ノロウイルスにかかると、下痢に嘔吐と大変ツライ思いをする方が多くいます。
「少しでも早く楽になりたいから、手っ取り早く市販薬で対処したい。」
「苦しい中病院に行くのもツライけど、どんな薬が処方されるんだろう?」
「特効薬はないの?」
など・・・
このツラさから早く解放されたいために、薬を求めてしまう・・・という方多いですよね?
そこで今回は、ノロウイルスに感染した場合の薬について
- 処方薬
- 市販薬
- 子供や妊婦、授乳中の場合
- 予防薬
など、気になるあれこれをまとめました。
参考にされてください。
ノロウイルスになった場合に処方される薬は?
残念ながら・・・ノロウイルスに特効薬はない(効果のある抗ウイルス剤がない)のが現状です。
基本的に、ウイルスを早く出しきるために、下痢止めは処方されません。
下痢はウイルスを体外へ排出するのに手っ取り早い方法でもあり、その下痢を止めてしまうということは、回復を遅らせてしまう事につながるんです1)。
そのため、治療法としては、基本的に、対処法(対処療法)と絶対安静しかありません。
対処療法としては、
- 点滴
- 整腸薬
- 乳酸菌製剤
- 吐き気止め
などです。
下痢などにより、消耗が激しかったり、水分が摂れない様な場合には脱水に対する点滴を行います。
また、整腸薬や乳酸菌製剤は、荒れた腸の調子を整えるため、積極的に処方されます。
吐き気どめは、ひどい嘔吐に対する薬となりますが、頓服的意味合い(本当にひどい嘔吐の時のみ)を持ちます。
いずれもウイルスそのものに対しての治療ではなく、体力の消耗を防ぐためや、自然治癒力を高めるための治療となります。
ノロウイルスに効果的な市販薬は?
上記で述べました様に、ノロウイルスには特効薬がありません。
そのため、病院を受診できないような場合は、市販の整腸剤などを飲んで安静にするのがオススメです。
ビオフェルミン
価格:1,740円
ノロウイルスで病院に行くと、整腸剤としてビオフェルミンを処方されることもあります。
しかし、ビオフェルミンにノロウイルスを治す効果があるわけではありません。
ビオフェルミンには、ノロウイルスによってダメージを受けてしまい弱った腸をサポートする働きがあるのみです。
OS-1
価格:1,664円(6本)
原料は、
- 糖類(ブドウ糖・果糖・コーンシラップ)
- 食塩
- 乳酸Na
- 塩化K
- 乳酸
- 硫酸Mg
- リン酸Na
- グルタミン酸Na
- 香料(一部にオレンジ由来の成分を含む)
- 甘味料(スクラロース)
などで、嘔吐や下痢で失われた水分やミネラルを、素早く補うことができます。
というのも・・・感染性胃腸炎には、ノロウイルスの他、細菌性赤痢・コレラ・チフス・腸管出血性大腸菌・カンピロバクター・サルモネラ・腸炎ブリオ・エルシニア・ブドウ球菌・ロタウイルス・アメーバ赤痢・ランブル鞭毛虫など、様々な種類があります。
そのため、ノロウイルスでない場合もあるため、自己判断は危険です。
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子供・妊婦・授乳中にノロウイルスに感染した場合は?
子供の場合
子供、とくに低年齢児の場合、下痢や嘔吐により、脱水症状になる症例が多くあります。
その場合、病院での点滴を必要としたり、入院となることも多くあるのです2)。
そのため、ご家庭では水分補給に注意するようにしてください。
妊婦の場合
妊婦の場合、下痢によって子宮を刺激し、収縮を促すことにもつながりかねません。
かかりつけの産婦人科に電話をし(他の妊婦さんの迷惑にもなるため、事前に電話を)、相談してみることをオススメします。
また、自己判断で市販薬を飲むのは、胎児への影響も考え、控えたほうがいいでしょう。
授乳中の場合
妊娠中同様、授乳中も自己判断で市販薬を飲むのは、赤ちゃんへの母乳の影響も考え、やめましょう。
また、下痢や嘔吐だけでなく、授乳によっても水分を取られます。
一時的にミルクに切り替えるという方法も考慮し、かかりつけ医に相談するのがよいでしょう。
ノロウイルスの予防薬やワクチンはあるの?
ノロウイルスの、治療薬や感染予防のワクチンはありません。
感染を予防するためには、ノロウイルスを体内に入れないことが重要となります。
しかし、まだ実際の臨床の現場では用いられるには至っていませんが、武田薬品工業株式会のホームページ(2016年06月21日付け)に以下の内容のお知らせがあります。
「現在開発中で、現時点で唯一臨床試験段階にあるノロウイルスワクチン(TAK-214)の臨床第2相後期有効性フィールド試験を開始した」3)
このように、ノロウイルスの予防となるワクチンが一般に出回る日が期待されています。
ノロウイルス感染を予防する方法は?
ノロウイルスは、微量でも感染してしまい、体内において増えます。
また、ノロウイルスの患者の嘔吐や下痢の汚物には、大量のノロウイルスが含まれています。
ですから、感染を予防するには以下の点を頭に入れ注意するようにして下さい。
- 不特定多数が使用するトイレなど、さまざまな場所がノロウイルスに汚染されている可能性が高い。
- 感染の多くは、手や指先にノロウイルスが付着したまま素手で食品に触れ、体内に侵入するものである。
- 手や指先を清潔に保つこと、また、食品の十分な加熱が非常に重要である。
- 寒くなるとノロウイルスが不活化するまでの時間が長くなる事で汚染される範囲が広がる。
ノロウイルスの感染リスクを減らすには、手洗いを徹底することが重要です。
消毒
ノロウイルスは、インフルエンザなどに有効とされているアルコール消毒には効果がありませんが、次亜塩素酸ナトリウムには消毒効果が期待できます。
参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P91〜93
1)厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A
2)ノロウイルス感染症低年齢児にみられる重症化要因
3)武田薬品工業株式会社 世界初となるノロウイルスワクチンのフィールド試験開始について
最後に
ノロウイルスの薬について、ポイントをまとめます。
- ノロウイルスには特効薬がないのが現状であり、対処法と安静が基本
- 病院を受診できないような場合は、市販の整腸剤を飲み、脱水症状に注意
- 下痢はウイルスなどを体外に排出する体の防御反応であるので、薬で止めると治るのを遅らせることになる
- ノロウイルスの感染リスクを減らすには、ノロウイルスを体内に入れないことから手洗いを徹底することが重要
- ノロウイルスの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムでの効果が期待できる
現時点において、ノロウイルスにかかっても特効薬やワクチンはありません。
ですから、嘔吐や下痢になってしまった場合は、脱水症状にならない様に十分な水分補給を心掛けるようにして下さい。