50,000人~100,000人に1人という稀な病気の1つに出生児から顔面に血管腫と呼ばれる赤色斑が見られるSturge-Weber症候群という疾患があります。
このSturge-Weber症候群とはどういうものなのか?今回はSturge-Weber症候群(スタージ・ウェバー)について
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
をご説明したいと思います。
Sturge-Weber症候群とは?
- 顔面の広範な単純性血管腫
- 脳軟膜の血管腫による神経症状
- 脈絡膜の血管病変による眼症状
を三徴とする母斑症です。
生まれつきの病気で、出生児から症状が見られます。
Sturge-Weber症候群の症状は?
皮膚症状
皮膚症状として顔面に現れる
- 単純性血管腫
があります。
神経症状
皮膚以外の症状として、脳に現れる
- 脳軟膜血管腫
- 知能障害
- 痙攣発作
- 片麻痺
眼症状
眼に現れる症状として
- 脈絡膜血管腫
- 緑内障
があります。
顔面の三叉神経第1・2枝領域(V1.V2)に単純性血管腫を認めるのが特徴でもあります。この血管腫は境界線がハッキリしていて盛り上がりはありません。真皮上層の毛細血管が奇形性変化により拡張するため赤く見え、ポートワイン母斑とも言われます。
また、脈絡膜の血管腫により房水の流れが障害されるため、その血管腫がある同眼で緑内障が見られます。3歳頃までの眼球は伸展性に富むため、緑内障による眼圧上昇で容易に角膜の伸展を来し、牛眼とも呼ばれます。
脳軟膜の血管腫により大脳皮膜が損傷するために血管腫の反対側で痙攣や片麻痺を生じます。そして、損傷が広範囲の場合、知能障害を来すことも多くあります。
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Sturge-Weber症候群の原因は?
原因は不明です。ですが、近年遺伝子異常が報告されてはいるものの、詳しい因果関係までは解明出来ておりません。
Sturge-Weber症候群の診断は?
特徴的な症状の他、確定には画像診断を行います。
X線検査
脳回に沿った二重曲線の石灰化像が見られます。ただ、軽度の場合は確認出来ないこともあります。
MRI検査
造影MRIにて脳軟膜の血管腫が、脳回・脳溝の異常増強効果として認められます。石灰化像では、脳回・脳溝に沿った二重曲線として認められます。
この脳回に沿った石灰化がが認められると、Sturge-Weber症候群が考えられます。
早期や軽度の診断には、MRI診断が有効です。また、進行例では病変部の皮質が萎縮し、白質は虚血やグリオーシスを反映してT2強調像やFLAIR像にて高信号域認めます。
Sturge-Weber症候群の治療方法は?
病変の拡大により予後が悪化するため、早期治療が大切です。治療は、症状に合わせた対処療法が行われます。
血管腫に対する治療法
色素レーザー療法が行われます。1回で消してしまうというのではなく、回数を重ねるごとに改善が期待できます。このレーザー重宝は、幼児期にすると効果が大きく、成長して行うと思うような効果が得られないことも多くあります。
緑内障に対する治療法
眼圧降下させるために、点眼薬をまず使用しますが、効果が見られない場合は、隅角切開術や線維柱帯切除術が行われます。
痙攣に対する治療法
抗痙攣薬の投与、手術療法が行われます。手術は、発作抑制と発達促進を目的に脳外科手術を行います。この痙攣発作を起こさせないようにすることが大切です。
最後に
- 顔面の広範な単純性血管腫・脳軟膜の血管腫による神経症状・脈絡膜の血管病変による眼症状が特徴
- 原因は不明
- 特徴的な症状の他、画像検査を行い診断する
- 画像検査で脳回に沿った石灰化がが認められると、Sturge-Weber症候群を考える
- 早期治療が大切で、症状に合わせた治療を行う
- 痙攣発作抑制が大切
発作を抑え、発達を促すことが大切で、発達障害を最小限に抑えることを目標にしています。また、最も眼につく顔面の血管腫による痣は、子供自身、症状を気にし始める前からの早期治療がおすすめです。