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門脈とは肝臓に流入する2つの血管の中の1つです。

その門脈の圧が高くなることを門脈圧亢進と言います。

門脈圧亢進は様々な原因で起こり、また起これば、様々な症状が起こります。

そこで今回は門脈圧亢進について原因、症状、診断、そして治療法についてイラストを交えてわかりやすくまとめました。

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門脈圧亢進症とは?

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門脈圧亢進症とは後で述べる様々な原因により門脈の圧が上昇し、その結果症状を起こす疾患を総称したものです。

門脈圧は正常ですと100mmH2Oですが、200mmH2O以上に上昇したものを門脈圧亢進と言います。

原因としては肝硬変が最多です。

医師
しかし、門脈圧亢進=肝硬変ではなく、あくまで門脈圧亢進による症状を起こす疾患の総称であるという点に注意しましょう。

門脈圧亢進症の原因は?

肝臓の血流は下のイラストのように門脈と肝動脈が肝臓に流入し、肝静脈から下大静脈へと流出していきます。

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医師
門脈の圧が高くなるということは、このどこかで血流の流れの妨げが起こっているということです。

その血流の妨げがどこで起こっているのか、門脈圧亢進の原因がどこにあるかで肝臓の中(肝内性)と肝臓の外(肝外性)に分けられます。

さらに肝内性、肝外性は細分化されます。

肝内性

肝内性は、どこで閉塞が起こり血流の妨げを生じるかで

  • 前類洞性
  • 類洞性
  • 後類洞性

に分類されます。

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前類洞性

肝内門脈が閉塞することより門脈圧が上昇するものです。

原因としては、

  • 特発性門脈圧亢進症(Banti症候群(バンチ症候群))
  • 日本住血吸虫

が挙げられます。

類洞性・後類洞性

類洞性は類洞が閉塞することより、後類洞性は肝内肝静脈が閉塞することにより、門脈圧が上昇するものです。

これらの原因としては最多である

  • 肝硬変

が挙げられます。

肝硬変になると肝臓が変形し硬くなることが原因で、結果肝臓に流入する門脈の圧が上昇します。

肝外性

肝臓の外に原因があり、門脈圧亢進症を起こすものとしては、

  • 肝臓の前の血管(肝前性)
  • 肝臓の後の血管(肝後性)

に原因があるものに分類されます。

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肝前性

肝臓の手前ということは上腸間膜静脈、脾静脈、さらにそれらが合流した門脈が閉塞することにより、門脈圧が上昇します。

原因としては、

  • 先天性門脈形成異常
  • 門脈血栓症

が挙げられます。

肝後性

肝臓の後ということは肝外の肝静脈、さらにその先の下大静脈に閉塞があることで、門脈圧が上昇します。

原因としては、

  • Budd-Chiari症候群(バッド-キアリ症候群)

が挙げられます。

門脈圧亢進症の症状は?

門脈圧亢進により、

  • 汎血球減少
  • 腹水
  • 肝性脳症
  • 肝機能障害

といった症状が起こります。

汎血球減少

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門脈圧の亢進が起こると、脾臓から脾静脈を経て門脈へと流れていた血流が滞ります。

すると脾腫が起こり、脾機能が亢進することになります。

脾臓の機能が亢進することで、汎血球減少が起こります。

腹水

門脈圧亢進が起こることにより腹水を生じる機序としては、肝臓の類洞圧の上昇や、肝機能障害による低アルブミン血症が起こることによります。

肝性脳症

本来門脈から肝臓を経て解毒される血流が、側副血行路から下大静脈に流入することで、アンモニアなどが脳内に流入してしまうことで、羽ばたき振戦など肝性脳症が起こります。

医師
また門脈圧亢進が起こると、門脈に入れない血流を逃がすために別の血管が形成されます。これを側副血行路と言います。

この側副血行路の形成により静脈瘤や静脈の拡張が起こります。

症状を起こしやすい静脈瘤としては、

  • 胃・食道静脈瘤
  • 痔核

があります。

その機序は下のイラストの通りです。

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他には、メデューサの頭と言われる腹壁皮下の静脈の怒張があります。

特に胃・食道静脈瘤は破裂により大出血を起こすことがあるので注意が必要です。

門脈圧亢進症の診断は?

門脈圧亢進の診断には、

  • 超音波検査(腹部エコー)
  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
  • 腹部CT
  • 血液検査

などが主に行われます。

超音波検査(腹部エコー)

エコーでは、肝臓はもちろん、門脈、肝静脈、下大静脈に拡張や閉塞がないかや、脾腫の有無や腹水の有無などをチェックします。

上部消化管内視鏡検査

胃カメラでは、大出血の原因となりうる胃・食道静脈瘤の有無やその状態を評価します。

腹部CT

CTでは、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓などの腹部臓器のほか、門脈、肝静脈、下大静脈の状態、さらには側副血行路がどこにどの程度発達しているのかを評価します。

血液検査

肝機能、胆道系酵素、血中アンモニア、汎血球減少の有無などを評価します。

医師
また、門脈圧が上昇(亢進)していることを調べるために、門脈圧を直接測定することがあります。

門脈圧の測定

門脈圧(PVP:portal veneous pressure)が本当に亢進しているかを調べるには、経皮経肝的穿刺法で測定することができます。

また、閉塞肝静脈圧(WHVP:wedged hepatic vein pressure)は、類洞圧をほぼ反映し、この両者によって、門脈圧の原因がどこにあるのかを推測することができます。

※閉塞肝静脈圧(WHVP:wedged hepatic vein pressure):カテーテルを肝静脈に挿入して、バルーンを用いて肝静脈を完全に閉塞できる圧のことです。

門脈圧亢進症の治療は?

門脈圧亢進症の治療は、

  • 門脈圧そのものを下げる治療
  • 門脈圧亢進の結果生じた合併症の治療

の大きく2種類があります。

門脈圧亢進の結果生じた合併症とは、腹水、汎血球減少を引き起こす脾機能亢進、大出血を引き起こす胃・食道静脈瘤に対する治療を指します。

門脈圧そのものを下げる治療

門脈圧を下げるには、

  • 門脈-下大静脈吻合術
  • 遠位脾腎静脈吻合術

といった外科的手術が施行されることがあります。

これらは、門脈の血流を大循環に流すという治療であり、前者は門脈圧は大きく低下しますが、肝性脳症を引き起こすリスクが増えると言われています。

その他には門脈圧を下げるために、パゾプレシンという薬が使われることがあります。
これにより腹部の内臓血管が収縮し、その結果門脈圧が低下します。

門脈圧亢進の結果生じた合併症の治療

腹水の治療
  • 利尿薬
  • アルブミン製剤

といった薬が使われます。

脾機能亢進の治療

門脈圧が亢進すると脾腫が起こり、脾臓の機能が亢進→汎血球減少を引き起こします。

この大きくなった脾腫を小さくするために、脾臓の血管を詰めることにより、脾臓の一部を壊死に陥らせる部分的脾動脈塞栓術 (PSE:partial splenic embolization)が行われます。

以前は、脾臓そのものを摘出する脾摘術もしばしば施行されていました。

胃・食道静脈瘤の治療

胃・食道静脈瘤の治療では、内視鏡を用いた

  • 内視鏡的硬化薬注入療法(EIS:endoscopic injection sclerotherapy)
  • 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL:endoscopic variceal)

といった治療が行われます。

また特に胃静脈瘤では、カテーテルを用いた

という治療が行われることがあります。

最後に

門脈圧亢進についてその原因、症状、診断、そして治療法についてまとめました。

  • 門脈圧亢進症の原因は、その原因が肝臓内か肝臓外にあるかで分けられる。
  • 最も多い原因は肝硬変である。
  • 門脈圧亢進の症状は様々。汎血球減少、腹水、肝性脳症、肝機能障害のほか、側副血行路が発達することによる合併症もあり、最も重篤なものが胃・食道静脈瘤破裂による吐血、出血性ショックである。
  • 治療は門脈圧そのものを下げるためのものと、圧があがる結果生じた合併症の治療に分けられる。

という点がポイントです。

 

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