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ポリープというと粘膜に覆われた隆起性病変の総称のことですが、大腸・咽頭・子宮(内膜・頸管)・胃など様々な管腔臓器に発生する可能性があります。

その中でも胃にできる、胃ポリープは無症状なことが多く検診でたまたま発見されることが多くなっています。

今回は胃ポリープ(英語表記で「Gastric polyp」)について

  • 原因
  • 検査
  • 治療

イラストと共に分かりやすく説明します。

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胃ポリープとは?

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胃の内腔(内側の空洞)にできる突出した限局性(病気による影響が局所に限定されている状態)の粘膜隆起性病変の総称です。

医師
この胃ポリープには分類があります。

肉眼分類として山田福富分類が知られています。

これは、胃の内腔に突出した病変を肉眼的に見てⅠ型〜Ⅳ型の4形態に分類したもので,1965年に山田・福富らが初めて報告したためこの名前がつきました。

Ⅰ型

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平滑隆起とも言い、明確な境界は見られず、滑らかな隆起が特徴です。

Ⅱ型

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無茎性とも言い、隆起の境界は明瞭なものの、くびれはない状態です。

Ⅲ型

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亜有茎性とも言い、くびれが明瞭に見られるものの、茎はまだない状態です。

Ⅳ型

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有茎性とも言い、明らかな茎がある状態です。

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胃ポリープの原因は?

肉眼的には山田福富分類により4つに分類されますが、組織学的には

  • 胃底腺ポリープ
  • 過形成性ポリープ
  • 胃腺腫

に分類され、それぞれ特徴と原因が異なります

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医師
それぞれについてご説明します。

胃底腺ポリープ

女性ホルモンが原因ではないかとされていますが、詳しいことは分かっておらず、ただピロリ菌感染のない胃粘膜から発生し、癌化のリスクはほとんどないと言われています。

発生部位は、胃液などを産生する胃底部から胃体部の領域である胃底腺領域です。

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特徴:3〜5cm程の大きさで、特に成人女性に多発する傾向があり、肉眼所見では上の山田分類のⅡ、Ⅲ型が多い特徴があります。

この胃底腺ポリープは悪性化(癌化)の可能性は極めて低く、治療の必要がないと言われてます。

症例 30歳代女性 健診

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内視鏡にて胃体部に胃底腺ポリープを多数認めています。

関連記事)【画像あり】バリウム検査で胃底腺ポリープが多発!治療が必要?

過形成性ポリープ

ピロリ菌感染が原因とされ、それによる慢性萎縮性胃炎が関連し、加齢とともに発症頻度が多くなっています。

発生部位:胃幽門前庭部の胃腺窩上皮(いせんかじょうひ)の過形成により生じる。

特徴:大きくなると出血や悪性化の危険性もある。

胃腺窩上皮の過形成とは?

胃腺窩上皮とは、上皮・粘膜固有層・粘膜筋板で構成される胃粘膜のことで、細胞増殖が起こることによって、組織の体積が増加することを過形成と言います。

胃底腺ポリープと過形成性ポリープの違いは?

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臨床画像Vol29,No.2,2013 P155図13を引用改変

胃底腺ポリープと過形成性ポリープの違いはイラストのように、

  • 胃底腺ポリープ:胃底腺の過形成
  • 過形成性ポリープ:表層である、胃腺窩上皮の過形成

です。

胃腺腫

ピロリ菌感染が原因となり、慢性萎縮性胃炎をともなう胃粘膜に発生します。

発生部位:胃体部や前庭部に発生しやすい

特徴:白っぽい扁平な小隆起で、大きくなると癌化しやすい

胃ポリープの検査は?

胃X線造影検査や上部消化管内視鏡検査、病理組織検査をおこない診断します。

その際、上記でご説明した山田福富分類によって分けられ、さらに病理組織検査で胃底腺ポリープ・過形成性ポリープ・胃腺腫に分けられ治療方針が決まります。

しかし、この病理検査によって胃腺腫と胃がんとの鑑別は大変重要となります。

症例 30歳代女性 健診 胃底腺ポリープ
胃X線造影検査

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健診の胃X線造影検査で、胃底部から胃体部を中心に多数の胃底腺ポリープを指摘されました。

上部消化管内視鏡検査

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内視鏡検査においても同様の所見を認めました。

典型的な胃底腺ポリープの所見であり、治療はされませんでした。

症例:60歳代女性 胃底腺ポリープ

逆流性食道炎の治療をし、それは治ったものの内視鏡検査により胃に異常があると発覚し、胃病変の精査と内視鏡を希望して受診。

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プロトポンプ阻害剤を長期使用したことにより胃底腺ポリープが発生したと考えられる。

(出典:医師国家試験109G67)

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胃ポリープの治療は?

治療法は、胃底腺ポリープ・過形成性ポリープ・胃腺腫それぞれ異なります。

医師
それぞれ分けてご説明します。

胃底腺ポリープ

上に述べたように癌化の危険性がないため、しばしば自然消滅が望めるため、治療の必要はありません。

過形成性ポリープ

まずは、ピロリ菌が原因の場合、ピロリ菌除菌が必要となります。

その上で、経過観察をおこなうことになりますが、ポリープの大きさが1cmを越える場合は内視鏡で切除手術をおこないます。

胃腺腫

早期胃癌との鑑別が重要になりますが、病理組織検査ではごく一部のものなため、腫瘍が直径10mmを越え中心に陥凹が認められる場合には内視鏡切除手術をおこないます。

内視鏡切除手術とは?
内視鏡的粘膜切除術(英語表記で「Endoscopic mucosal resection」略語で「EMR」)と言います。
有茎性・亜有茎性のポリープに対し、根元に高周波の電流を流した輪っかをかけることによって、焼き切り鉗子で切除したポリープを摘出する方法です。

(参考書籍:病気がみえるVol.1消化器 第5版・新 病態生理できった内科学8消化器疾患・消化器ビジュアルブック・内科診断学 第2版)

関連記事)【保存版】ピロリ菌の除菌について!方法・費用・飲み方・判定など

最後に

  • 胃の内腔にできる突出した限局性の粘膜隆起性病変の総称
  • 山田福富分類によりⅠ型〜Ⅳ型に肉眼的に見て分けられる
  • 病理組織検査によって、胃底腺ポリープ・過形成性ポリープ・胃腺腫に分けられる
  • ピロリ菌による慢性萎縮性胃炎や女性ホルモンが原因として考えられる
  • 胃X線造影検査や上部消化管内視鏡検査、病理組織検査をおこない診断する
  • 分類によって治療法が異なる

 

症状をともなわないため、ほとんどはたまたまおこなった検査によって判明しますが、中にはポリープからの出血によって貧血をともなう場合もあるため注意が必要です。

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