
脳は、
から構成されています。

その中で、後頭部・大脳の後下方にある小脳にはどんな働きがあるのかご存知ですか?
そこで今回は、小脳(しょうのう「cerebellum」)にスポットを当て
- 機能
- 構造
- 障害による症状
などを説明したいと思います。
- 小脳は大脳の後下方、脳幹の背側にあり、運動の調整(なめらかに動く・バランスをとる)と運動の学習を担います。
- 障害されると、ふらつき・ろれつが回りにくい・手が思い通りに動かせない(運動失調)、めまいや眼振などが起こります。
- 原因は脳梗塞・脳出血・腫瘍・変性疾患・アルコール・薬など。突然のめまいに歩けない・頭痛・嘔吐が加わる場合は救急受診が必要です。
- 近年は、運動だけでなく言語・注意・計画(遂行機能)など認知面にも関わることが分かってきています。
小脳の機能は?

小脳は、
- 運動機能の調整
- 体の動きを記憶(運動の学習)
- 言語・注意・計画など認知面への関与
機能があると、近年分かってきました。認知面への関与は、小脳に病変のある方で言語の流暢性や実行機能などの検査成績が低下するという研究結果(Ahmadianら 2019のメタ解析)から示されています。
またこの小脳は、のちほど詳しくお話ししますが、大脳小脳(新小脳)・脊髄小脳(旧小脳)・前庭小脳(原小脳)と分けられ、上記の機能をそれぞれが担っています。
大脳小脳(新小脳)
四肢の動きを調節したり、言語などに関する働きをしています。
脊髄小脳(旧小脳)
姿勢や歩行、体幹の動きを調節しています。
前庭小脳(原小脳)
頭部と眼球運動の調整や、体の平衡の維持をしています。
海馬の記憶の形成は長期増強(LTP)が使われるのに対し、小脳の運動の学習には、長期抑圧(LTD)・長期増強という両方向のシナプス可塑性が使われます。
そのため、水泳(泳ぎ方)や自転車の乗り方、スキーなど体で覚える記憶は小脳に蓄えられると考えられているのです。

そもそも小脳とは?構造について解説
小脳は、大脳の後下方かつ、脳幹の背側にあります。
小脳の場所について、詳しくはこちらをご覧ください。→【CT,MRI画像あり】小脳の解剖学的位置を詳しく解説

重さは脳全体の約1割ほどです。
また、大脳と同じく、灰白質と白質を持っています。
小脳の構造は、小脳半球・虫部・片葉小節葉(へんようしょうせつよう)に分けられます。
(前葉・後葉・片葉小節葉と区分されることもある。)

また、先ほど少し申しましたが、系統発生学的には、
- 大脳小脳(新小脳)
- 脊髄小脳(旧小脳)
- 前庭小脳(原小脳)
の3つにも分けられます。

小脳が障害された場合に起こりうる症状は?
原因としては、小脳梗塞・小脳出血・腫瘍・多発性硬化症などの炎症性疾患、脊髄小脳変性症などの変性疾患、アルコールの長期多量摂取、一部の薬剤などがあります。
小脳が障害されると、小脳の持つ働きが阻害されることになります。
そして、しばしば運動失調など、協調運動の欠如が現れるのです。
大脳小脳(新小脳)
- 四肢の協調運動の障害
- 構音障害
などが起こります。

運動がスムーズに行えなくなり、行動がひとつひとつに分解されてしまう症状(運動の分解)が出現するのです。
脊髄小脳(旧小脳)
- 立位や座位での動揺
- 歩行障害
などが起こります。

少し難しい話しになりますが、これは・・・小脳の筋紡錘への制御に異常が生じて、筋トーヌスが下がるためとも言われています。
前庭小脳(原小脳)
- 平衡障害
- 目眩
- 眼振
など、眼球運動障害が起こります。


小脳の変性疾患については、脊髄小脳変性症(SCD)は遺伝する?遺伝性と孤発性の割合・分類・予後を解説で遺伝との関係も含めて解説しています。
小脳症状が目立つタイプのある病気は、多系統萎縮症(MSA)とは?症状・MSA-CとMSA-Pの違い・診断・治療・看護のポイントでまとめています。
アルコールと関係する脳の病気については、ウェルニッケ脳症とは?症状・原因・診断と治療をMRI画像つきで解説でくわしく紹介しています。
参考文献:
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P38・47
病気がみえる vol.7:脳・神経 P42・43
解剖学講義P709〜717
イラスト解剖学P465〜470
こんなときは受診を
| 状況 | 対応の目安 |
|---|---|
| 突然のめまいに加えて、まっすぐ歩けない・座っていられない、激しい頭痛、嘔吐、ろれつが回らない | 小脳梗塞・小脳出血などの可能性があり、すぐに救急受診 |
| ふらつき、字が書きにくい、ろれつが回りにくい状態が数週間〜数か月かけて進む | 神経内科(または脳神経外科)を受診。変性疾患や腫瘍なども調べます |
| 健診の頭部MRIで小脳に所見を指摘された | 症状がなくても、結果を持って神経内科・脳神経外科で相談 |
急なめまいでは、座った姿勢を保てない(体幹失調)といった所見が、脳卒中と耳の病気を見分ける手がかりになることが報告されています(Liuら 2024)。気になる症状や検査結果があれば、医療機関を受診してください。
よくある疑問
Q. 小脳が障害されると手足が麻痺しますか?
A. 筋力そのものは保たれることが多く、動きの協調性(狙ったところに手を出す、まっすぐ歩くなど)が障害されます。小脳半球の障害では、病変と同じ側の手足に症状が出るのが一般的です。
Q. 何科にかかればよいですか?
A. 神経内科または脳神経外科です。急な発症は救急を受診してください。
Q. 小脳の機能は鍛えられますか?
A. 運動の学習(自転車や楽器など)には小脳が関わっており、繰り返しの練習で上達します。病気で障害された場合は、リハビリテーションで動作の工夫や練習を続けます。
最後に
小脳について、ポイントをまとめます。
- 小脳の構造は、小脳半球・虫部・片葉小節葉に分けられる
- 系統発生学的には、大脳小脳(新小脳)・脊髄小脳(旧小脳)・前庭小脳(原小脳)に分類される
- 小脳は、運動機能の調整・体の動きを記憶(運動の学習)に関わり、認知面にも関与すると考えられている
- 運動失調など、協調運動の欠如などを中心に症状が現れる
認知症との関わりについても研究が進んでいます。アルツハイマー病などの認知症では、大脳の萎縮が目立ちますが、小脳にも構造や働きの変化がみられるとする報告があり、小脳が認知機能にどう関わるかは今も研究が続いています(Chenら 2026の総説)。
参考文献(追加):
Ahmadian N, et al. The Cerebellar Cognitive Affective Syndrome-a Meta-analysis. Cerebellum 2019. PubMed
Chen X, et al. The mechanism of cerebellar involvement in cognitive disorders and therapeutic prospects. Exp Gerontol 2026. PubMed
Liu X, et al. Application of bedside HINTS, ABCD2 score and truncal ataxia to differentiate cerebellar-brainstem stroke from vestibular neuritis in the emergency room. Stroke Vasc Neurol 2024. PubMed






拝見しています
私の妹の場合は大脳機能の殆どが失われてしまったように思われます。文面を読みながら脳動脈瘤破裂後の緊急手術から6ヶ月未だに意識回復していません。主治医にお聞きして説明受けても脳の事はさっぱり分からなかったのですが図を見ながら説明読み妹の仕草を頭の中で考えて少しわかるように思えました。もうすることが無いと言われ転院先を探しながらも明るかった妹を思いもっと治療受けられないか思い悩んでいます。有難うございます少し賢くなりました?