経過観察と言われましたが、大きくなったら癌の可能性が高まるのでしょうか?
人間ドックの腹部エコーで胆嚢ポリープを指摘された場合、必ず大きさが問題となります。
なぜなら、胆嚢ポリープは大きさが良性・悪性の判断の一つの基準となるからです。
そこで今回は、
- どれくらいの大きさまでなら良性?
- 小さな胆嚢ポリープでも、大きくなる可能性はある?
- 胆嚢ポリープが大きくなったらどうなる?
- 癌になる可能性がある大きさはどれくらい?
など、胆嚢ポリープの大きさに焦点を当ててご説明していきます。
腹部エコーで胆嚢ポリープが見つかった!大丈夫?
ポリープというと、大腸や胃を思い浮かべますよね。そして、良性・悪性があることも多くの方がご存じかと思います。
胆嚢ポリープも大腸ポリープや胃のポリープと同様に、場合によっては癌が疑われる症状です。
とはいえ、すべての胆嚢ポリープが癌になるわけではありませんので、ポリープが見つかったからといって、あまり悲観的にならないようにしましょう。
胆嚢ポリープは珍しくない!
胆嚢(たんのう)は、脂肪を消化するために必要な胆汁という液が肝臓で作られるのですが、その胆汁を貯めておく消化器官の一つです。形は西洋ナシ形とかなすび形と言われています。
その胆嚢の中にできるポリープ(粘膜の盛り上がり)を胆嚢ポリープといいます。
胆嚢ポリープは自覚症状はほぼありませんので、人間ドッグなどの健診の腹部エコーで判明することがほとんどです。
胆嚢ポリープは、40~50歳台の男女問わず、人間ドックを受けた人の5~10%に見つかると言われているので、決して珍しい病気ではありません。
何センチまでが正常?
胆嚢ポリープの良性・悪性を判断するのは、数や形なども見るのですが、特に大きさが重要視されています。
大きさが10mm未満のものであれば、良性のコレステロールポリープと呼ばれる物の場合がほとんどです。
それをこれから説明します。
胆嚢ポリープが大きくなったら癌の可能性がある?
胆嚢ポリープは良性の物が多いといわれますが、癌化する場合があるのも事実です。
どのような胆嚢ポリープが癌になるのか?その判断の一つに「大きさ」があります。
胆嚢ポリープが大きくなったら癌かも!?
胆嚢ポリープは、最初から悪性の物もありますが、もともと良性のものであっても大きくなるにつれて癌へと変化することがあります。
そのため、半年から1年に1回、検査が必要です。
悪性の多くは早急に成長し癌化するので1~2年間大きな変化がなければ、その後は検査は不要と言われています。しかし、ゆっくりと癌化するものもありますので、3年目以降もポリープが見つかってから5,6年の間は数年に一度検査しておくとさらに安心です。
判断の基準の大きさや確率は?
大きさがが10 mm以上の場合、約25%の癌化が認められています。
さらに成長し16mm以上になると、癌である確率は60%に達します。
症例 50歳代女性
胆嚢に12mm大の広基性腫瘤あり。
手術の結果、胆嚢がんと診断されました。
広く壁に接する広基性腫瘤の場合は、注意が必要です。
悪性の可能性がある場合の診断方法は?
しかし、逆を言うと、10mm以上であっても75%の人は癌ではないということです。
腹部エコーの画像診断で大きさを確認して10mm以上であることが判明したら、CT(X線によるコンピューター断層撮影)、EUS(超音波内視鏡)などでさらに詳しく検査します。
CTやEUSで検査した結果、悪性である可能性が捨てきれなかった10mm以上でなおかつ経過観察で見て明らかに成長しているポリープがある場合は、胆嚢の摘出手術を行うことをすすめられることがあります。
手術については、こちらの関連記事でさらに詳しく説明しています。
まとめ
今回は胆嚢ポリープ、特にその大きさについてをご説明しましたが、いかがでしたか?
それでは、今回の記事をまとめます。
- 胆嚢ポリープは珍しい症状ではなく、良性の物も多い
- 大きさが10mmを超えた場合、癌化する可能性が25%、大きくなるにつれてその可能性は高まる
- 大きさが10mm未満の場合でも、成長する場合があるため必ず経過観察をする
- 大きさが10mm以上でなおかつ経過観察で成長が確認されたら悪性を疑う
- 悪性が疑われた場合は腹部エコーだけでなく、CTやEUSでさらに精密検査をする
- 精密検査の結果、悪性の可能性があれば、早期に摘出手術をした方が良い
胆嚢ポリープは小さいものであれば、あまり心配が必要ありません。
ただし、発見時には小さなポリープであっても時間経過とともに大きくなっていき、癌化する可能性は0%ではありません。
「小さいから良性だろう」と決めつけて、面倒だからと経過観察に行かず、癌化に気付かないのが一番良くないことです。
癌は早期発見が大切です。
胆嚢ポリープが発見されたら、必ず医師の指導に従い経過観察の検査を受けるようにしましょう!