アンドロゲン不応症って何?
皆さんはアンドロゲン不応症という言葉を聞いたことがありますか?英語ではAndrogen Insensitivity Syndromeと言い、略してAISと呼ばれています。
この症状は一見気が付きにくく、検査をしてはじめて自分が他の人とは少し違うということに気が付いた、という方もいるでしょう。
今回のお話しは、このアンドロゲン不応症についてのお話しです。
- アンドロゲン不応症とは?
- 原因は?
- 症状は?
以上です。
それでは始めます。
アンドロゲン不応症(androgen insensitibity syndrome)とは?
アンドロゲン不応症とは染色体から判断すると男性であり、精巣も存在しているにも関わらず外見は女性のような姿である症状のことです。
性分化疾患の原因となる症状の1つです。
性分化疾患とは
性分化疾患(disorders of sex development)とは、性の発達がいわゆる典型的な過程を得ていない症状のことです。
英語の頭文字をとってDSDと呼ばれることもあります。
- 先天性副腎皮質過形成
- 混合性腺形成不全
- 卵精巣性性分化疾患
- 5α還元酵素欠損症
- メイヤー・ロキタンスキー・クスター・ハウザー症候群 (MRKH)
- クラインフェルター症候群
- ターナー症候群
などがあります。
性同一性障害との違い
性同一性障害は生物学的には典型的な形状を示しますが、性分化疾患の場合は生物学的に見て、典型的ではない形状になっている症状のことですので、この2つは別の症状です。
アンドロゲン不応症の原因は何?
アンドロゲンとは男性ホルモンのことです。
この男性ホルモンは普通の男性と同じように分泌しているのですが、このホルモンがもたらす情報をうまく体現することが出来ないため、たとえ精巣はあっても外見は女性のような姿になってしまうのです。
アンドロゲン不応症の症状は?
アンドロゲン不応症は、このような型に分けられます。
- 完全型アンドロゲン不応症(CAIS)
- 部分型アンドロゲン不応症(PAIS)
- 軽症型(MAIS)
完全型アンドロゲン不応症
- 膣が短い
- 性器の形は女性
- 子宮が欠損している
- 停留睾丸である(成長と共に睾丸も下に降りてくるはずが降りてこない)
- 乳房が発達している
- わき毛や陰毛が欠如または少ない
- 一般的に高身長
不全型アンドロゲン不応症
- 性器の形は女性だったり男性だったり、またはその中間
- 性器が女性に近い場合は停留睾丸または陰核肥大
- 男性器に近い場合は尿道下裂
- 顔や体の体毛や腋毛が少ない
- 精子形成不全
- 男性に近い場合は思春期に女性化乳房が見られる
軽症型アンドロゲン不応症
- 性器は男性
- 顔や体の体毛が少ないことがある
- 精子形成不全
- 思春期の女性化乳房が見られる
- 染色体が46、XYをあらわす
- テストステロン値は正常、エストラジオール値が正常男性に比べて高い
- 黄体形成ホルモン(LH)が上昇、卵胞刺激ホルモン(FSH)上昇
アンドロゲン不応症の方のほとんどはいつまで経っても生理が来ない(原発性無月経)の症状で来院し、検査をした結果症状に気が付くことが多いです。
まとめ
- アンドロゲン不応症とは染色体では男性を示すが外見は女性のような姿である症状
- アンドロゲン不応症は性分化疾患の1つ
- この疾患はアンドロゲンの情報をうまく体現できないことで起こる
いかがでしたか?
今回はアンドロゲン不応症についてのお話しでした。
このような症状に関してはなかなか難しい問題もありますが、もし気になることがあったら病院で検査してみてください。