Secondary hypertension Eye-catching image

 

医師
厚生労働省がおこなった平成27年の国民健康・栄養調査では、日本では高血圧の人が約3800万人いるといわれています。

ここ10年間でみると、その割合は少しずつ低下してきているのですが、それでも血圧が高めの「高血圧予備軍」を含めると、日本人の約2人に1人は血圧が高めだということに。

ちなみに高血圧とは、

収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、あるいは拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上
(家庭で測定する場合においては135mmHg以上、あるいは85mmHg以上)

 

とされています。

これほど多い高血圧ですが、実はその9割は原因がわからない本態性高血圧に分類されます。

 

一方で、何らかの原因があり、それで血圧が上がる高血圧を二次性高血圧(英語ではsecondary hypertension)といいます。

 

何らかの原因があるということは、そのもととなる原因を治療すれば高血圧は改善するということです。

ですが、健康診断や人間ドックで高血圧を指摘されても、それが

  • 原因がわからない本態性高血圧
  • 何らかの原因がある二次性高血圧

なのかまではわかりません。
後日、病院を受診して検査して初めて分かるものなのです。

そこで今回は二次性高血圧の原因や検査方法(スクリーニング)についてまとめました。

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二次性高血圧の原因は?

医師
二次性高血圧には以下のような原因があります。
  1. 腎実質性高血圧(糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎など)
  2. 腎血管性高血圧(線維筋性異形成、腎動脈硬化症など)
  3. 内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)
  4. 睡眠時無呼吸症候群
  5. 薬剤誘発性高血圧 など

このうち、1と2が多く、ついで3が続き、残りは非常に稀とされます。

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医師
ちょっと難しそうな単語が並びましたが、1つ1つ説明しますね。

腎実質性高血圧

renal parenchymal hypertension figure

腎実質とは、血液をろ過し尿を作る働きを担う腎臓の実質的な組織のこと。
この部分の障害や疾患が原因で高血圧になっていると考えられるのが腎実質性高血圧です。

腎血管性高血圧

renovascular hypertension figure

左右にある腎臓に酸素や栄養を送る腎動脈。
この腎動脈が狭窄(狭くなったり)、閉塞(ふさがったり)することで高血圧になっているのが腎血管性高血圧です。

原発性アルドステロン症

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内分泌性高血圧の中でも頻度が高いとされるのが原発性アルドステロン症。

腎臓の上にある副腎にできた腫瘍によって高血圧が引き起こされます。
副腎からはナトリウムの排出を抑える働きをするアルドステロンというホルモンが分泌されていますが、腫瘍のせいでこのホルモンが過剰に分泌されることになってしまいます。

そのため体の中のナトリウムが増加し、高血圧になってしまうのです。

手術により腫瘍を摘出することで、血圧も改善されます。

睡眠時無呼吸症候群

Sleep apnea syndrome figure

とくに早朝高血圧をしめす高血圧患者は、睡眠時無呼吸症候群を疑います。
早朝高血圧とは?朝の血圧が高い原因と予防!

薬剤誘発性高血圧

drug induce hypertension figure

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • カンゾウ(漢方薬などに含まれる)→主成分であるグリチルリチンが血圧を上昇させることがある
  • エストロゲン(ピルなど)
  • 交感神経刺激作用のある薬物(うつ病やパーキンソン病などの治療に用いられる)
  • シクロスポリン・タクロリムス(免疫抑制剤の一つ)

などの薬によって、高血圧が引き起こされている場合には服用を中止、減量したり、降圧剤を服用することで改善がみられます。

 

医師
上記のように原因が特定できた場合は、それらを取り除いたり治療することで高血圧の改善がみられるのが二次性高血圧です。

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どんな時に二次性高血圧を疑うか?検査方法は?

高血圧の9割は原因がわからない本態性高血圧ですので、最初から厳密に二次性高血圧を疑うというよりは、まずは問診や一般的な検査をして、心血管病リスクの総合評価と臓器障害の評価をおこないます。

医師
しかし、

  • いきなり重症の高血圧
  • 治療(薬剤)が効かない高血圧
  • 若年者の高血圧

には要注意です。

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必要に応じ、二次性高血圧のスクリーニング検査である

 

採血・採尿・腹部エコー・睡眠ポリグラフィー検査

 

をおこない、原因を特定してきます。

 

医師
そのほかにも二次性高血圧が疑われるような症状には以下のようなものがあります。

二次性高血圧を疑うような症候は?

  • 血清Crの上昇、尿検査異常がある:腎実質性高血圧
  • 腹部雑音、とくに腎臓領域に聴診する:腎血管性高血圧
  • 頭痛、動悸、発汗を伴う動揺性高血圧:褐色細胞腫
  • 紫色の皮膚線条を伴う肥満:クッシング症候群
  • 下肢動脈は触れないが、上肢動脈は触れる:大動脈縮窄症
  • 原因不明の低カリウム血症:原発性アルドステロン症

 

このように検査や身体所見から二次性高血圧が疑わしいと考え、専門病院や大きな病院へ紹介されるのが一般的です。

関連記事)高血圧の基準は?最新のものは?

参考文献:高血圧治療ガイドライン2014 P10.19.20.53〜58 脱・高血圧の超特効ワザ P16.17 薬に頼らない高血圧の正しい下げ方 P34.35

最後に

医師
二次性高血圧についてまとめます。
  • 二次性高血圧とは、高血圧を引き起こす疾患など原因が明らかな高血圧
  • 二次性高血圧が疑われる場合には問診や一般の検診に加えてスクリーニング検査をおこなう
  • 原因となる疾患などを治療すれば、高血圧が改善することがある

 

高血圧の9割は原因のわからない本態性高血圧で、最初から二次性高血圧を全て除外していくことは現実的ではありません。

リスクが高い場合や、全身の評価をして、より精査をするかどうかを決める必要があります。

また二次性高血圧は原因となる病気を治療すれば、簡単に高血圧が治ってしまうことも。

逆にいえば、原因がいつまでもわからないままで放っておくと、生活習慣を改善しようが薬を飲もうが血圧が下がらない、ということにもなります。

本態性高血圧にしても二次性高血圧にしても放置していいものではないので、早めに医療機関を受診しましょう。

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