1970年代では、食道がん(英語表記でEsophageal cancer)というと長期生存が望めないという程、治療が困難なものでした。
しかし、最近では早期発見・診断出来れば治療が可能で、生存率も以前よりグッと上がってきています。
今回は、食道がんについて
- 食道がんの場合に現れる症状
- ステージ
- 好発部位
- 食道がんの原因
以上のことを徹底的にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
食道がんの場合に現れる症状とは?
早期発見のために、食道がんだとどのような症状が現れるのかを知っていれば、気づけることもありますよね?
ですが、ここななかなか難しいポイントでもあり、ごく初期の場合、無症状なことが多いんです。
症状は、進行するに連れ現れてきますので、初期・中期・後期と分けて段階的症状をご説明します。
初期に現れる症状
- 食道がしみる
基本的に無症状なことが多いものの、食道がしみるといったわずかな喉の違和感がみられることがあります。
中期に現れる症状
- 燕下障害
- 吐き気・嘔吐
- 胸痛
- 背部痛
- 体重減少
ちょっと硬い固形物になると飲み込みにくい、つかえるといった燕下障害があらわれはじめます。
また、それにともない吐き気や胸や背中の痛みがあらわれ、体重減少がみられることもあります。
後期に現れる症状
- 嗄声(させい)
- 咳嗽(がいそう)
嗄声(声のかすれ症状)や、咳嗽(咳き込むことを繰り返す症状)が現れ、声が出ないといったことになります。
また、発生したがんが食道のどの部位かによって異なりますが、実際に首に手を触れると、グリグリとしたしこりを感じられるようなこともあります。
ですが、食道がんの進行は早く、この自覚症状が現れた時には進行しているといったことが多いのです。
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食道がんのステージとは?
食道がんの進行度をあらわすステージは、Ⅰ〜Ⅳという4段階に分かれています。
ステージⅠ(Ⅰa期・Ⅰb期)
がんが粘膜内に留まっている状態で、まだ転移はしていないⅠa期と、粘膜下層に留まってはいるものの付近のリンパ節にわずかながら転移しているⅠb期に分けられます。
ステージⅡ
食道の外側にまでわずかにがんが広がっているものの、固有筋層にはとどまっている状態です。
ステージⅢ
がんが食道外膜まで浸潤し、食道から離れたリンパ節にまで転移が見られる状態まで進行しています。
ステージⅣ
食道から離れた胸膜や腹膜、周囲の組織や臓器にまでがんが転移した状態となり、食道がんのみならず、各部位にまで影響があらわれています。
食道がんがよく発生する(好発)部位は?
食道は、入口部から胃との接合部まであり、このようなイラストになります。
- 胸部中部食道・・・約50%
- 胸部下部食道・・・約25%
- 胸部上部食道・・・約15%
- 頸部食道・・・約5%
- 腹部食道・・・約5%
胸部中部食道が最も多く、食道がんの約50%を占めます。(平成28年度出版病気がみえる 〈vol.1〉 消化器 より)
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食道がんになるのはなぜ?原因は?
- 飲酒(アルコールの過剰摂取)
- その他の発がん物質の摂取(硝酸塩、アヘン吸引)
- 喫煙
- 刺激物による粘膜障害(熱いお茶、食事、洗剤の誤飲)
- 放射線照射による狭窄
- 野菜・果物の摂取不足
- Barrett食道
- 食道アカラシア
- Plummer-Vinson症候群
- 先天性角質増殖症
中でも、飲酒喫煙が大きく関係するといわれています。
熱い食べ物、辛い食べ物、酸っぱい食べ物など、刺激物となる食事も原因の1つです。
それ以外に、Barrett食道は食道腺がんの発生母地ともなりますし、食道アカラシアも食道がんを合併しやすいといわれています。
最後に
- 初期には無症状なことが多く、進行するにつれ燕下障害などが現れる
- 症状を自覚した時には、がんが進行していることが多い
- 食道がんの進行度は4段階のステージに分かれる
- 胸部中部食道に発生するのが最も多い
- 飲酒や喫煙・食事内容・Barrett食道・食道アカラシアなどが原因となる
喉の異変を感じると、まず耳鼻科を受診することが多いと思います。
ですが、なかなかこの段階で食道がんと気付くことは少なく、風邪や他の疾患とも間違えられやすいものなのです。
診断に納得できない、何かおかしいと自分自身で感じる場合は、大きな病院(検査設備の整った)へ行くのがよいでしょう。