内痔核と外痔核とに分けられ、出血や脱出をともなう痔核。
治療法として、軽度な場合には保存療法や薬物療法で済みますが、重度な場合には日常生活にも差し支えるため、手術が必要になります。
そんな痔核の手術について
- 治療や手術方法
- 根治
- 手術費用
- 入院期間
気になる以上のことを徹底解説致します。
治療を検討されている方、これから受けられる方はぜひ参考にされてください。
痔核の治療とは?手術方法について解説
痔核の治療には、
- 保存療法(生活指導・薬物療法・注射療法)
- 外科的治療(手術)
という治療方法があります。
保存療法となるのか、保存療法でも薬物療法や注射療法という治療をおこなうのか、手術をおこなうのか、痔核の程度によって治療法の選択が異なります。
詳しくはこちらをご覧ください。→
保存療法
生活指導として、原因となることの多い便秘の解消のため、排便リズムを整え高繊維食にしたり、日頃から入浴(清潔に保つためにも)することも必要となります。
また原因となる
- 刺激物の過剰摂取
- 過度なアルコール摂取
- ストレス解消
- 生活習慣の見直し
をおこなうことで、悪化を防ぎます。
その際、薬物療法として症状に合わせ、座薬や軟膏、5%PAO硬化療法(英語表記で「phenol almond oil」日本語「フェノールアーモンドオイル」)やALTA療法(英語表記で「aluminium potassium sulfate tannic acid」)、ゴム輪結紮が選択されます。
5%PAO硬化療法やALTA療法は注射療法です。
ご説明します。
5%PAO硬化療法とは?
硬化剤であるフェノールアーモンドオイルを5%患部に注射し、硬化・縮小させ止血する治療法です。
一般的に外来でおこなわれ、一時的な効果があります。
ALTA療法とは?
特に、内痔核に対して有効な治療法で、硬化剤である硫酸アルミニウムカリウム水和物やタンニン酸水溶液を患部に注射し、出血や脱出を改善する効果があります。
痛みも少なく、手術に近い持続的な効果も得られやすいとされています。
ゴム輪結紮とは?
患部である痔核の根元にゴム輪をかけ、血行を遮断することによって、患部を壊死させて自然に脱落させる方法です。
多少痛みをともなうこともありますが、便と一緒に気づかぬうちに排泄されます。
痔核の手術
- PPH療法(英語表記で「procedure for prolapse and hemorrhoids」)
- 結紮切除術(けっせつせつじょじゅつ)
PPH療法とは?
自動環状吻合器によって、幹部を粘膜から吊り上げて血流を遮断し、切らずに痔核を縮小させる手術です。
術後の痛みが少ないため、入院期間も短期間で済み、早期社会復帰が望めます。
結紮切除術とは?
患部の根元を結紮(血管を縛り、血流を止める)し、放射状に切り取る手術です。
最も一般的におこなわれてる手術方法です。
結紮切除術とALTA療法を併用しておこなわれることも多くあります。
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本当に痔核の根治手術となる?
PPHや結紮切除術が痔核の根治手術となるといわれています。
ただ術後の合併症として、結紮切除術の場合
- 疼痛(ズキズキとした痛み)
- 出血
- 肛門狭窄
が見られることもあるため、術後の経過に注意が必要です。
また、根治しても今までと同じ生活習慣を送っていると、再び痔核を誘発してしまうこともあります。
そのため術後には生活指導をしっかり受け、自分で注意する必要があります。
痔核の手術費用は?
医療機関によって多少前後し、日帰りや入院日数でも異なりますが、手術費用として(入院費である食事や病室代等は含まず)
- PPH法・・・3割負担で5万円前後
- 結紮切除術・・・3割負担で3万円前後
- ALTA療法・・・3割負担で3万円前後
程度なことが多いようです。
詳しくは、手術をおこなう医療機関で事前にお問い合わせください。
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痔核の手術の入院期間は?
重症度によっても異なりますが、最短日帰り手術が可能な医療機関もあります。
ただ術後の経過をみるためにも、何度も通院するよりしっかりとした入院管理(術後の経過観察・合併症の有無・痛みに対する対処法・排便管理)のもと、1週間程度入院することが多くなっています。
- 参考文献:病気がみえる vol.1:消化器 P228・229
- 参考文献:消化器疾患ビジュアルブック P146〜151
- 参考文献:内科診断学 第2版 P873
最後に
- 痔核の治療には、保存療法(生活指導・薬物療法・注射療法)・外科的治療(手術)という治療方法がある
- 保存療法には、5%PAO硬化療法やALTA療法、ゴム輪結紮という治療法もある
- 痔核の根治手術として、PPH療法や結紮切除術が一般的
- 根治手術をおこなっても、今までと同じ生活習慣を送っていると、再び痔核を誘発してしまうこともある
- 基本的な手術費用は、3割負担で3〜5万円前後(医療機関や方法によって異なる)
- 日帰り手術が可能な場合もあるが、一般的には1週間程度の入院を要する
今回ご説明した内容からも、手術だけが治療法ではないということもお分かり頂けたかと思います。
恥ずかしい場所であるため症状が重くなるまで受診しない方が多い現状ですが、軽症なうちに受診すると手術までしなくて済むことも多い痔核。
早めの受診をオススメします。