食道アカラシアというと、下部食道括約筋の機能障害により、物が飲み込みにくい、嘔吐(吐き気)、胸痛などの燕下障害が起こルものです。長年この症状に悩み、徐々に症状は悪化し、治療なしでは自然回復することはありません。
更に、この食道アカラシアは、食道癌のリスクが普通の人に比べると高くなるというのです。それは本当でしょうか?
今回は、アカラシアと食道癌の関係、予防や早期発見のためにどういったことに注意すべきかご説明したいと思います。
アカラシアは食道癌になりやすいって本当?
それは本当です。アカラシアそのものは良性疾患のため、生命に関わることは少ないものですが、比較的高い確率で食道癌を合併すると言われています。(日本消化器外科学会雑誌 21(5), 1308-1311, 1988-05-01 より)
ですので、アカラシアはより早期の診断治療が必要になります。
食道癌の詳しい原因は分かっていませんが、アルコールの多飲や喫煙習慣、辛い食べ物、熱い飲食物など、刺激物を好む人に多いと言われます。
そのことからもアカラシアのように食道に負担がかかり、過敏になっている人が発症しやすいというわけです。そのため、アカラシアの合併症状として食道癌があると言われています。
食道癌になると現れる症状とは?
食道癌は、初期症状から食道癌と気づくことは、なかなかあまりありません。それは何故かというと、その症状こそ、食道アカラシアの症状に類似しているからです。
- 物が飲み込みにくい
- 喉に異物感(詰まった感じ)
- 喉がしみる
- 咳が出る
- 胸痛
- 背痛
- 声がかすれる
- 体重減少
正に、食道アカラシアの燕下障害と重なる部分が多いと思います。そのため、初期症状だけで食道癌と判断するのは難しいのです。
しかし、食道癌は進行した場合、上記以外の様々な症状を来たします。遠隔転移と言って、体の様々な部位に転移する可能性があり、その転移した部位に症状が現れるためです。
- 骨に転移した場合・・・背・腰など骨が痛むなど
- 脳に転移した場合・・・目のかすみ、目眩、味覚障害、言語障害など
- 肺に転移した場合・・・息苦しさや更に強い胸部痛や背部痛など
- 肝臓に転移した場合・・・背・腰部痛、お腹の張り、食欲低下、倦怠感、黄疸など
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アカラシア患者が食道癌を予防することは可能?
予防こそが最も大切です。
- 食道アカラシアの治療
- 定期的な検診
- 食生活に注意
まず、食道アカラシアの治療を行うことが大切です。食道アカラシアの治療法は、内科的治療と外科的治療があります。
そして、食道アカラシア治療後も、定期的な検診が必要です。再発も多いアカラシアですが、こまめに検査を行うことで、ちょっとした異常にいち早く気づくことが出来ます。早期に発見できれば、その分早期治療が可能です。
また、それ以外にも、食生活に気をつけることも重要です。食道に負担をかけないということが、食道癌を予防することにもなります。
最後に
- 正常な人に比べて、食道アカラシア患者が食道癌になる確率は高い
- 食道癌の初期症状は、食道アカラシアの症状とも似ている
- 食道アカラシア患者は、食道癌予防のためにも、食道アカラシアの治療・定期的な検診・食生活に注意することが大切
食道アカラシア自体が生命予後に関わるものではありませんが、食道癌になると、上記でご説明したように転移もあり、生命予後にも関わってきます。
癌は誰がいつなるか分からない怖い疾患ではありますが、その確率が高いとなると、予防に努めるにこしたことはないでしょう。