脳梗塞とは脳の血管が詰まってしまい、その動脈が栄養している脳に壊死を起こし、その箇所の脳の機能が失われます。
一方、一過性脳虚血発作(TIA)は、脳の血管が詰まりかけたけど、再開通して、脳梗塞を免れた!という状態です。
自宅で麻痺などの症状が出たけど、病院に行ったら治ったというのは一過性脳虚血発作の可能性があります。
この一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞に進展することはあるのでしょうか?
一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞の強力なリスク因子!
と非常に高確率に脳卒中に移行します。
症状がなくなったから病院いかなくても、治療受けなくても大丈夫と思っていたら大変なことになるかもしれません。
ではどんな一過性脳虚血発作が脳梗塞に進展しやすいのでしょうか?
実は一過性脳虚血発作後の脳梗塞の危険予測を測るスコアがあります。
その名もABCD2 scoreというものです。
ABCD2 score
- 年齢
- 血圧
- 臨床症状
- 症状持続時間
- 糖尿病
の5項目です。年齢が高いほど、血圧が高いほど、臨床症状が強いほど、持続時間が長いほど、糖尿病があればなお脳梗塞に進展しやすいということです。
該当するものが多いほど脳梗塞へ進展しやすいと言われています。
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一過性脳虚血発作後の脳梗塞の予防は?
一過性脳虚血(TIA)発作後の48時間以内の急性期の再発予防には、アスピリン160-300mgの内服が有効。
であることが証明されています。
また非弁膜性の心房細動による心原性の一過性脳虚血発作(TIA)の再発予防には、
第一選択はワーファリンによる抗凝固療法(目標INRは70歳未満で2-3、70歳以上で1.6-2.6)
とされています。
またもし頚動脈エコーや頸部のMRIで頚動脈の狭窄率が70%以上で、一過性脳虚血発作を生じた場合は、
内科的治療+頚動脈内膜剥離術(CEA)を併用した方が内科治療単独よりも脳梗塞を起こしにくい。
ということがわかっています。
一過性脳虚血発作(TIA)は臨床的に診断する。
症状が出たけど消えた、という場合に頭のMRIを念のためにとると、脳梗塞と同じ信号パターンを示すことがあります。画像だけでは、脳梗塞と区別はつかないのです。
- 症状が消えた→一過性脳虚血発作
- 症状が残っている→脳梗塞
と診断します。症状が残っているかなくなったかということは、血管が詰まったかか再開通したかの差であり、一過性脳虚血発作は詰まりかけたけど、運良く開通した、と考えて脳梗塞と同等くらいに考えた方がよさそうです。
まとめ
一過性脳虚血発作は脳梗塞の強力なリスク因子です。
症状が消えたから良かった良かったと思っていると、その症状が残る脳梗塞になることも十分にあります。
麻痺などの症状が数分でも出たのならば、ABCD2 scoreを参考に、リスクの状態を把握し、専門科を受診しましょう。