Cerebral arteriovenous malformation Eye-catching image

脳動静脈奇形といって、脳に異常な血管の塊がある先天性の疾患があることをご存知でしょうか?

その血管の塊が破裂すると脳出血くも膜下出血を引き起こし、脳血管奇形の中で症状が出るものとしては最多な疾患です。

今回は、この脳動静脈奇形(英語ではcerebral arteriovenousmalformation:AVM)について

  • 症状
  • 原因
  • 診断
  • 治療法

をご説明したいと思います。

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脳動静脈奇形とは?

nidus

脳の動脈と静脈の間に異常な血管塊(「nidus」ナイダス)のある状態です。

これは胎生早期に発生する先天性異常です。

約80~85%はテント上で片側の大脳半球に多く存在しますが、他には正中深部テント下脳表近くに存在することが多くあります。

医師
一側大脳半球とは、大脳の中心より半分の片側のことをいいます。

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ちなみにテントとは?

脳は頭蓋骨の中にあり、頭蓋骨のなか全体を頭蓋腔と呼び、その中に大脳や小脳といった部位がありますが、頭蓋骨の底に近い場所に小脳があります。

その小脳の上に大脳がありますが、この小脳と大脳の間には硬膜という膜があり、小脳をテントのように覆っています。

これを「小脳テント」といい、上側の部分を「テント上」と言います。

下側の部分を「テント下」といい、小脳や延髄が含まれます。

 

脳動静脈奇形の原因は?遺伝は関係する?

先天性のもので、胎児の段階で脳の血管分裂の際に本来分かれるはずの動脈・毛細血管・静脈が何らかの異常で毛細血管以外の動脈と静脈が直接繋がり、成長とともに大きくなる疾患です。

生まれてすぐに気付くものではなく、年齢が上がるとともに血管塊が大きくなり、20〜40代男性にやや多い傾向にあります。

しかしこのようなことがなぜ起こるのか、遺伝するのかなど、詳しいことは分かっていません。

脳動静脈奇形の症状は?

破裂しなければ症状はないことが多いものの、破裂すると脳出血くも膜下出血となります。

医師
破裂すると以下のような症状があらわれます。

脳出血の場合

  • 片麻痺
  • 言語障害
  • 視野障害
  • 感覚障害
  • てんかん発作

などの症状があらわれます。

くも膜下出血の場合

  • 突然の激しい頭痛
  • 嘔吐(吐き気)
  • 意識障害

などがあらわれます。

脳虚血症状(頭痛・盗血)があらわれることもあります。

しかし症状が軽いこともあり、その場合は慢性的な頭痛として見逃されることも多いものの、続く頭痛は検査をすることをオススメします。

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脳動静脈奇形の診断は?

CTAやMRIをで検査をしますが、確定診断や術前評価には血管造影(血管に造影剤を流し込んで撮影する検査)が有用です。

てんかん発作症状がある場合には、脳波検査も行います。

若年層で脳内出血があれば脳動静脈奇形を疑いますが、高血圧出血・腫瘍内出血・他の脳血管奇形との鑑別が重要です。

グレード

血管塊の大きさや周囲脳の機能的重要性、流出静脈の型などの合計で分類します。

血管塊の大きさ 3cm以下 1点
3〜6cm 2点
6cm以上 3点
周囲脳の機能的重要性 重要 0点
重要でない 1点
流出静脈の型 表在性のみ 0点
深在性 1点

 

3因子の合計で、グレード Ⅰ(1点)〜Ⅴ(5点)に分類されます。

グレード Ⅰ〜Ⅲが予後良好で、グレードが低いほど手術が容易で合併症が少ないとされています。

(脳卒中治療ガイドライン2009より)

症例 40歳代女性

cerebral arteriovenousmalformation mri findings1

MRIのT2強調像で、蜂の巣状の低信号あり。また血管造影では動脈に連続する蜂の巣状の染まりを認めています。これらはいずれもナイダスを疑う所見であり、脳動静脈奇形と診断されました。

こちらの症例を動画でチェックする。

症例 50歳代 男性

cerebral arteriovenousmalformation mri findings2

頭部CTで右の側頭葉に皮質下出血を認めました。

MRIのT2強調像で蜂の巣状の低信号を認めており、ナイダスを疑う所見です。
脳動静脈奇形(AVM)による脳出血と診断されました。

症例:60歳代男性

けいれん発作を訴え受診。

nidasu doc2

左内頸動脈造影側面像(出典:2007年放射線科診断専門医試験問題8)

前大脳動脈から連続して蛇行した血管塊が確認できます。その背側に直静脈への連続を認め、脳動静脈奇形を疑う所見。

脳動静脈奇形の治療法は?

グレードに合わせて治療法が選択されます。

  • 安静
  • 抗てんかん薬の投与
  • 手術
  • 血管内治療
  • 放射線治療

入院管理のもと状態が安定するのを安静にして待ちます。

てんかん発作がある場合には、抗てんかん薬の投与が行われます。

年齢・動静脈奇形の部位・大きさ・合併症などを考慮し、手術可能ならば、開頭術により動静脈奇形部分を全摘出します。

しかし手術困難な場合には、血管内治療による塞栓術や、ガンマナイフによる放射線治療が行われます。

また再び出血することを防ぐことも重要で、未破裂な脳動静脈奇形に対してもガンマナイフが有効とされています。

最後に

  • 脳の動脈と静脈に異常な血管塊(「nidus」ナイダス)のある状態を脳動静脈奇形という
  • 胎生早期(受精してから胎児になるまでの間)に発生する先天性異常
  • 成長とともに大きくなり、時に破裂する
  • 詳しい原因は不明
  • 血管造影検査が有用
  • Ⅰ〜Ⅴのグレードに分けられる
  • 安静・抗てんかん薬の投与・手術・血管内治療・放射線治療などの治療法をグレードに合わせて選択する

 

遺伝性についてははっきりしたことが分かっていませんが、中には親や親戚がくも膜下出血で無くなってることに疑問を持ち、自分自身の脳検査を行い先天性の疾患である破裂前の脳動静脈奇形が見つかることもあります。

しかし破裂前に脳動静脈奇形が分かっていれば、未然に破裂を予防することも可能なので、気になる場合は詳しい検査をすることをオススメします。

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