健康診断や何かのついでに受けた検査で、たまたま見つかることの多い胆嚢ポリープ。
ですが「ポリープがあります」という診断を受けると、
「それはあって大丈夫なの?」
「すぐさま手術が必要なの?」
などと心配になることも多いと思います。
そこで今回は、胆嚢ポリープ(英語表記で「Gallbladder polyp」)とはどんなものなのか?
- 原因
- 何科
- 検査
- 治療
- 癌化
- 食事
など、徹底的にまとめた内容をご紹介いたします。
胆嚢ポリープとは?
胆嚢の中(内腔)に出現する20mm以下の盛り上がった塊を、胆嚢ポリープといいます。
成人の5〜10%に発症しているといわれ、特に40〜50歳代に好発します。
基本的には症状はないものですが、胆石を合併している場合には、腹痛をともなうことがあります。
胆嚢ポリープは何科を受診すればいい?
胆嚢ポリープは、健康診断等でたまたま見つかることの多いものですが、「胆嚢ポリープがある」と診断されたら、
- 消化器科
- 内科
- 肝臓内科
- 消化器外科
- 胃腸科
などを受診しましょう。
胆嚢ポリープの原因は?
- コレステロールポリープ・・・コレステロールが原因でできる
- 過形成ポリープ・・・上皮が過剰に増え、ヒダを寄せたように隆起してできる
- 炎症性ポリープ・・・炎症が原因で、粘膜固有層が増殖し、盛り上がってできる
- 腺腫性ポリープ・・・粘膜上皮が過剰に盛り上がってできる
- 悪性ポリープ・・・原因は不明
胆嚢のポリープには腫瘍性と非腫瘍性の2種類があり、この中で最も多いのは、非腫瘍性のコレステロールポリープで、原因はコレステロールです。
コレステロールが原因になるとは、食生活に問題があるというのが大半となります。
つまりどういうことかというと、胆汁中のコレステロールエステルが胆嚢粘膜に沈着し、それによってできたものがコレステロールポリープとなります。
胆嚢ポリープの検査は?
たまたま健康診断で見つかったとしても、ポリープと聞くと不安になることも多いと思います。
- 腹部超音波検査(腹部エコー)
- 超音波内視鏡検査
- 内視鏡的逆行性胆膵造影(ERCP)
- MRCP
といった検査です。
上の写真は腹部超音波検査(腹部エコー)です。
胆嚢ポリープには以下のような特徴があり、検査でこの特徴を確認できると、胆嚢ポリープと診断されます。
- 病変が約10mm以下
- 桑の実状もしくは金平糖のような形
- 限局性隆起病変
- 有茎性病変(茎が細い)
胆嚢ポリープの治療は?
基本、症状もない上記のような胆嚢ポリープの場合、経過観察となります。
ですが、上記の特徴に当てはまらない(症状があるものの場合、胆石症を合併している場合)には、手術による外科的治療が必要となります。
詳しくはこちらをご覧ください。
胆嚢ポリープに癌化の可能性はない?
コレステロールポリープ・過形成ポリープ・炎症性ポリープは良性のものなため、問題はないとされています。
しかし、腺腫性ポリープの場合は癌化の可能性もあります。
- ポリープのサイズが10mm程度、あるいは10mm以上のもの
- ポリープが拡大傾向にある場合
- 広基性の形態(茎がない状態)
- 胆石を合併
- 孤立性
- 症状がある
- 超音波検査でポリープが肝臓と等エコー輝度(反射波の強さが同等)
(Am J Surg 188:186-190,2004)
これらが検査で判断がつかない場合は、手術でポリープを摘出し、判断することもあります。
胆嚢ポリープの予防・改善にもつながる食事とは?
原因がコレステロールにあると述べましたが、コレステロールの増加抑制をすることで、胆石症の予防や、中には胆嚢ポリープが消える場合もあり、改善にもつながります。
- 食生活を見直す
- 便通を良くする
- 適度な運動をする
特に重要なのが食事で、糖質・脂質を減らし、食物繊維を多くとることで、腸内善玉菌と悪玉菌のバランスを適度に保ち、便通を良くすることが可能になります。
このことは、胆嚢癌予防になるだけでなく、大腸癌の予防にもつながります。
また、疲れを残さない程度の適度な運動をおこなうことで、代謝を良くし、コレステロールがたまりにくい体になります。
食物繊維の多い食事
- 穀物
- 豆類
- 野菜
- 果物
- きのこ類
- 海藻
が食物繊維の多い食材となりますが、そういったものを多く取り入れましょう。
野菜や果物はそのまま、特にみかんの袋(外側の皮をむいて)も丸ごと食べたり、野菜ジュースなどにして摂るのがオススメです。
また、豆類には食物繊維の他、タンパク質・脂質・ビタミンなども豊富に含まれていますので、大豆も入れたひじきの煮付けなどは最高です。
参考文献:
病気がみえる vol.1:消化器 P393〜398
消化器疾患ビジュアルブック P230・231
新 病態生理できった内科学 8 消化器疾患 P264
パッと引けてしっかり使える 消化器看護ポケット事典[第2版] P154・155
最後に
- 胆嚢の中(内腔)に出現する20mm以下の盛り上がった塊を、胆嚢ポリープという
- 基本的に症状はないが、胆石症を合併している場合には、腹痛をともなう
- 消化器外科を受診するのがベスト
- コレステロールが原因のコレステロールポリープが多い
- 腹部超音波検査・内視鏡的逆行性胆膵造影・超音波内視鏡検査などの検査をおこなう
- 基本経過観察となるが、症状があるものの場合や胆石症を合併している場合手術となる
- 胆嚢ポリープの特徴に当てはまらず、症状がある場合には癌化の可能性も考え、手術をして詳しく調べる
- 食生活の見直しが、胆嚢癌予防や改善にもつながる
実は、私もたまたまおこなった検査で胆嚢ポリープが見つかり、現在1年ごとの経過観察となっています。
食生活には気をつけているつもりではいますが、まだまだ現状維持な状態で、改善のためにはさらなる食生活の見直しが重要と感じております。