血液検査の結果の中で、総蛋白なるものがあります。

総蛋白とは、何なのでしょう?
血液中の蛋白質量を調べたものです。

また、総蛋白の基準値(正常値)や、異常ならどんな病気の可能性があるのか、気になりますよね。

そこで今回は、総蛋白(英語表記で「total protein」略語でTP)について

  • 検査
  • 基準値
  • 異常値(高値・低値)
  • 異常(高値・低値)な場合考えられる病気
  • 注意点

を説明したいと思います。


総蛋白とは?

総蛋白とは、血清中に含まれる蛋白質の総称(血清蛋白ともいう)です。

この蛋白質の種類は、わかっているだけでも80種類以上あり、その中でも主な成分として以下の5つのグループに分けられます1)

  • アルブミン(もっとも多い)
  • γグロブリン
  • βグロブリン
  • α1グロブリンフィブリノゲン
  • α2グロブリン

総蛋白を構成するアルブミンとグロブリンの解説図

そのため、健診における総蛋白は栄養を維持するアルブミン免疫防御に働くグロブリンを合わせた数値となり、健康な状態ですと総蛋白の値は正常値となります。

しかし、病気になるとその数値が増減し、とくに数値が低い場合は肝臓疾患や栄養不足などが疑われます。

総蛋白の検査をするのはなぜ?

総蛋白は、栄養状態・肝臓・腎臓の機能などを調べるために検査します。

総蛋白でわかることの図

アルブミンには血漿の浸透圧を維持する作用があり、グロブリンは免疫作用に関係しています。

また、蛋白質には、ビタミンやホルモンなどを運ぶ働きもあります。

そこで、この様な重要な役割がある

  • 蛋白質が血液中にどの程度あるか
  • どの蛋白値が高いのか
  • どれが低いのか

この蛋白質のバランスは病気の種類によって特徴的な変化が起こるので、その変化を見ることで病気の種類や重症度を判定することができます。

検査には屈折計法ビューレット法の2つが通常用いられ、測定数値はビューレット法の方が少し低めにでます。

総蛋白の基準値(正常値)と異常値は?

正常値と異常値をそれぞれ説明します。

基準値(正常値)

検査の結果、6.5~8.2g/dL 

平均して7.5g/dLであれば正常と判定されます2)

異常値

正常値の上限より高い場合、また正常値の下限より低い場合も異常値とみなされます。

 

 

異常のときに考えらえる病気は?

高い場合、低い場合、グロブリン値が特別高くなっている時と分けて説明します。

総蛋白が高い(高値の)場合

などが疑われます。

総蛋白が低い(低値の)場合

  • 低タンパク血症
  • 肝臓障害
  • ネフローゼ症候群

などが考えられます。

蛋白質の種類の割合をみる分画検査(A/G)でグロブリン値が特別高くなっている時

  • 肝硬変
  • ネフローゼ症候群
  • 炎症
  • 膠原病

などが疑われます。

なお、慢性の炎症状態では、フィブリノーゲンの数値も高くなります。

 

総蛋白の検査で注意すべき点は?

以下の6つの点に注意しましょう。

総蛋白

  1. 検査の数値は、薬剤の服用によって微妙に左右される
  2. 新生児の場合、成人よりも1.5g/dlほど低値を示しますが、成長とともに増加して思春期には成人と同じ値となる3)
  3. 高齢者の場合は、やや低い値を示すこともある
  4. 早朝よりも夕方の方が高い値を示すこともある
  5. 運動により高い値となることもある
  6. 妊娠中は低い値を示すこともある

 

参考文献:
1)最新 病気の検査がよくわかる医学百科P89〜91
2)3)今日の臨床検査 2011ー2012 P222-223

よくわかる検査数値の基本としくみP66・67
検査結果なんでも早わかり事典P116・117

最後に

総蛋白について、ポイントをまとめます。

  • 血清中に含まれる蛋白質の総称を総蛋白という
  • 総蛋白は、栄養状態・肝臓・腎臓の機能がわかる
  • 栄養を維持するアルブミンと免疫防御に働くグロブリンを合わせた数値
  • 基準値は、ビューレット法で6.5~8.2g/dL

 

肝臓の病気は、初期の自覚症状ほとんどなく、症状が出る頃にはすでに肝機能が低下し、病気が進行していることも多くあります。

そのため、健康診断の結果で異常値が見られる場合には、それを見過ごすことなく、その時点でしっかりとした診断を受けるようにしてください。




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