髄膜炎には、細菌性、結核性、真菌性、無菌性と、原因別で様々ありますが、今回は鳥の糞やカビなど、真菌が原因となって起こる真菌性髄膜炎について
- 症状
- 原因
- 診断
- 治療法
をご説明したいと思います。
真菌性髄膜炎とは?
免疫抑制剤の使用やHIV感染などで免疫機能が低下する日和見感染が多い真菌性髄膜炎は、抗菌薬の濫用や副賢皮質ステロイド、免疫抑制薬などの使用によって近年増加傾向にあります。
つまり、真菌(カビ)が免疫の落ちた体に入り込み、それが脳の髄膜に入り炎症を起こすことで真菌髄膜炎となるのです。2~4週間という亜急性期に発症する特徴もあります。
では、どんな症状が起こってくるのでしょうか?
真菌性髄膜炎の症状は?
- 発熱
- 頭痛
- 嘔吐
- 意識障害
発熱、頭痛、嘔吐といった髄膜炎特有の症状が見られます。また、進行すると水頭症を発症することもあります。症状としては結核性髄膜炎と似ているために、原因菌を正確に調べる必要があります。
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真菌性髄膜炎の原因は?
原因は真菌ですが、それが経気道感染して肺へ入り、更に免疫機能が低下しているなどの生体防御機能が働かない場合、血液に乗って髄膜に入り炎症を起こし、真菌性髄膜炎となります。
中には、空気中に浮遊する真菌粒子を吸入してしまうことによっても起こります。
- クリプトコッカス
- カンジダ
- ムコール
- アスペルギルス
クリプトコッカス
鳥類の中でも特に鳩の糞に含まれるもので、経気的に感染し、原因菌としては最多です。なので真菌性髄膜炎のことをクリプトコッカス髄膜炎とも呼びます。
カンジダ
一次感染巣から血液にのって運ばれ、感染します。基礎疾患があり、カンジダの一次感染が存在する場合に多くあります。
ムコール
口腔内や副鼻腔から体内に入り、動脈や眼窩部に侵入します。免疫機能が低下している人に起こりやすいものです。
アスペルギス
副鼻腔の一次感染巣から血液に乗って感染します。CTやMRIで副鼻腔の病巣を確認します。
- 白血病
- 糖尿病
- ホジキン病
- 膠原病
- HIV
- マイコプラズマ肺炎
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真菌性髄膜炎の診断は?
髄膜刺激徴候検査や脳脊髄液検査、MRIで髄膜炎を診断し、菌培養検査で原因菌を特定します。
髄膜刺激徴候検査
髄膜炎の特徴でもある首の硬直が見られるケルニッヒ徴候(Kernig’s Sign)など、特徴的な症状を誘発するテストが行われます。
詳しくはこちら。→髄膜刺激徴候検査
脳脊髄液検査
- 圧上昇
- 単核球の細胞数増加
- 蛋白やや増加
- 糖やや低下
が特徴でもあります。
MRI
結核性髄膜炎と同じような画像所見を示します。→CT・MRI検査
菌培養検査
髄液もしくは血液から菌培養を行うことで、原因菌を特定します。
墨汁染色
墨汁染色によって菌体の背景が黒く染められ、染色されにくい厚い莢膜が明るい輪として観察出来るようになるため、診断にも有効です。
真菌性髄膜炎の治療法は?
薬物療法として、静脈注射か経口投与が行われます。
- アムホテリシンBの静脈注射
- フルシトシンの経口投与
が基本となります。その他
- フルコナゾール経口投与
が維持療法や腎障害の場合には有効です。
最後に
- 髄膜炎の三大症状である、発熱・頭痛・嘔吐症状が出る
- 真菌が原因で、特に鳩の糞内にあるクリプトコッカスが原因であることが多い
- 原因菌を突き止めることが大切
- 静脈注射または経口投与によって、治療をする
鳩の糞なんて、意外とどこにでもあるものですよね。公園でなくてもベランダ等でも、鳩の糞が落ちてることは多くあります。それが乾燥し、菌が舞い上がることによって風に吹かれて人間の口や鼻から知らず知らずのうちに吸い込まれているのです。
特に、基礎疾患があり、免疫が落ちてる人は、この鳩の糞対策に注意した方が良いでしょう。