リンパ管腫というあまり聞き慣れない病名ですが、実は患者数は日本だけでも1万人以上10万人以下とされています。
実は私も、今から30年以上前の小児期にリンパ管腫と診断され、治療をおこないました。
初めはしこりが見つかったことから「小児癌」と疑われ、大きな病院に回され、色々な検査・処置・手術をおこない、良性のリンパ管腫と分かりました。
今回は私の体験談と共に、リンパ管腫について
- 症状
- 好発部位
- 原因
といったことをご説明したいと思います。
リンパ管腫とは?
人間の体内には、リンパ管という脈管が全身を走行していいて、リンパという液体が流れています。
そのリンパ管において、拡張したり、増殖することによって起こる腫瘍(血管の奇形)が、リンパ管腫です。
簡単に言うと、体内に風船のような塊が出来るもので、塊の中身はリンパ液が主体です。
腫瘍の大きさは1mm以下の小さなものから、数cmまで巨大化するものまであり、サイズは様々です。
しかし中には、体内だけでなく皮膚表面にまで出現するリンパ管腫もあります。
症例:生後1日新生児
右頸部に柔らかい膨隆を認める。
(出典:医師国家試験過去問100F7)
実はこのリンパ管腫には分類があり
- 限局性・・・拡張したリンパ管が真皮浅層に見られる表在性
- 深在性・・・海綿状あるいは嚢胞状で、真皮深層から皮下に存在
とに分けられます。
リンパ管腫の原因は?
リンパ管腫の原因は、胎生期の未熟リンパ組織が、中枢の主要なリンパ管に接合できなかったために起こるとされています。
接合できなかった、未熟なリンパ組織が、分画されて嚢腫状に発育した結果起こると考えられています。
リンパ管腫の治療法や再発についてはこちらをご覧ください→リンパ管腫の治療法は?再発する場合もある?
リンパ管腫の症状は?
リンパ管腫がある部分(病変部)症状
- 浅在性の場合・・・皮膚表面に透明や赤い水泡が多発する(蛙の卵状)
- 深在性の場合・・・皮膚の下に触ると腫瘤が確認できる
リンパ管腫による影響で起こる症状
また、腫瘍の浸潤や部位によっても異なりますが、
- 腹部・皮膚・神経などにも腫瘍が浸潤→その部位によって様々な症状が出現
- 胸部病変→胸水・血胸・乳び胸・縦隔病変・心嚢水による息切れ・咳・喘鳴・呼吸苦など
- 骨病変→頭蓋骨から脊椎・骨盤・四肢骨と身体中にに骨溶解を起こす
- 進行→骨痛・病的骨折・骨溶解による側彎・脚長差・骨欠損などを起こすことも
- 腹水や脾臓病変、リンパ漏、リンパ浮腫
初期には無症状なこともありますが、細菌感染により、炎症を起こした場合には腫れや痛みをともなうこともあります。
また体内の深い位置にある場合は、症状をともなわなければ見た目的にも分からず、発見が遅れることもあります。
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リンパ管腫の好発部位は?
多くのリンパ管腫は
- 頸部(首)に出るものが75%(特に後頭部三角と呼ばれる部位)
で、その他、脇(腋窩)に出るものも20%程度と多くなっていますが、リンパが通っている全身どこにでも出来る可能性のある腫瘍です。
良性腫瘍なので、他の場所に転移することはありませんが、厚生労働省が指定する難病の1つです。
私のリンパ管腫
私の母が私の異常に気付いたのは、まだ私が1歳になる前の赤ちゃんだった時のことでした。
お風呂上りに服を着せる際、太ももの大きさが左右違うことに気付き、よくよく触ってみると、中にしこりのようなものが手で感じられたそうです。
それで、かかりつけの小児科に行き、これは小児癌の可能性もあると、大学病院を紹介されました。
ちなみに私は、足の付け根である鼠径部の内側に発生していました。
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リンパ管腫の原因とは?
リンパ管腫の多くは、母親の胎内時期の先天性の異常であり、遺伝性はなく、脈管奇形の1つとしていわれています。
しかし、はっきりとした発生原因は分かっていません。
リンパ管腫は小児に多いってホント?
リンパ管腫のほとんどは、小児期・特に2歳までに発見されることの多い病期です。
ですが、中には生まれてすぐや胎児期に発見されることもあります。
またそれ以上の年齢になって発見されることもあり、皮膚の深層部にあると症状がない場合気づかず、不調が出始め、成人してから発見されることもあります。
参考:日本形成外科学会・難病情報センター・リンパ管疾患情報ステーション
参考文献:頭頚部の画像診断 P402-403
最後に
- リンパ管腫は体内のどこにでもできる可能性がある
- リンパ管が拡張したり増殖することによって起こる腫瘍
- 発生した部位や浸潤によって症状が異なる
- 先天性の異常で、脈管奇形の1つだが、はっきりとした発生原因は分かっていない
- 小児期に出るものが大半だが、成人してから発見される場合もある
うちの母は、当時は情報が少なく、どんな病気かも分からず不安から、自分を責め精神的にも追い詰められていたそうです。
しかし、詳しい原因は分かっていませんが、母親や遺伝が原因ということはありません。
今現在私が問題なく生活できていられるのは、当時の両親が早期に気づき、治療を選択してくれたお陰だと感謝しています。