腹部エコー検査では、膵臓や脾臓・腎臓・肝臓・胆嚢・膀胱・前立腺・子宮・卵巣など、あらゆる臓器の形態的な変化や腫瘤の有無について調べることが可能です。

また、腹部エコー検査は、プローベを体表に当てて、超音波の反射を利用して体内を観察します。

検査時に痛みもなく体への負担も少ない検査です。

この腹部エコー検査、多くの臓器に対応できる検査ですから、その部位により絶食の有無水分の摂り方に違いがあるのでしょうか?

そこで今回は、腹部エコーについて

  • 検査前は絶食なの?
  • 検査前は水分もダメなの?
  • 絶食は何時間前から?
  • 検査前に内服しても大丈夫?

以上についてまとめました。


腹部エコー前は絶食なの?

meal pre abdominal echo figure1

腹部エコー前は絶食なのでしょうか?
検査する部位により異なりますので、以下に部位別にご説明します。

上腹部の場合

meal pre abdominal echo figure2

具体的には、膵臓・肝臓・胆嚢・脾臓・腎臓・腹部リンパ節・消化管などを検査する場合が含まれます。

みぞおちの左側あたりには胃があり、食事を摂る事で消化管ガスが発生するため臓器によっては観察することが難しくなります。

ちなみに、胃の中に食物が入ることにより、胃の背中側にある膵臓が見えにくくなります。

また、胆嚢は胆汁が充満していますが、食後はこの胆汁が消化管に分泌され、胆嚢が収縮し(小さくなり)、胆嚢内部の状態がエコー検査で見えにくくなります。

meal pre abdominal echo figure3

そのため、胆嚢内部にポリープ結石があっても分かりにくくなってしまいます。

下腹部の場合

具体的には膀胱、尿管、精巣、子宮、卵巣、前立腺+血管の他、下腹部ではありませんが乳腺などを検査する場合です。

これらの検査では、胆嚢も膵臓も観察しないので食事制限はありません。

しかし、他の検査があったり、生検をする場合などは安全のため胃を空の状態にしておく必要がある場合もありますので、事前にご利用になる医療機関で確認することをおすすめします。

腹部エコー前は水分もダメなの?

meal pre abdominal echo figure4

腹部エコー前は水分も摂ってはダメなのでしょうか?
これも検査する部位により異なりますので、その違いを部位別に説明します。

上腹部

膵臓・肝臓・胆嚢・脾臓・腎臓・腹部リンパ節・消化管などの場合です。

検査前に水や白湯は飲んでも大丈夫ですが、お茶や牛乳、果汁ジュース、コーヒーは禁止となります。

その理由は、牛乳や甘い飲料などを飲むと、食事をしたと勘違いして、胆嚢が収縮し、中身をはき出してしまいます。

食事をした場合と同様に、検査時に胆嚢や胆管が見えなくなってしまうからです。

結果、十分な検査ができなくなってしまいます。

下腹部

膀胱・尿管・精巣・子宮・卵巣・前立腺などの場合です。

下腹部の検査では膀胱に尿が貯まった状態ですと超音波の反射が高まり、画像が一層鮮明になるので、検査2~3時間前から水分を摂取し、検査終了まで排尿は禁止となります。

逆に検査前に排尿をすると膀胱が空っぽになり、膀胱の壁の様子が観察しにくくなります。

腹部エコーでの絶食は何時間前から?

  • 絶食が必要な部位の検査は午前と午後に分けての時間の目安
  • 絶食が必要ない部位の検査は水分摂取に関しての時間の目安

を以下に説明します。

上腹部:膵臓、肝臓、胆嚢、脾臓、腎臓、腹部リンパ節、消化管など

  • 午前の検査の場合―検査前日23時から絶食、もしくは検査当日朝から絶食(検査時間による)
  • 午後の検査の場合―検査当日9時から絶食、もしくはを絶食(検査時間による)

このように同じ午前、午後の検査でも、何時から検査をするのかにより大きく変わりますので、検査を受ける施設の指示に従ってください。

下腹部:膀胱、尿管、精巣、子宮、卵巣、前立腺など

  • 特に食事制限なし
  • 検査の2~3時間前から水分摂取、検査終了まで排尿しない

絶食が必要な場合、食事は検査の4時間前まで、水分は1時間前までが一般的ですが、水については制限が無い場合もあります。

腹部エコー前に内服しても大丈夫?

腹部エコー検査前に内服しても大丈夫でしょうか?
普段服用しているお薬は飲んでも大丈夫です。

但し、糖尿病で経口血糖降下剤やインスリンを服用の方は例外ですので、必ず医師と相談するようにして下さい。

その理由は、絶食の状態でこれらの薬を用いると血糖値が下がりすぎて低血糖を起こしてしまう危険があるためです。

 まとめ

今回のポイントのまとめ!
  • 上腹部のエコー検査では、臓器によっては観察が困難になるため絶食が必要となる。
  • 下腹部のエコー検査では絶食の必要はない。
  • 下腹部の検査では、検査2~3時間前から水分を摂取し、検査終了まで排尿しない。
  • 絶食が必要な場合、食事は検査の4時間前まで、水分は1時間前までが一般的だが、水については制限が無い場合もある。
  • 上腹部の検査前では水やお茶は摂っても大丈夫だが、牛乳や甘い飲料などは避ける。
  • 普段服用しているお薬は飲んでも大丈夫だが、糖尿病で経口血糖降下剤やインスリンを服用の場合は例外である。

 

腹部エコー検査が必要となってもどの部位を検査するかによって絶食の有無や水分の摂り方が違ってくる事がお分かりいただけたと思います。

絶食や水分の制限は難しい事ではありますが、「ちょっとぐらいなら・・・」と規定を破る事で、検査のやり直しにつながる事もありますので、十分に注意するようにして下さい。




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