甲状腺機能低下症にはどのような症状があるのか、ご存じですか?
知っていれば、セルフチェックがしやすくなりますよね。
また、甲状腺機能低下症における採血時のTSHの数値や、治療・食事について知っておくことで、焦ったり慌てたりせずに対応できます。
そこで今回は、甲状腺機能低下症についてご説明しましょう。
先に結論
- 主な症状は、むくみ・寒がり・疲れやすさ・皮膚の乾燥・便秘・体重増加・動作がゆっくりになる・声がしわがれるなどです。
- 症状だけでは決められません。血液検査でTSHと甲状腺ホルモン(FT4)を調べて診断します。
- 多くを占める原発性(甲状腺そのものの病気)では、TSHが高く、FT4が低くなります。
- 治療の基本は、不足した甲状腺ホルモンを薬で補うことです。自己判断でやめないようにしましょう。
- 気になる症状や健診での指摘があれば、内科・内分泌内科などの医療機関へ相談してください。
甲状腺機能低下症の症状は?

- 圧した痕が残りにくい浮腫がある
- 筋力が低下する
- アキレス腱反射の回復相が遅延する
- 心臓が大きくなる心拡大
- 心臓をとりかこむ心嚢と心臓の間にある液が過剰に溜まる心囊液貯留
- 1分間の脈拍が少なくなり60回未満となる徐脈
- 意識混濁の一つで自発的な動きが少なくなったりベッドに寝たきりになる傾眠
- 動作が緩慢になる
- 声がしわがれる
この他にも、寒がり(冷え性の悪化)や発汗の減少、肌の乾燥、疲れやすさ、便秘、体重増加といった症状もあります。軽いうちは「年のせい」「疲れのせい」と思われやすく、気づかれないことも少なくありません。

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甲状腺機能低下症のとき採血のTSHの数値は?
TSHの基準範囲は施設や測定法で多少異なります。0.34~3.5μIU/ml前後を基準とする施設の例がありますが、結果はその検査をした施設の基準範囲と照らして判断します。
病変の部位によって、結果の出方は次のように異なります。
- 原発性(甲状腺性)=TSHが高く、FT4が低い
- 中枢性(下垂体性・視床下部性)=FT4が低いのに、TSHは高くならない(低い、または基準範囲内〜軽度高値)
- TSHだけが基準より高く、FT4は基準範囲内=潜在性甲状腺機能低下症
このように、甲状腺機能低下症では原因の部位によってTSHの値が変わります。中枢性は比較的まれで、原因の多くは橋本病(慢性甲状腺炎)とされています。判断には医師の診察と、FT4を含む検査が必要です。


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甲状腺機能低下症の治療は?食事は?

甲状腺機能低下症の治療
甲状腺機能が低下している場合は、分泌力が低下してしまった
- 甲状腺ホルモンを服薬によって補う
ことになります(レボチロキシンなどの甲状腺ホルモン薬を飲み続ける治療です)。
ただし、高齢者や心臓疾患がある人や甲状腺機能の低下率が大きい人については、服薬量を少なめにして治療開始します。これは、服薬することによって生じる心臓への負担を過度にしないためですね。
様子を見ながら徐々に服薬量を増やして、患者一人一人に応じた適量を見定めることになるのです。症状が楽になっても、自己判断で中止せず、医師の指示どおりに続けて定期的に血液検査を受けましょう(薬の量は主治医が決めます)。
甲状腺機能低下症の食事は?

基本的には、バランスのよい通常の食事でよいとされ、特定の食品で甲状腺機能低下症が治るわけではありません。薬を飲んでいる場合も、極端な食事制限は通常必要ありません。
注意したいのはヨウ素(ヨード)です。昆布類を日常的に大量にとったり、ヨウ素を含むせき止め薬を長く使ったりすると、ヨウ素の摂りすぎで甲状腺の働きが落ちることがあります。気になる方は、主治医に食べてよい量を確認してください。
「大豆製品や特定のナッツを避ける」「特定の食品を摂れば改善する」といった情報も見かけますが、日本の診断・治療の手引きで推奨されているわけではありません。サプリメントを使う場合も、薬との飲み合わせがあるため、医師や薬剤師に相談しましょう。
まとめ

甲状腺機能低下症の症状には、
- 浮腫や筋力低下
- アキレス腱反射の回復相遅延
- 心拡大や心囊液貯留、
- 徐脈
- 傾眠
- 動作の緩慢
- 声のしわがれがあります。
このような症状の原因が甲状腺機能低下症である場合は、採血検査でTSHとFT4に特徴的な変化がみられます(原発性ではTSH高値・FT4低値)。
そのため、甲状腺機能低下症の治療には、不足している甲状腺ホルモンを服薬によって補う方法があります。
また、食事は通常バランスのよいものでよく、ヨウ素(昆布類など)のとりすぎには注意が必要です。
受診の目安とよくある疑問
Q. 何科を受診すればよいですか?
まず内科、または内分泌内科(甲状腺を専門とする科)で相談できます。健康診断で「TSH高値」「甲状腺ホルモン異常」と指摘された場合も同じです。
Q. TSHが少し高いだけでも治療が必要ですか?
TSHだけが高く、FT4が基準範囲内の場合は「潜在性」と呼ばれます。治療するか経過をみるかは、数値の程度、症状、年齢、妊娠の希望などによって医師が判断します。自己判断せず、医師に相談してください。
Q. 病院に行く目安は?
むくみ、寒がり、強い疲れやすさ、便秘、体重増加などが続くときや、脈がゆっくりで息切れがあるとき、ぼんやりして反応が鈍いときは、早めに医療機関を受診してください。
参考文献:厚生労働省間脳下垂体機能障害に関する研究班「TSH分泌低下症の診断と治療の手引き(平成21年度改訂)」 原本PDF





