、医療機関に相談してください。
参考文献
- 日本人間ドック・予防医療学会. 判定区分(2026年4月1日改定). https://www.ningen-dock.jp/ningendock/wp-content/uploads/2026/02/2026hanteikijun.pdf
- 日本赤十字社和歌山医療センター 検査部. 尿定性(基準値と説明). https://www.wakayama-med.jrc.or.jp/department/kensabu/qnk2b3000000ayhl-att/sainyou202504.pdf
- Office-Based Urinalysis: A Comprehensive Review. Am Fam Physician. 2022. PubMed 35839369
- Inappropriate Management of Asymptomatic Patients With Positive Urine Cultures: A Systematic Review and Meta-analysis. Open Forum Infect Dis. 2017. PubMed 29226170
- Best methods for urine sample collection for diagnostic accuracy in women with urinary tract infection symptoms: a systematic review. Fam Pract. 2023. PubMed 35652481
- 日本泌尿器科学会. 排尿痛がある、排尿時に痛い. https://www.urol.or.jp/public/symptom/21.html
- 日本泌尿器科学会. 排尿症状を伴う発熱がある. https://www.urol.or.jp/public/symptom/22.html





