腎盂腎炎は、腎臓(腎実質・腎盂・腎杯)に細菌が入り込んで炎症を起こす疾患です。

女性に多く、急性のものと慢性のものに分かれ、それによって治療期間も変化します。

今回のお話しはそんな腎盂腎炎(英語表記で「Pyelonephritis」)になった時の入院について

  • 腎盂腎炎が入院となるのはどんなときか
  • 入院期間や入院費用
  • 腎盂腎炎の治療法

などを解説したいと思います。

参考になさってください。


腎盂腎炎で入院が必要となるのは?

Pyelonephritis Hospitalization

腎盂腎炎は重症になると細菌が全身を回り、敗血症を起こすことがあり、ときに命に関わる病気です。

また長期間気が付かず放っておいた場合には腎不全を起こしてしまうこともあります。

また、その他、腎盂腎炎から重篤かつ難治性となる特殊なものとして

  • 気腫性腎盂腎炎
  • 黄色肉芽腫性腎盂腎炎
  • 腎膿瘍
  • 腎周囲膿瘍
  • 腎乳頭壊死

などがあります。

そのため、このような重篤な状態に陥らないためにも、病院で安静を徹底した入院管理が必要となることがあります。

腎盂腎炎で入院になる基準は?

まず、腎盂腎炎の症状として、

  • 発熱
  • 寒気
  • 腰背部痛
  • 頻尿
  • 排尿痛
  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振
  • 悪心
  • 嘔吐

などがあります。

通常、急性期の腎盂腎炎では適切に治療を行えば、3〜5日ほどで解熱し、症状も消失します。

しかし、これらの臨床症状が強く、菌血症や敗血症が疑われる場合は、入院安静治療の適応となります1)

Pyelonephritis Hospitalization1

基本的には、医師の診断において、

  • 外来治療可能な場合、軽症〜中等症
  • 入院加療が必要な場合、重症

とされます。

また、慢性複雑性腎盂腎炎の場合、基礎疾患の正確な把握のために、入院管理のもと詳しい検査をすることもあります2)

入院となるかどうかは、早期受診、早期治療開始が重要となります。

ただし、入院ができないクリニックなどの場合は、毎日抗生物質の点滴を受けに来るように言われることもあります。

腎盂腎炎で入院した場合の期間は?

  • 平均的な期間は、3日〜1週間程度

3日から1週間ぐらい入院して点滴治療を受けることが多いです。

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しかし、重症になると3週間程度の入院期間を必要とすることもあります。

さらに、基礎疾患が原因で腎盂腎炎を起こした場合、さらに長く入院期間を要することもあり、症状や年齢に応じた個人差も大きい特徴です。

また、仮に短期で退院となった場合も、退院後に抗生物質の内服は続ける必要がありますので、主治医の指示に従いましょう。

腎盂腎炎の入院体験談は?

医師

では、実際入院を経験した方はどうだったのでしょうか?

いくつか体験談を紹介します。

  • 「腎盂腎炎で入院し、抗生物質点滴で治療を受けるため、3日間ほど入院した。」
  • 「母が体の震え・高熱・吐き気・腹痛で緊急入院した。」
  • 「CTエコーで腎盂腎炎と診断され、入院期間は1週間ほどと言われた。」
  • 「腎盂腎炎で入院し退院した後、膀胱炎のような症状が出てきてしまい、また受診した。」

腎盂腎炎は、再発することもあるため、しっかり治療をするために、重篤な症状出なくても初めから入院をすすめられることもあります。

腎盂腎炎の入院費用は?

腎盂腎炎で入院といっても、

  • どんな治療をしたか
  • 病室は個室なのか大部屋なのか
  • 入院期間

などで変化します。

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急性腎盂腎炎で入院した基本的なものですが、点滴管理のもと、安静を主とした入院を行ったとして、1日6,000円から10,000円位が相場です。

1週間入院すると、42,000円~70,000円ほどです。

しかし、基礎疾患の治療や画像検査などが必要となると、さらに金額もかさみます。

その場合は、高額療養費制度を利用することをオススメします。

※価格は、個人差(症状や基礎疾患)・病院差(設備・病室・検査等)がありますので、詳しくは入院をする病院にお問い合わせください。

腎盂腎炎の治療法は?

腎盂腎炎の治療は、基本的には内科的な薬物療法となります。

医師
急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎と分けて、治療法を説明します。

急性腎盂腎炎の治療法

  • 抗菌薬(抗生物質)の投与
  • 水分摂取(利尿を促すため)

が必要となります。

抗菌薬は、ニューキノロン系・セフェム系・ペニシリン系・アミノグリコシド系などが選択されます。

ただし、腎臓に膿瘍(のうよう)を形成した場合などは、膿瘍ドレナージ術といった腎臓にドレナージチューブを留置する処置が取られることもあります。

腎臓の膿瘍についてはこちらを参照ください→急性腎盂腎炎・AFBN・腎膿瘍のCT画像所見まとめ!

慢性腎盂腎炎の治療法

尿路に基礎疾患の患者に起こるものなので、基礎疾患の治療が主となります。

しかし、急性経過時や発熱などの炎症反応が見られる時には、抗菌薬が使われます。

関連記事)腎盂腎炎の原因は?診断は?抗生剤は何を使う?

参考サイト・文献:
1)重篤副作用疾患別対応マニュアル 腎盂腎炎 厚生労働省より
2)JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器P248〜250

最後に

  • 腎盂腎炎とは腎盂に細菌が入り込んで炎症を起こす疾患
  • 症状によっては入院したほうがいい場合もある
  • 腎盂腎炎の治療の基本は抗生剤の点滴治療
  • 入院の平均的な期間は3日~1週間ほど
  • 腎盂腎炎は再発が起こりやすい為、アフターフォローが欠かせない

 

重症化すると腎不全などの重大な病気に発展する可能性がある怖い疾患です。

早期に受診し、治療を開始することで、入院とならずに済むこともあります。

症状を我慢せず、夜間休日でも受診をオススメします。

参考になれば幸いです。




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