臓器移植をするとその後に免疫抑制剤を使用するため、それに伴う副作用が出現することがあります。
- 易感染性
- 臓器障害
- 悪性腫瘍の発生
と言ったものが挙げられます。その悪性腫瘍のうちリンパ球や形質細胞に生じる腫瘍性病変を総称してPTLD(移植後リンパ増殖症)と定義します。
今回はこのPTLD(移植後リンパ増殖症)について症状、原因、治療についてまとめました。
PTLDとは?
移植後PTLDは臓器移植後の免疫抑制剤に関連した合併症で、リンパ球や形質細胞に生じる腫瘍性病変を総称したものです。
PTLDとは移植後リンパ増殖性疾患(posttransplantation lymphoproliferative disorder)の略です。
どこの臓器移植で生じる?
実質臓器移植後に生じることがあり、移植する臓器によって頻度が異なります。中でも
- 心移植
- 肺移植
のような免疫抑制が強い場合は、発症率が高いとされます。一方で、肝移植や腎移植のように免疫抑制がそれほど強くない場合は、比較的低めとされています。
PTLDは、
- 早期病変
- 多形性PTLD
- 単形性PTLD
- その他(Hodgkinリンパ腫など)
に分類されます。
また通常のリンパ腫と比較して、節外病変が多いのが特徴で、全身どこにでも生じますが、特に腹部の頻度が高く、腎臓、肝臓、心移植後のPTLDは腹部に生じることが多いと報告されています。
腹部領域のPTLDの特徴は?
腹部の中でも、消化管、肝臓、リンパ節での頻度が高いと言われています。
消化管の中では、回腸末端〜上行結腸、胃での頻度が高いと言われ、画像所見としては、他のリンパ腫と同様で
- 腸管壁のびまん性肥厚
- 粘膜ひだの腫大
- 潰瘍形成〜ポリープ形成
など様々です。ただし、PTLDでは潰瘍形成に伴う消化管穿孔の頻度が高いと報告されています。
一方で、肝臓や脾臓、腎臓などに生じるPTLDは造影CTにおいて乏血性、低吸収の充実性腫瘤として認められます。
PTLDは治療を行わない場合は致死的であり、そのためには画像を含め早期発見が重要とされます。

潰瘍に伴う消化管穿孔と突然の激しい腹痛については、消化管穿孔とは?突然の激しい腹痛の原因・CT診断・治療を画像で解説で解説しています。
PTLDの原因は?
多くは、EBウイルスと関連があり、EBウイルス関連のPTLDは移植後1年以内に発症する頻度が高いとされています。
一方でEBウイルス非関連のPTLDはより遅い時期に発症し、B細胞リンパ腫が多いとされます。
PTLDの症状は?
生じる部位によって様々ですが、
- リンパ節腫大
- B症状(発熱、発汗、体重減少)
- 食欲不振
- 倦怠感
- 敗血症
- 多臓器不全
とリンパ腫に特徴的なものから、非特異的なものまで症状があります。
リンパ節の腫れの見方については、頸部リンパ節の腫れは転移の可能性?悪性を疑う大きさ・形・受診の目安で解説しています。
PTLDの治療は?
まず免疫抑制剤の減量を行いますが、減量だけでは改善しない例も多く(Lim 2006)、その場合は予後を左右する原因となります。
PTLDの多くはCD20陽性のB細胞性であることが多いため、その場合はリツキシマブ(抗CD20抗体)を使用します。

参考文献)
AJR 171(4) :1007-1013.1998(Pickhardt PJ, Siegel MJ. PubMed)
Nephrology 11(4):355-366,2006(Lim WH, et al. PubMed)





